デジタルエコノミー研究所

”経済紙のNetflix”を作っている起業家の日記

メディアを民主主義から解放する

マスメディアは多数の人間に一方的に情報を与えて、アタシの言うこと聞きなさいという形に設計されている。社会学かあるいはポエムのようなものを基に作られた情報が多くを占めるだろう。

もちろん、人には真剣に受け取るべきメディア情報だけではなくて、何というか時間つぶしみたいな情報収集のフェーズがあるのはわかっている。戦略とかゲームとかお金とかそういう話を四六時中やっていても飽きない退屈なおじさんになりつつある僕には偏見が生じていて、それがうまく理解できなくなっているくらい中央値から外れていることはじゅうじゅう承知している。

だけど、そういうスナッカブルコンテンツで世の中の人間の行動に影響を与えるのはいかがなものかと先週末、銭湯で都議選の中継を見ていて感じた。マスメディアにいる人はこういう選挙のコンテンツを作るときに、公職選挙法がなんちゃらかんちゃらを気にされているみたいだった。彼らが大学までに受けた平均点教育の馬鹿馬鹿しさを大爆発させているんだなと感じた。我々が受けた教育の多くは無意味で、ときに変なバイアスを生むんで害もあるだろう。

平均値は平均値に過ぎなくて、エレガントさや妥当性とは全く無関係だよ、ということを示して、その結果平均値を宗教的に愛している人たちを無駄に怒らせて足を引っ張られるということを繰り返してきたのが、僕の30年ちょいの人生なんだけど、最近はついにそういう攻撃に対してかなり高い守備力とやんわりとした反撃力を身につけて来たなと感じている。

民主主義はすごい大切なものだという教育がされているが、多数の人間によるグループの意思決定方法としては余りスマートではないのが現実だ。ポンコツと言ってもいい。マスコミは民主主義が自分らの価値を大きく支援するものと心得ているので「民主主義がなんちゃらかんちゃら」という話を延々とやるし、選挙が何か大事なものを決しているかのように人々に信じさせようと必死にすらなる。でももちろん選挙は茶番だ。
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議会制民主主義は草であり機能性に乏しく時間を無駄にする。ロビーイングに対して脆弱で、都議会のドンのようなスマートではないインフルエンサーを作り、テニスコートの誓いで排除したはずの権威者を再発明してしまう。しかも官僚はそれを骨抜きにしようとしていて、政治家といつでも水面下の闘いをやっている。最近の安倍政権のゴタゴタはわかりやすく言うと「政治家 VS 官僚Vol89」であり、官僚の逆襲が成功するか、が最大の関心事。最近の政権周りが常軌を逸する感じなので、官僚さんガンバッテになっているけど、制度がそもそもポンコツなんですね(制度の改良自体は多分簡単。でも既得権益者が多すぎてその人たちが大変)。

ここでいきなりBitcoinの話を持ち出すと、Bitcoinはその機能を世界中の人々が利用可能な形にしようとするそのかなり手前で、ステークホルダーの利害関係が衝突してデッドロックになっている。そうこうしているうちに、他の暗号通貨が追いかけてきていて 、自分らの利益をどんどん小さくしている。つまり内々のゴタゴタに拘泥しているうちに、外側の世界に追い越されようとしている。

で、話をアクロバティックに戻すと、日本人の多数派は日本の中しか見えない。アジアの他の国に対して優越しているスゲー国だって日本のことを考えるように刷り込まれている。しかし、実際には日本って相当落馬しているよな、って他の国の人から見られている面はある。例えばシンガポールに行ってニュース番組を見てください。あるいは、他の国の若い大卒オーバーっぽいやつに、素朴に日本はなぜ20年間経済成長していないのかとか聞かれてみる。あるいは、日本人グループは国際的な場で他と意思疎通が苦手でときに排他的なのは、武士道と関係しているのだろうかとか尋ねられてみてください。

変なメディアの使い方で「大日本人」を外の世界から隔離して誤魔化しちゃいけなくて、一部の高齢者かつ支配層が抱く日本をめぐる時代遅れの幻想を若い人に伝染させちゃいけないよね、と思った。そう銭湯でテレビを見ていて本当に思った。こういう嘘が続くのはそんなに長くないよなと思うし、もっと人間は自由に暮らせるはずよ、変な情報を刷り込まれない限りは。

 

 

 

 

Litecoinの中国詣でが上々な感じの件:デジタル経済Newsletter_7/5

 

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  • Charlie LeeがLitecoinのマイナーや地元起業家らをめぐる中国・武漢詣でを敢行している。一部のミートアップには女性がかなりいる様子でギークなこの界隈では驚きを隠せない。

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コメント: 中華系の送金需要とれれば

  • Bitcoinの機先を制してSegwitのアクティベートを認めたマイナーたちとCharlieら開発者の関係は良好のようだ。@SatoshiLite 、@TheRealXinxi、@shaolinfry を含めたLitecoin開発者は在外中華系で占められている様子。本土中国人と関係が深くなりやすくはある。世界中に散らばる中華系の送金需要は世界最大だろう。
  • Bitcoinがごたごたで導入できないアップデートをいち早く取り入れていくことで、ステークホルダーのインセンティブは一致している。Bitcoinの混沌とは一線を隠している感じだが、ハッシュレートシェア2位のトラブルメイカーJihan Wuの影響力をどれだけ削げるかで、Bitcoinと同じ困難を回避できるかが決まりそう。

 

分散と集権のミックスがビットコインの最高のガバナンス:デジタル経済Newsletter_7/4

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    • ビットコインのコア開発者である、Luke Dashjrは、Jihan Wuが「『Segwit 2x』を提唱する目的はSegwit実装を遅らせること」と指摘。8割によるラフコンセンスを規定するBIP91が、20%以上のハッシュパワーをもつマイナーによる拒否権を認めている点などを批判。UASFが最善策という考えを示した。

    • ビットコインのネットワーク混雑が解消、手数料再び安く。10円程度。投機的な資金がEthereumに移行したという説。一時的なネットワーク混雑の緩和か。トランザクションスピードの問題は残している
    • ライトコインの創設者チャーリー・リーが中国を訪問。マイナー巡り。今日はBitmainのJihan Wuと会う
    • Jihanはマイナーによるイカサマアルゴリズムである、Asic boostを使っていない、あるいは皆が使えばフェアになると主張
    • イーサリアムマイニングに適したグラボの需要が沸騰

コメント

BitcoinのSegwitを巡る議論は視界不良だ。UASFはトランプの大貧民の「革命」を制度化することになる。同じ数字のカードが4枚揃ったら、みんなが「革命」を行うとなると、ガバナンスに不安を残すかもしれない。一方、Segwit 2xの方向性で進むと、非中央集権を志向する開発者が意欲を失うかもしれない。

課題だらけの中央集権に依らない金融・貨幣を生み出すことが、Bitcoinの重要な思想だったはずだが、非中央集権・分散型のガバナンスにも伝統的な課題があることを思い出させてくれる。中央集権と分散が不可分なくらいに溶け合わせることが、素晴らしいガバナンスを築くための重要なカギだというのが直感的に感じられる。

追記:ビックブラウザーがあなたを見ている

デジタル経済Newsletter_7/3

こんにちは。

このニュースまとめですが、今後はできるかぎりニュースレター形式をとろうと思います。毎朝更新でデジタルエコノミーに関する有用なサマリーをお渡ししたいと考えています。ある程度のレベルに達したらニュースレターも検討しますので、ご要望などお伝えくださいませ。

▼注目のニュース/ブログ

*CASHを「らくちん買い取りアプリ」だと思ってる君のために、おっさんたちがこんなにも騒いでいる理由をお教えしよう

hajipion.com
Kanye WestJay-Zの音楽ストリーミングサービスであるTidalから離脱

*The Boring Companyが来週にもトンネルを掘り始める見通し

*ドローンにIDを付与することが検討。飛ばしている主体を確認できるようにする

AppleiPhoneの死に準備を開始

コメント:CASHのようなアイデアを罰さない国に

ブログポストはCASHがとる貸金業ではなく質屋というポジショニングが高利のマイクロファイナンスを可能にしていると主張しています。「グレーゾーンだとか闇金2.0だとか色々な意見がある中で、AirbnbUberが『ほらそうは言ってもみんなめっちゃ使ってるよ』と保守派を黙らせたように、BtoCレンディング領域における革命をカッコよく決めてほしい」はまったくもって同感です。Hajipon氏はUXデザイナーということですが、レギュレーションに精通しているようです。

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日本政府は明確に「規制の罠」に陥っていますし、伝統的な大企業の中でも同様の状況があります。東芝メモリの件で舛岡富士雄氏の注目が高まっていますが、何に対しても規則を適用して、クリエイティビティを削いでしまう慣行が崩れることを祈っています。

他にも同じブログで取り上げられた、日本の資金決済法などのレギュレーションとその下での決済スタートアップの市場参入方法を説明した「ユーザー体験から紐解く「個人間送金」アプリの仕組みと歴史(日本編)」も分かりやすいです。

ユーザー体験から紐解く「個人間送金」アプリの仕組みと歴史(日本編) | hajipion.com

私も「デジタル決済革命はアジアで起きている:先進国凌ぐ中印」(DIGIDAY[日本版])で、事業者の立場から一歩引いて、市場環境の考察を行っています。

コメント:iPhoneの死は必然

Appleプロプライエタリプラットフォームの優位性はほぼなく、消費者が合理的なスペック評価とコスパを考慮すると購買の対象じゃなくなります。音声アシスタントなどのインターフェースの多様化が、スマホというフォーマットの絶対性を奪うはずです。

 

 

 

デジタル経済Newsまとめ_6/30朝

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デジタル経済Newsまとめ_6/29朝

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  1. アリババがシンガポールECのラザダにプラス10億ドル注入。東南アジアは絶対アマゾンに渡さないと宣言している感じ
  2. NBCUがプレミアリーグをライブストリーム開始
  3. 世銀がブロックチェーンラボ開設
  4. 日本マクドナルド、「UberEATS」を導入
  5. NutanixとGoogle Cloudが提携発表。ハイブリッドクラウドを構成し、アプリの相互運用、Kubernetes対応、ディザスタリカバリなど実現へ 。
  6. Facebook、MAU20億人超え

コメント

  • 勢いを失い気味のラザダを買ったアリババ。インドはAmazonにとられそうなので、東南アジアは渡さないというムード。Amazonはホールフーズ買収でキャッシュを減らしたので、アリババは先に資金を注入しておいてテキの本格参入を牽制しているかもしれない。

デジタル経済Newsまとめ_6/28朝

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  • EU、Googleに24億EUROの罰金。欧州委は検索での独占的地位を利用して自社のショッピングサービスに有意な運営をしていると認定した。◁EUが巨人に対して再びむき出しの敵意を示した。忘れられる権利や租税回避、そして今回も俎上に上げられた独禁法。確かにGoogleは独占的だ。しかし、EUはイノベーションとも決別しようとしているふうに見受けられる。Googleを押し出してGoogleのコピーを生み出す中国流は欧州には当てはまらない。日本と欧州は前進を拒否してやがて忘れ去られる存在になるだろうか。余談だが私は欧州が嫌で飛び出した欧州人と仲良くなりやすい。
  • 他の小売業者が出し渋るなか、広告費を膨張させるAmazon◁お金は貯めるものではないとAmazonは言っている。日本企業はどうだろうか?
  • ネット社会で取り残されるアメリカの田舎WSJ]◁ドローンや気球によるコネクティビティが急がれる
  • イーサリアムに浴びせられるエゲツないショート。最高値の50%台の水準まで価格が下降。
  • ソニーがAIで自前主義から外部連携に転換◁なにをいまさら。時間が止まったかのような遅い決断。ソニーのAI技術は、現代のものではないだろう。日経の記者・デスクは「取材したのにプレスリリース原稿」を改めるべきだ。これで月4000円は羨ましい。
  • AIは米中、GoogleIBMMicrosoft。日本も割と食らいついている。

高成績・低ランクな人を作らない評価体系とは?

テニスのATPランキングは非常に「明確」な仕組みをしています。プレイヤーがどれだけトーナメントを勝ち抜いたかが重要であり、対戦相手は考慮されません。新人が組み合わせに恵まれてトーナメントでベスト4を連発すればランクはぐいぐい上がっていきます。

デル・ポトロ問題

しかし、このシンプルなレーティングは対戦相手の有利不利を全く考慮に入れません。これを「デル・ポトロ問題」と呼びましょう。アルゼンチン人テニスプレイヤーのフアン・マルティン・デル・ポトロは2017年6月27日現在、ATPランキング31位です。彼は2009年に当時世界最強だったロジャー・フェデラーを破って全米オープンを倒した実績があり、その後も上位ランカーにコンスタントに勝ち続けています。しかし、ケガが多いので参加トーナメント数が物を言う現在の仕組みでは評価は低いのです。

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Via WIkimedia Commons

これを対戦相手の強さをもとにスコアを与えるElo Ratingで測ると彼は世界5位です。このレイティングの方が彼のようなタイプを評価できます。錦織圭も6位に上がります。とても興味深い結果となりました。

では、これを一般的な日本企業に応用してみましょう。よくあるストーリーを組み立ててみました。

簡単な問題を優雅に解くA君

皆が理解できる簡単な問題を見つけて説くのが大好きなA君がいます。A君はセルフブランディングが上手です。大したことのない問題を、大げさに困難を乗り越えたふうに見せることが上手です。A君は他の人が同じような簡単な問題を格好つけて解くのを見つけると、その人にプレッシャーをかけて皆の前で失敗させます。評価は相対的なものですから、それがA君の利益にかなっています。

A君は多くの人の関与により成功した仕事において、自分の貢献が最大だったという評価をつくることにも精を出します。彼は周りの人たちに「デキる人」という評価を刷り込むために、仕事をする以上の時間を割くのです。先輩や後輩と飲みにいって静かにシグナリングを繰り返します。経験不足の一部の人はその偽情報につかまり、A君をヒーローのように崇めます。

難しい問題を静かに解くB君

一方難しい問題を解くB君がいます。B君は難しい問題を解くためにいつも四苦八苦していますが、表面上静かにそれをクリアします。難しい問題はタフなので、一喜一憂したり演技をしたりしていては全然解けません。そもそも彼が解いている問題の難しさを理解する人がまわりにはいません。彼はそれをまわりに説明する時間が惜しいとすら考えます。B君が難しい問題を解いたことが、大きな要因としてもたらした成果は、A君のようなタイプの手柄として記憶されます。B君は自分が出した成果のほとんどを報酬への還元として楽しみません。

成果と関係のないクジャクの羽

ということで、組織がレーティングを誤った形で進めていくと、皆が皆「クジャクの羽」をきれいに見せることに精を出します。クジャクの羽は生存競争そのものにおいて、獲物に狙われやすくなるというディスアドバンテージしかありません。しかし、クジャクのメスはオスの「羽」を評価しますので、クジャクのオスは本質と関係のない場所に一番リソースを割きます。馬鹿げた状況ですが、これはあらゆる組織で起きていることではないでしょうか。

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クジャクのオス・メスと人間の男女は対応しません。私は性差別主義者ではありません!Via Pixabay

こういうことが起きると組織からは難しい問題を解く人がいなくなり、A君のようなタイプやA君のような人と仕事をしていて心地いいタイプばかりになり、評価のハックに精力を注ぐモラルハザードが蔓延します。結果として組織は著しくパフォーマンスを失っていきます。

偽物をどう定義するか

B君とデル・ポトロは本当に似ています。A君のような偽物を発見し、どう低く評価するかも重要です。私たちが組織の中で下す評価はときに誤っています。誤っていても皆が納得している「説明」と、複雑だけど合理性はある数理のどちらを採用するべきでしょうか。悩ましいですが、前者でないことは確かです。

 

 

 

デジタル経済Newsまとめ_6/27朝

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  • Ethereumネットワークはすでに小国の総消費電力をしのいでいる
  • Spotifyの「スポンサード音楽」がヒット。ミュージシャンの収益化に寄与しそう。
  • Ethereumのビタリック・ブテリン死亡のうわさ、本人が否定◁価格暴落でアンチがデマを流している模様
  • 欧米金融機関のブロックチェーン連合Digital Trade Chain ConsortiumがIBMブロックチェーンテクノロジーを採用◁とても伝統的な両者。かなり怪しい予感。
  • IMFが金融機関に暗号通貨への投資を急ぐよう訴える◁水と油のはずだが。
  • AIでクラッカー対策が可能。

子どもには最初に英語を学習させてあげよう

サイエンス、テクノロジー周辺を紹介してくれるアメリカのパブリッシャの動画を見つけました。10代前半〜後半をターゲットにしているせいか、難しい言葉は余り出てこないのでついていけています。

工夫が凝らされているので面白く、集中力が持つ数分で終わるのですが、数珠つなぎで見ていくとかなりの量を学習できます。視聴数やサブスクリプション数を見ている限りこれは持続可能なビジネスになっているでしょう。C Channelやデリッシュキッチンに代表される、いわゆる流行りの動画制作スタジオ。流通はプラットフォームに任せ、流通経路に最適化したデジタル動画を制作するノウハウに長けています。

www.youtube.com

私の学生時代を通じた特徴は、講義のときに脳みそが死んでいたということです。日本の学習はなぜか暗記能力に力強くフォーカスしていますので、どうも眠くなるのです。

これで思ったのは、子どもたちの学習のコツは、どれだけ早く英語を入れて、スピードレーンやさまざまな学習機会に触れることではないかと思い始めました。日本語だけの世界ではなく、他の世界をも取り込むことができます。

日本が草だという非難ではなく、英語圏の市場がでかいため、発達しやすく、しかも日本は広範な分野でガラパゴス気味なので、ディズアドバンテージが広がっているかもしれない、そういう推測をしています。

英語さえ手にすれば子どもの機会が広がります。彼/彼女が保育園に落ちても日本死ね、とならずYou Tubeでむしろいい学習ができるかもしれません。


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私の世代でも平均的な日本人には余り英語が備わっていません(私も超暗い大学生時代の途中で拙い英語を手に入れました)。英語や欧米圏の環境を得た日本人は、日本社会に余り馴染めないという悲劇があります。社会や学校や人々がさまざまな言語・文化・考え方を許容する多様性があってほしいと思います。

非英語・非ラテン語圏の言語をオススメします。あなたの考え方はより深く、広くなるでしょう。時間の感覚が独特で、超柔軟に変化させられるインドネシア語なんていかがでしょうか。

 

 

 

 

 

デジタル経済Newsまとめ_6/26朝

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 *Amazonは経済インフラを征服しようとしている[MotherBoard]

*世界中の人々にとってデジタルIDが必要[VentureBeat]

*Adam BackとEmin Gun Sirerが論争

*欧米金融機関も中華系金融商品無視できないThe Economist

SpaceX、ロケット2台発射成功[BusinessInsider]

Uber厄年[BusinessInsider]

 

 

デジタル経済Newsまとめ_6/24朝

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*テスラが音楽ストリーミング提供のため、音楽レーベルと交渉中[Recode]

Uber従業員が取締役会にカラニック氏復活を請願[Recode]

*【図解】Bitcoin Scalabilityに関する議論のタイムライン ~Bitcoin XTからUnlimited、Segwit2xまで〜[ビットコインニュース]◁◁ビットコインの状況を極めてわかりやすくまとめてあります。

Amazonは食品スーパーの「データ収集装置」を買った:今週のデジタルサマリー[DIGIDAY]

www.businessinsider.jp

*中国IT最大手テンセントのUX Managerジョナサンのキャリアに迫る!【前編】[グッドパッチブログ]◁◁色々なキャリアの築き方がある。

Photo Via CC

情報は自由になりたがり、自由になった情報は人間を自由にする

分散型アプリケーション構築プラットフォームであるEthereumのマイニングに利用できるグラボが品薄になっているようです。BitcoinのマイニングはASICがないとお話にならず、マイニングプールの開業・出資が絶対です。Ethereumのマイニングはまだそこまでえげつなくなっておらず、グラボでも日本の電気代でもペイするとのことです。

この出来事は特に新しさはないですが、興味深い味わいを感じました。「誰もがパワフルなコンピューティングパワーをもてる」ということです。

akiba-pc.watch.impress.co.jp

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YouTubeの将棋棋譜並べも面白いです。プロの手をハイスペックコンピューターに載せたelmoやPonanzaなどで検証していきます。プロとアマの間にあった情報格差が解消しており、プロがソフトを使わなければ、アマのほうが9×9の宇宙への理解が深くなってしまいます。

そう、elmoのおかげで素人の記譜解説を皆で見るスタイルも確立しつつあります。これは将棋知識の著しい民主化です。若手棋士は同じようにハイスペックコンピューターと将棋ソフトにより対局を検証しています。藤井聡太四段はおそらくその若さと才能に加えて将棋ソフトによる研究により、バイアスレスな探索を実現させています。ここでもコンピュータティングパワーへのアクセスが効いてきていますね。

余談ですがここに冷水を浴びせているのが一部棋戦のスポンサーである朝日新聞社です。 

www.bengo4.com

こういう権威主義は機能的ではありません。将棋の発展、賑わいを阻害しています。将棋連盟はクラウドファンディングを採用すればいいのではないでしょうか。そして棋譜はネット全公開にして、印刷する人からはフィーを徴収するという方が、ビジネス的にぴったりだと思います。

情報はフリー(自由・無料)になりたがります。

On the one hand information wants to be expensive, because it's so valuable. The right information in the right place just changes your life. On the other hand, information wants to be free, because the cost of getting it out is getting lower and lower all the time. So you have these two fighting against each other. 

コンピューティングパワーの拡大は私たちの能力の拡張を意味しています。私は必要性の失われた権威主義を目の当たりにすることがあります。人間をあらゆる制約から解き放ちたいです。もちろん人間の悪い部分を抑制しながら。

PS: 私にもハイスペックコンピュータを利用したメディア取材高度化のアイデアがあります。この「SmartNode」というプロジェクトに沿っています。将棋の棋譜の検証もしてみたいです。誰か使っていないハイスペックコンピュータがあったら届けてください(図々しい)。

 

デジタル経済Newsまとめ_6/23朝

 

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*広告最大手WPPAmazonのホールフーズ買収は広告事業を加速」[WSJ]。消費者の購買データの蓄積がますます進む。消費者との接点やリアルな流通拠点を増やすAmazon

*スナップが2億5000万ドルで地図・位置情報アプリ買収。ジオターゲティングの強化により喫緊の課題である広告収益拡大目指すとみられる。[Recode]。

*CNNが動画スタートアップを買収
CNNはグレートビックストーリー(Great Big Story)を買収ネクストViceと呼ばれる若者向け動画制作で知られる[Bloomberg]。

Facebookサブスクリプション機能提供を米メディアと交渉中[DIGIDAY]

*メルカリは、ジョン・ラーゲリンが執行役員Chief Business Officer(CBO)に就任すると共にマネジメントチームに参画することを発表[メルカリ]

Amazon、日本で独自の配送網を整備。個人事業者1万人囲い込み[日経]

昨夜ブログ執筆しました。

taxi-yoshida.hatenablog.com

あなたは「デジタルエコノミー」の世界でどう生き残るか

今回はなぜブログ名を「デジタルエコノミー研究所」にしたかについて、自分の考えを話そうと思いました。

私は2007~2008年の世界金融危機とその後の量的緩和で、従来型の経済学の多くが難しくなったと憶測していました。金融政策と財政政策のミックスは確かに世界をどん底に落とさないのには寄与したかもしれません。

しかし、世界経済の根幹にある金融システムの脆弱性が露わになりましたし、彼らがとてもセルフィッシュな設計を施されていることを、世界中の人たちは知ることになりました(日本人には分かっていない人が多いかもしれません。あんなおかしい投資信託を買うんですから)。

こんにちは、不確実の世界

現行の民主主義が選ぶリーダーはロビーイングに対して余りにも脆弱です。証券会社が銀行業を同時に行えるようにする(投資銀行と名乗れるようにする)法制を整えたのはビル・クリントンです。オバマは金融業界に鉄槌を下すと意気込みましたが、骨抜きにされました。トランプを大統領に選んだことを非難する論調はたくさんありますが、ヒラリーのバックグラウンドを考えると、彼女はビフォア2008年の世界に忠実な古いリーダーでしょう。変化は起こせなかったと僕は思います。

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トランプは分かりづらくて誰のコントロールも受け付けない不確実性の塊のような男です。彼が奇妙なナショナリズムなどに拘泥せず、カンフー映画の主人公のように古いものをぶっ壊すことを私は静かに望んでいます。

アフター金融危機の世界では行動経済学がその地位を高めました。より小さな粒が見えはじめました。その粒たちはそれぞれ多様で、頭痛がするほど複雑で、今のところ予測不可能な存在です。

破壊的な暗号通貨 / ブロックチェーン

金融危機以降の金融業界の変化は政府や大企業の中から出てきませんでした。起業家やベンチャーキャピタリスト、開発者と人々(People)の間から生まれたのです。それがフィンテックというバズワードや暗号通貨 / ブロックチェーンに代表されるものです。

フィンテックは既存の金融をアンバンドルしています。フィンテックスタートアップの存在は私たちに大きな気づきを与えてくれます。既存の金融機関や政府がとても非効率的な手段に固執していること、ユーザーを無視して設計をされていること、非効率性に寄生したビジネスが存在していることを教えてくれます。

天才サトシ・ナカモトがビットコインという新しい貨幣を創造する論文を出したのが2008年。ビットコインのネットワークが動きはじめたのが2009年です。もちろん金融危機と無関係ではありません。

ビットコイン、暗号通貨の歩みはフィアット(法定通貨)やそこに吸着している金融システムの代替物を求めるムーブメントの側面があると私は考えています。金融危機後の世界ではバンキング(金融機能)を個人の手に戻すことを目的としています。いま暗号通貨 / ブロックチェーン界隈で起きているさまざまな挑戦の中には、10年後20年後も生き残り、やがて巨大なプラットフォームになるものが含まれているでしょう。

暗号通貨の世界では新しい経済学が生まれています。それはCripto Economics(暗号経済学)です。従来の経済学のなかで有用な理論とプログラマーたちの独自の経済学の理解がとても興味深い形で融合しています。そこには金融政策や財政政策を行う政府のような存在はなく、より分散型のガバナンスを志向する人たちが寄り添っています。暗号通貨やスマートコントラクトを活用することで、いまの世界で私たちを苦しめる非効率性や中間者を排除できます。

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 コンピューティングと経済

高齢化する日本にいると見えづらい事実ですが、経済のあり方を加速的に変えているのはコンピューティングです。先に言及したピア・ツー・ピアのデジタルマネーであるビットコインも、それからフィンテックもコンピューティングにより金融という経済の血液のディストリビューションの仕方が改善されようとしています。

インターネットでさまざまなものがつながる中で、コンピューティングの力を、どんな人でもあらゆる場所で活用できるようになりました。モバイルは世界中を覆い尽くそうとしています。インドでは毎年1億人のペースでインターネット人口が増えています。長期的にはデバイスが消失していくはずです。デバイスが私たちの意識に上らず、ARやVRのようなもので我々はさまざまなアプリケーションを動かし、物事を実現していきます。

タクシー産業にネットとコンピューティングの力をもたらしたのがUberです(最近評判悪いですね)。宿泊産業にネットとコンピューティングの力をもたらしたのがAirbnbです。時価総額ランクの上位はもうそういう企業ばかりですし、今後もテイクオーバーは終わらないでしょう。

最も尖ったトレンドはもちろん、機械知能(MI)です。今回は人工知能と呼ばないようにしたいと思います。特徴量の抽出などを自ずから行うインテリジェンスは私たちの暮らしをそっくりそのまま変えてしまう可能性があります。世界が放出するデータをその場で処理し、すぐさまアクションを起こすというビジョン。「データのつくられるところ、学習されるところ、それが利用されるところを同じにする」という挑戦であり、人間から見ればいつでもどこでもコンピュータの力を簡単に利用できるということです。

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2008年は「古い経済」が死んだ年

将来の歴史の教科書をみれば、2008年は古い経済が破綻した年として記録されるでしょう。そしてその後のデジタルエコノミー、あるいはコンピューティングエコノミーが花開いた年になり、人々は大いなる非効率性を乗り越えたと記録されるでしょう。実際、中国では先進国よりかなり進んだデジタル経済の実践がみられます。東南アジア、インド、アフリカでも先進国をリープフロッグする種がまかれ、一部は大きな木になる兆しを見せています。

日本がそれに乗り遅れているし、今後もそうなら、国家にとらわれない個人になることが重要です。私はすべての人間がそういう個人になれると自信を持っています。デジタルエコノミーの世界では、我々は後10年程度で政府をまっさらなサービス、コンピュータプログラム、機械知能、ブロックチェーンに記されたスマートコントラクトに変えることができるはずです。あらゆるコストから解き放たれた世界で、私たちは本当の幸福の意味を追求する機会を手に入れるでしょう。

テクノロジーの超高速な進化を現実世界に当てはめていくことが重要な時代になります。私もこの人類史空前の大変化を分析者ではなく、実行者という形で関与していきたいと考えています。

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