デジタルエコノミー研究所

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VALU試してみた。評価経済のテストも、偽装者の楽園をどう直す?

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話題になっているVALUを早速始めてみて、自分のVALU株式を発行しました。めちゃくちゃ安いので、冗談半分に買ってくれたらうれしいです。ぼくは自社株買いはしません。

valu.is

で、つかっている感想を話したいと思います。個人のインターネット上の評価を貨幣的に扱う試みは「最初の一歩」として面白いと思いました。しかし、評価を貨幣化するロジックが単純すぎであり、自身の評判(Reptation)を実力以上に見せることに成功しているタイプの人たちのパラダイスになっている気もします。

ネット上の身元証明の勝利

まず肯定的な部分について話しましょう。いまやFacebook認証などを使うと、サイトやアプリごとの個人情報登録を省くことができて、かなり便利です。個々人がIdentification(身分証明)の管理をプラットフォームに委託している形です。これを友だちという形でネットワークにしておくことで、お互いにその人だと確認し合っていることになり、身元証明の確実性を高めています。

役所に置いてある身元証明が余り融通が効かないため、ネット上の身元証明は今後リアル世界の認証をテイクオーバーしていくでしょう。重要なのは身元証明を他人に乗っ取られないようセキュアにすることです。生体認証のプロトコルの策定が進んでいたり、デバイスの使い方の傾向などから本人かどうか確かめる手段を提供するAPIが作られています。

オープンな個人データの有用性

最近はFacebookで友だち申請した後、私の目の前ですぐさま調べて「ああ、あなたはこういう仕事しているのね」「この人と友だちなんですね」と確かめる人がいます(余りいい気がしません)。そもそも会う前からFacebookやブログやなんやら調べ上げられているのも常態化していると感じています。私はかなりユニークなタイプなので、こっちの方が手っ取り早くていいなと考えています。平均点をとる気のない人を許容できる人と会いたいです。

Facebookは自身のサービスを通じてユーザのデータを収集しており、同時にIdentifier(識別子)を通じてあらゆるデバイスをまたいだユーザ行動をも手中に収めています。

だから身元証明とそれにまつわるデータを広告という形でマネタイズできるのです。彼らの広告事業はとても成功しています。ただ、最近のAI / IoTの発達を見ていると、今後のコンシューマーインターネットのビジネスモデルの着地点は広告ではないかもしれないと感じます。

誰がIDを握るのが一番いい?

誰が身元証明を握り、運用すればいいか。GoogleFacebookが100%善意のプレイヤーであればまあそれでいいでしょう。でも、その仮定が働かないときどうすれば良いのだろうか? VALUでは仕組みが不完全ながら自身の株式を発行することができます。身元証明を自分の手の上に引き戻そうとしているふうに感じられます。

ハックされやすい評判

Reputation(評判)はハックされやすいでしょう。Google検索はフェイクニュース量産サイトや信頼性の低い医療系サイトを上位にランクしました。

www.j-cast.com

VALUの参加者のスコアリングはかなり大雑把かもしれません。Facebookの友だち数やTwitterフォロワー数が時価総額に大きく影響しているようですし、自社株買いが有効です。でもこれらはお金をかけたりすればハックできます。

結論:テストケースとして面白い

VALUは一般層に気づきを与えていると思います。自分自身に価値があり、その価値に対して投資してもらうことができるということです。こういう気づきが行き渡れば、ブラック企業で働く人はいなくなると思います。

昭和の投資術が最適:暗号通貨のバリュー投資

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暗号通過に関してこういうツイッターがありました。

これで思いついたのは、暗号通貨はバリュー投資がワークするよなという推測です。バリュー投資はウォーレン・バフェットが長い間採用する投資手法として有名です。

 

億万長者をめざすバフェットの銘柄選択術

億万長者をめざすバフェットの銘柄選択術

 

 

私の仮説は以下の通りです。

ある程度パフォーマンスを把握できる暗号通貨に対しては、Hodl(ホールドの意)する「ロイヤルユーザー」がつきやすい。そこにレイトマジョリティの新規ユーザーが加わる形で、長期的な価値上昇を期待できます。パフォーマンスを理解しないギャンブラーが集まる銘柄はボラティリティが激しく、ババ抜きになりがちです。

実際昨年から今年にかけてBitcoin, Ethereumは続伸しています。Rippleはどうなったでしょうか。しっかり研究していると群衆に対して相当情報優位に立てるのが、いまの暗号通貨市場です。GWから流入した日本の投機家は、5月中旬の暴落でかなり損を出したはずです。

バリュー投資自体は枯れた手法です。金融工学が発展しトレードのロジックは複雑化を極めています。市場に生まれた価格差を一瞬でなくしてしまうアルゴリズム、一見何者かよくわからないほど複雑なデリバティブ。複雑なものたちが、複雑なものを売り買いしています。

www.nikkei.com

しかし、暗号通貨はかなり難しいので、他人が見抜いていない価値を見つけることが容易です。価格の歪みを発見しやすいでしょう。私にとってはビットコインゲーム理論上の課題を解決している部分は興味深く、最近は勉強量を増やして技術面に詳しくなろうとしています。そうすればより勝ちやすくなるでしょう。

ただし、バリュー投資の敵もあります。それは暗号通貨市場では超不合理な投機家たちが、市場の効率性を大いに損ねているところです。バリューが必ずしも正しく評価されるかわかりません。でも、長期的に見れば、賢者は勝ちやすい、そういう単純な造りの部分が暗号通貨市場に残っていると信じます。

 

 

制約への洞察を磨き上げろ

週末は結婚式に出席してお酒をたくさん飲んだ。それを機に久しぶりにリラックスしてみた。休んでみると、どうも自分の脳みその中がバイアスだらけであると気づいた。

仕事を短時間で高いパフォーマンスを出すことに照準を合わせてきた。開いている時間は学習に費やしてきた。学習は楽しいのだが、もしかしたら過学習気味だったかもしれない。

いつの間にかぼくは制約に従順なっており、制約の枠内をはつかねずみのように走っていた。制約への屈服がさまざまな活動のボトルネックになっていることに気がついた。疲れ果てるほど頑張っているのに、その成果がオプティマイズされていなかったのだ。悔し過ぎる。


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Googleの中居悦司氏のDevOpsに関する講演を聴いたが、Googleは技術的制約への恐ろしいほどの洞察を巡らせるという。制約を受け入れて得られること、制約を打破したら得られることを考える。仮にお金をかけてクリアできるならお金をたくさん使うことも厭わない。

製造業で用いられるTheory of Constrainmentは制約を見つけ出し排除するプロセスを繰り返す。
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その制約条件自体は工夫やちょっと血を流せば、クリアできるものなのだが、いつの間にか怠惰になっていた。常に自分がやっていることを見つめ直して、制約を打破し続けようと考えている。