デジタルエコノミー研究所

”経済紙のNetflix”を作っている起業家の日記

誰もが「1997年のAmazon」からスタートするからやり続けるだけ

 

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1997年。投資銀行での成功を全て捨てて、Jeff BezosがAmazonを始めた時のオフィス。 投資会社のSVPで高給取りだったBezosがイケてないオフィスで一人で作業をしています。何事も始めるときはこういう時期を経験するものです。私も起業してから2ヶ月程度ですが、いままさにそういう時期にあります(笑)。Axionの運営は私とパートタイムで手伝ってくれる数人によって行われていますが、基本的には1日の大半を一人で作業しながら進めています。

起業したことによって驚くのは、既存のカイシャがもつリソースの豊かさとそのリソース活用の非効率さの両面でした。イチからやってみると「なぜこんなことをやらんとあかんのや」というタスクが無数にあり、カイシャがそれを省略してくれていたことに気づきます。他方「4、5人使っていたあの仕事って、あのライブラリ使えば一人でできちゃうやん」「あの人が勝ち誇っていた功績って、南極に豪邸を建てたようなものなのやん、周りの人を騙していたのか、あきれた」ということが多々あります。

誰も掘らない穴を掘っている

一方、1人だと見通しが正しくともなかなか船が進むのが遅いのは確かで、いつもやきもきしてしまいます。タスクをホワイトボードにまとめていると、文字の塊ができてしまってやる気が削がれてきます。本当に本当に肩の凝るお仕事です。しかも私は長期的利益を評価する傾向が極めて高いので、いまは報酬を貰わずして将来に向かって仕込んでいるフェイズにあります。武田信玄土竜攻めのようにずっと穴を掘り続けていき、最後には城の中に坑道がつながる手法に似ています。一人で穴を掘るのは大変ですし、リターンを得るまでにかかる時間のうちに状況が変化するとそれでオシマイ。これはメンタルにきいてきます。

でも、ぼくはこのゼロから何かを生み出すことを楽しんでいます。何かを創ることは初めての経験ではない。大学卒業後はインドネシアでゼロから現地の政治経済社会について学び、イ情勢に関しては大学教授や大使館、商社、コンサルが私の功績を引用なしパクるレベルに達しました(それほど情報ギャップがあったと自負しています)。帰国後はDIGIDAYの立ち上げに参画し、ここもゼロから学習し、マーケティング広告にインパクトを与え、一定のポジションをとりました。技術部隊が欧米にあり、日本には営業・マーケしかいない構成の外資と、新手法の理解・採用が牛歩の内資でできているデジタルマーケティング界隈は、宝の山でした(この段落の表現はなんかイヤな感じですね)。

もちろん、DIGIDAYのときは元々アメリカで確立したブランドでしたし、会社がある程度のリソースを提供してくれたため、立ち上げはもっと容易でした。主に金、人、評判が最初は不足していると感じさせられます。

しかし、続けていけばうまくいくのは明確です。世界は相関し合う無数の変化群に晒され続けていて、それが未来を常にぐにゃぐにゃ変えています。この環境下では、既存の組織を変革するより、ゼロから新しいものを作ったほうが速いのです。

それにこれは私の精神を若くしてくれています。未だに高校出たての18歳のマインドです。そして学習し推論するモデルとしての自分が急速に成長しているのも感じます。スキルは自分で何かをやった方が断然つくのを実感しています。

ぜひ我がオフィスに遊びに来てください。

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【報告】テックメディア「Axion」を創業していました

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最近ブログの更新が滞っています。なぜなら私が9月にDIGIDAYを辞して10月の末からテックメディア「Axion」を立ち上げたからです。

axion.zone

Axionのプロパティは現在上記のWebアプリケーション、Youtubeチャンネル、Facebookページと最低限の陣容で進めています。Axionはどんなメディアかというとビジネスパーソンが最先端テクノロジーを理解し、それが引き起こす変化への対応力を提供する」です。率直に書きますと、伝統的な日本企業は広範な範囲で、最先端テクノロジーの理解とそれがもたらす変化に余りにも鈍感です。今月ロスで開催された機械学習のトップNIPSでも日本勢の存在感は大きいものとは言えないようでした。基本的にこのテックが経済や社会を大きく変えていくというビジョンをもつメディアは日本にはありません。

日本映画はわかりやすいメタファーかなと思います。日本映画は特撮は得意ですが、SFは余り得意ではない。日本の市民社会のカルチャーはどこかで科学を軽くみています。青色発光ダイオードNAND型フラッシュメモリの発明者は日本国内では不遇でした。

Axionは権威主義社会の外側で、日本だけでなくアジアで、テックで新しいビジネス、経済、社会を作るというコミュニティを生み出すことを目的としています。そしてさまざまなレイヤー、属性の人々が学習するプラットフォームになろうというのが目標です。だから表題にテックメディアと置いてますが、とりあえずです。メディアという言葉がまあわかりやすいかなというだけなのです。

私は知識が人間をより自由にするという信念を持っています。金融や不動産の知識がないまま結婚をし子どもを作るとカップルは往々にして多量の負債に苦しむことになります。預金という余りにも不適切な資産運用方法を信じ、ATM/現金を都度利用して手数料を持って行かれます。

正しい知識を効率的に摂取する手段があれば、人間は権威的なサードパーティから搾り取られることを回避できるようになり、未来に投資できます。

私たちのプロジェクトは20世紀型の「メディア」ではなく、人間が認知するMediumの生成を科学することです。動画は一つの手段に過ぎません。

われわれは人が学習をするための媒介のあり方を検討しています。ひとつは動画であり、素人仕事ですが、こんなものを作っています(YouTubeチャンネル登録お願いします)。

https://www.youtube.com/watch?v=h3rTj1YhyX4&t=134s

動画製作に学習していると、画像生成にまつわるサイエンスの理解が深まってきまして、将来的にはAxionを深層学習、コンピュータビジョン、仮想現実、複合現実などの領域と融合していきたいと考えるようになりました。

今起こっていることは「アナログからデジタル」「テキストから動画」というシンプルな線形の変化ではなく、コンピューティングの進化と適応領域の拡大が、さまざまなものごとをゼロから設計できるようになり、しかもそれはさまざまな領域で同時多発的におこる技術的進歩に常に影響されている、ということです。

この波に乗って新しいことをやってみたいと思います。3年目の東京ですが最近はやっと楽しくなってきました。

 

 

 

ビジネスパーソンが3分で分かるスマートスピーカー

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スマートスピーカーが日本にも上陸して注目を集めています。スピーカーに搭載されたエージェントが、あなたがしようとする仕事を助けてくれます。北米ではAmazon EchoとGoogle Homeの2強の様相です。マーケットシェアはAmazon Echoが70%、Google Homeは30%です。

円筒形のスタイルに囚われてはいけません。重要なのはその中身です。Amazon Alexa、Google Assistantと音声認識を採用するアプリケーションが載っています。アプリを介して、ピザを頼んだり、Uberを読んだりすることができますし、スマートTVをつけたり、チャンネルを変えたりできます。

Amazonは2年前に市場に参入しています。「音声で物事を実現する」ことに焦点を絞りパートナシップを広げています。電機、自動車メーカーとの協業でも大きくGoogle Assistantに先行しています。2017年1月の世界最大級のエレクトロニクス展示会では、数多くのメーカーの商品がAlexaを搭載したことで話題を呼びました。

Google Assistantは検索をロジカルに進化させたものです。言葉の意味体系やものごとの関係性に関してはGoogleは知識体系を築いており、これがアドバンテージになるかもしれません。人間の質問やその意図の「理解」に関してはGoogle Assistantが優れていると言われています。

Amazonか築いたリードが大きいか、Googleが検索で培ったアドバンテージでひっくり返すか、興味深いところです。

してこのスマートスピーカーの普及が意味することとはいったいなんでしょうか?

コンピューターとの触れ合い方の変化

かつてはコンピュータへの指示はキーボードからの入力のみで行われていました。

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それをアイコンなどの画像やマウス操作で、スティーブ・ジョブスがこの形の採用を推し進めてきました。これをグラフィカル・ユーザー・インターフェイスGUI)と言います。

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いまや、モバイルもこの形を取り入れるのが当たり前になりました。 人々は画面を直接タップして、コンピュータに要望を出すようになったのです。

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Via apple dev

これを音声で行おうというのが、コンピュータの時代の大きな変化と呼べるでしょう。音声認識はインターフェースとして新しい可能性を持っています。音声認識の精度は近年、ディープラーニングの活用により格段に向上し、人間の精度を超えるレベルに達しました。

人間にとっても音声を使うことは望ましいかもしれない。タイピングやペンで字を書いたりするよりも話すということはよりスムーズにストレスなく行えます。コンピュータへの入力が簡単ということです。人の頭脳への出力に対しても、近年はビジュアライゼーションなど、ヒトの頭脳に届きやすい方法が模索されてきました。 

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もしこれでコンピューターを動かせれば、もっと快適になります。あなたがコンピュータを使うことに関して持っている固定観念を破壊するでしょう。

いままではスマートフォンという形であなたの手元にあったコンピュータが、将来的にはあなたの目から隠蔽されます。あなたはアシスタントと直接触れ合っている感覚を覚えるかもしれません。

AI Everywhere

今あらゆるものがインターネットに接続されようとしています。北米ではスマートホームという形で家そのものを完全に接続された状態にすることが目指されています。

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Via Pixabay

あらゆるデバイスからデータが溢れ出てくるようになると、そのデータを遠くのクラウドに送るのは効率が悪くなってきます。賢いAIとそれを動かすコンピューターの力があなたの近くにあるならば、AIはその場でデータを処理し、あなたのためのアクションをとれるでしょう。

あなたはいつでもどこでもコンピュータの力を簡単に引き出し、問題解決ができます。そしてこれは中央集権の仕組みが分散型に移行することを意味してもいるのです。

AIをあなたの家に招き入れる、最初の一歩がスマートホームであり、まさしく「トロイの木馬」です。行き着く先は、コネクティッドになった家たちが都市を形成することです。都市・社会が新しいフェイズに向かいます。あなたも「トロイの木馬」を家に招き入れてはいかがでしょうか。

接続されソフトウェア化する都市

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Via Brade Runner / Youtube

予測

  • 家、交通、都市と私たちの生活をめぐるあらゆるものがコネクティッド(ネット接続された)になる。都市開発の仕方がシリコンバレー流のプロダクト開発の方法に変化する。人々は「ハードウェア」「アプリ」という形で都市に触れるようになる

論拠

主にAmazon EchoとGoogle Homeの間で繰り広げられているスマートスピーカー競争にはスマートアシスタントの競争という側面がある。このアシスタントはIoT時代の支配的な課題解決手段に成長する可能性があるため、極めて重要性が高い領域だ。スマートスピーカーは「家」という人々(People)がとても長くプライベートな時間を過ごす場所で、今までとは異なる形で人々と接点を作る機会がある。もともとはスマートスピーカーはモバイル、モバイルOSなど、ひっそりとデバイスに強い関心示していたAmazonの数多あるデバイス参入戦略の一つだったかもしれない。

しかし、2014年後半のAmazon Echoリリースから2016年、2017年と人々がついにこの奇妙な形をしたデバイスに慣れ始めたようだ。AmazonはEchoをとっかかりにAmazon Alexaのパートナーシップをスマートホームや自動車(ゆくゆくは自動運転車になるだろう)に広げた。今年1月のCESはそれを強く印象づけており、AmazonがEchoをテコにしてインターフェイスとデータを握り、AIプラットフォームを築いてしまうのではないか、と想像するのが難しくなかったのだ。

AI開発で優勢と考えられるGoogleはスマートホーム、自動運転車、エッジにいるアシスタント、そしてクラウドにいる強力なAIケイパビリティなどを組み合わせて、より高次なスマートシティを生み出そうとしていると考えられる。Googleは有り余るキャッシュでそういう「買い物」をしてきた。

例えば、Googleは昨年9月にUrban Engines買収を発表している。Urban Enginesは2014年にGoogleのマネジメント層だったエンジニア2人が創業。都市交通情報のリアルタイム分析を基に、最適な経路を割り出せるサービスを開発。リアルタイムで交通システムの状況を把握し、個々人に対しユニークな最適経路を提示することを目指していた。Urban Enginesがこれを実現するには世界のモバイルの8割に載るAndroidGoogle Mapをもち、欧州以外の政府とは交渉能力の高いGoogleとの合流が合理的な判断に違いない。

東京、上海、サンパウロ、ムンバイなどの超巨大グローバルシティの中を走る大量の自動車の動きを最適化するだけでも量子コンピューティングが提供する超膨大な演算能力が必要になるはずだ。加えて、個々に合理的な判断を下せるエッジのAIが、総体としての都市交通システムとユーザーの移動時間の最適化をはじき出すとは限らない。

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Via Urban Engines / Youtube

Googleのように世界を網羅するデータセンターを抱え、AIケイパビリティへの投資を誰よりもしているプレイヤーの力が必要だと考えられる。例えばGoogleの自動運転者Waymoが成功すれば、都市内を走る自動車の数は少なくでき、最適化問題をかなり簡単にする、はずである。あるいは、Googleが取得しているユーザーの位置情報・行動データなどを組み合わせていくと、素晴らしい解決策への手がかりがあるかもしれない。

住宅と都市というハードウェア

住宅と都市というハードウェア間の関係はまだ鮮明なビジョンが見えていない。GoogleサーモスタットのNestを2014年に32億ドルで買収している。鳴り物入りのNestはGoogleの企業文化になじまなかったと噂され、思ったほどの発展を遂げず、創業者のTony Fadellは昨年Nestを離れている。Google Homeは現状Nestとインテグレートされていない。AmazonはNestの競合であるEcobeeと協業しており、EcobeeはAlexaを組み込んだサーモスタットと監視カメラのシステムの製造を開始しており、この分野でも追走の手を緩めていない。

Alphabet傘下のSidewalk Labsは今年5月、トロント市政府からリクエストを受けて市中心部12エーカーの開発計画の提案をしたと言われる[Bloomberg]トロントは急速都市開発が進んでおり、米国からの投資を必要としている。米大統領Donald Trumpが移民に厳しい態度を敷いているため、ソフトウェアエンジニアなどがカナダに向かうケースも出ている。テクノロジーの中心地になる潜在性もある。異端研究の少人数グループを率いて、スーパーコンピューターでの実行に対応したアルゴリズムの並列化に成功したニューラルネットワークを開発し、今のAIブームの火を点けたGeoffrey Hintonはトロント大学に籍を置いていた(現Google)。

そして今回、トロント市東部のウォーターフロントを市の事業会社とSidewalk Labsが行うことを発表した。

創業当初のビジョンを変えていなければ、Nestは家に取り付けられたセンサー群から家主の特性を「理解」し、家主の生活を豊かにする家を提供することを狙っている。Nestはセキュリティカメラを製造するDropcamを5億5000万ドルで買収し、米国の郊外に在住する中間層以上の住宅に必須のサーモスタットとセキュリティカメラというパーツを同社のスマートホームの陣容に加えている。

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Via Nest

仮に人々がNestのセキュリティカメラを利用するとすれば、GoogleはAIケイパビリティを活かして動画から得られる情報からより家のパフォーマンスを上げることができるだろう。Googleは動画内に登場したものをディスクリプト、タグ付けする動画認識技術を今年のGoogle Cloud Nextで発表している。今後は動画の中にいる人間のコンテクストがさまざまなセンサーデータを混ぜ合わすことでわかるかもしれない。活用の仕方として例えば、複数のベッドルームで別々に家主が眠っているとしたら、熟睡に適した室内温度を調整する。あるいは家主が普段よりも頻繁に家の中を動き回り、Google Homeとのやりとりから怒りが感じ取れるときには、リラックスを促す背景音楽を流すというようなことだ。

世界的に都市居住者の割合が拡大しており、都市を発達させることは急務だ。世界的に、都市部の人口が農村部に比べて増加しており、2014年現在、世界人口の54%が都市部に居住している。1950年にはその割合は30%であり、2050年には66%まで増加すると予測されている。世界最大の都市は東京(人口3,800万人)。東京の次に、デリー、上海、メキシコシティ、ムンバイ、サンパウロが続く。2030年、東京は人口3700万人で世界一を維持するとされているが、それまでにデリーの人口も3600万人まで増加することが予測される。※UN "World Urbanization Prospects 2014"

Google共同創業者のLarry Pageは早い段階からスマートシティ構想に関心を抱いていたと言われている。昨年からSidewalk Labは、シリコンバレーのテクノロジー企業を急激に成長させた手法を利用し、インターネット起点の都市を開発することを公に語り始めた。CEOのDan DoctoroffはPageの関心はゾーニングの抜本改善やハウジングコストを削減することだと語っている。Sidewalk Labはマイクロシティや大規模街区開発に興味があり、それにより同社のアイデアを示したい考えという。Sidewalk Labはすでにニューヨークでは市政府との事業で街中にキオスクを設置しフリーの超高速WiFiを提供している。

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Via Link NY

ニューヨーク住民の36%は自宅でのコネクティビティがない。コネクティビティは人権だという考えに立脚している。※How tech innovations make life in cities easier | Eric Baczuk, SideWalk Labs

ソフトウェアとして都市を考える

Anand BabuとCraig Nevill-Manningは「デジタルプラットフォームシティ」というコンセプトを提示したことがある(Google Tech Talk, 2016年2月)。都市の物質的な側面をハードウェア(Hardware)ととらえ、交通、大気状況、位置などを入力(Input)、アプリ、信号機、ドアロックなどを出力とする。仕組みの中心(Kernel)にコネクティビティ、許認可、交通コントロールを据える。4Dマップ、分析・シミュレーション、需要マネジメントなどをサービスとし、交通や住民サービス、市行政などをアプリケーション(Apps)と捉えている。都市をアプリケーション、サービス、ハードウェアとして捉えて、人々を中心に据えた構築を行うことを提唱している。これは都市開発において極めて新しいマインドセットだ。

 

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Via YouTube/ GoogleTechTalks

これは都市を「プロダクト」としてとらえようとする試みだ。都市開発はつまりプロダクト開発という形に変化する。シリコンバレーが成功したイノベーションの方法を都市開発にも活用する。人々から見た場合、都市はハードウェアとアプリという形でとても触りやすく、エンゲージしやすいものになる。ハードウェアやアプリはユーザー中心の哲学のもとリアルタイムで設計・改善されていく。

アシスタントは人と都市の関係をより円滑にできるかもしれない。人々はアプリを直接使うのではなくアシスタントに要望を伝えると、アシスタントが煩雑な作業を代替してくれるはずだ。アシスタントが裏でアプリと連携して自動運転車を呼んでくれたり、さまざまな煩雑な行政上の手続きをアシスタントとの会話だけで済ませたり、最適な経路をリアルタイムで教えてくれたりするだろう。

結論

筆者はインドネシアの首都ジャカルタで5年間過ごした。周囲の地域を含めたジャカルタ都市圏は4000万人規模の人口がいると言われていた。そこには行政府に届け出を行わない低所得者層は含まれていなかった。都市は世界最悪レベルと呼ばれる交通渋滞を抱え、各種の都市インフラの整備が急速な経済成長にまったく追いついていなかった。中央・地方政府の腐敗はこの状況に拍車をかけていたのは明白であり、シンガポールに別宅を構える富裕層があふれる中、都市が生み出すさまざまな要因と相関性のある貧困に、かなりの割合の住民が苦しんでいた。

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2008年にアメリカのデトロイトを訪れたときも、強烈なドーナツ化・探りゲーションと市中心部の治安状況の極めて悪い状況を知った。都市に人が集まる

もしこのマインドセットで都市開発を行えたら、アメリカの都市だけでなく、東京、そしてジャカルタ、ムンバイ、サンパウロのような新興国メトロポリスの課題を解決できると期待している。

 

トロントで未来都市を建設するGoogle

Alphabet子会社のSidewalk Labsはトロントの東部ウォータフロント地区の開発をめぐり、カナダ連邦政府オンタリオ州政府、トロント市が共同で構成しているWaterfront Trontと契約を交わしました。Sidewalk Labsは12エーカー(約4ヘクタール)のウォーターフロント地域の開発を開始します。この4ヘクタールはパイロットであり、プロジェクトは下の写真で示される地域を含む、最大約324ヘクタールに上ると言います。開発対象区域は北米最大規模の未開発地域にあたります。

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Via Sidewalk Toronto

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Via Sidewalk Toronto

1.ビジョン

Sidewalk Torontoが掲げるビジョンを意訳します。

東部ウォーターフロントはエネルギー利用、ハウジング、交通を含む都市が直面する大きな課題をデジタルテクノロジーと都市デザインを組み合わせることで解決を図ろうとする新しいタイプの場所になるでしょう。

住宅や小売スペースをより手頃なものにするため、さまざまなユースケースに柔軟に対応可能な建物や新しい建築方法を取り入れる場所になるでしょう。人を中心とした通りの設計と様々な交通手段が、プライベートカーよりも手頃で便利な場所です。同時に、地球環境を守るため、エネルギー、廃棄物、およびその他の環境問題に革新を促す場所でもあるのです。家族が一日中一晩中屋外で楽しむことができ、コミュニティの関係が強い場所。そして、誰もが受容できるプライバシーとセキュリティを諦めることなく、デジタル技術とデータによって強化された場所です。

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Via Sidewalk Toronto

2.ロスのない交通手段

交通手段には私用車は用いられないと考えられます。下図のように、

を使うことで、都市内でのロスのない人とモノの移動を達成することを目指しているようです。地下に電線や水道管などを集約し、物流ロボット用の経路を確保します。これにより地上の景観がよくなるとともに都市インフラの効率化も図れます。

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Via Sidewalk Toronto

3.多用途に適応し、低価格な住宅、小売店用不動産

米国内の一部地域では不動産価格が高騰しており、中間、低所得者層が住宅を手に入れるのには大きなハードルがあります。都市計画者が住宅のデザイン、建築方法などまで一貫して決めていくならば、より「都市ユーザ」のニーズにかなう住宅を生み出せます。 

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Via Sidewalk Toronto

4.センサーデータによる都市のソフトウェア化

Sidewalkの計画書によると、公園のベンチ、浪費されるビン、騒音、環境汚染のレベルなど都市のすべてのものにセンサーを取り付けるようです。そのほか人々は常に超高速のインターネットを利用することができます。

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Via Sidewalk Toronto

あらゆるセンサーからもたらされたデータにより、都市のリアルタイムのアップデートが可能になるかもしれません。蓄積されたデータから長期的な都市開発の画も描けるようになるはずです。計画書は「プライバシーやセキュリティをあきらめることをせず」これらを達成すると表現しています。 

5.都市内発電や医療の民主化

プロジェクトはサーマルグリッドや遠隔地ではなく都市内で行われる発電、すぐさま利用できる医療施設などの開拓者になる予定です。住人のコミュニティの結びつきが深い場所になるようです。すべて米国が抱える課題を踏まえたビジョンです。

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Via Sidewalk Toronto

 6.カナダのシリコンバレー

Alphabetのカナダ本社もこの地区に移転することが確約されているため、トロントとしても巨大企業を招き寄せることができます。ドナルド・トランプ以降、米国は技術者の移民を受けいるのが難しい状況であり、トロント大は近年の人工知能のブレークスルーの震源地のひとつで、Alphabetはトロント大のジェフリー・ヒントン氏が設立した企業を買収するなど、この地域に深い関心があるでしょう。テック企業が好む未来都市ができれば、トロントの地位は相対的に上昇するはずです。

 

Alpha Goが人の手を借りずに最強になったことが意味すること

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Via DeepMind

最近Google人工知能開発ブレーンであるDeepMindは「AlphaGo Zero」が、データなしの学習で、AlphaGoの以前のバージョンよりも高いレーティングを達成したと発表しました。AlphaGo Zeroは自己対局のみでスキルアップし、人間の手を借りていません。つまり、囲碁やそれに類する完全情報ゲームに関しては多量のトレーニングデータなしで優秀なモデルを作れることが明らかにされました。

オセロ: (探索空間の大きさ: 10の60乗)
チェス: (探索空間の大きさ:10の120乗)
将棋: (探索空間の大きさ:~10の220乗)
囲碁: (探索空間の大きさ:~10の360乗)

囲碁は完全情報ゲームでも随一の複雑さを誇ります。完全情報ゲームの中で囲碁だけが他と比較して際立って人間優勢でした。一般に探索量の多いゲームほどコンピュータにとって難しいとされていました。

この常識を破ってしまったのがアルファ碁です。アルファ碁は世界で最も強い棋士の一人、韓国の李セドル九段や柯潔九段などに勝利しました。

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Via AI Research

アルファ碁同士の対局の棋譜が公開され、機械たちが人間の常識を打ち破るような手筋を打っていたことに注目が集まりました。アルファ碁は人間の棋譜をトレーニングデータとした後は、ニューラルネット同士の対局を繰り返すことで進化したのです。

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Takushi Yoshida

でも、今回のAlpha Goは最初の人間のトレーニングデータを利用していないのです。それにもかかわらず、李セドルに勝利したバージョンを超すのに、学習に要したのは3日です。それよりも格段に強いバージョンであるマスターに勝利するのにも21日のみです。

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Via DeepMind

「有望さ」を足がかりにする探索

アルファ碁は一手指すために有望そうな手を中心に、複雑な方法をとりながら膨大なシミュレーションを進めていきます。アルファ碁の力がある地点を超えた後は、そのシミュレーションは人間が想定もしていない手を含んでおり、人間には奇妙に見えます。

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完全情報ゲームと不完全情報ゲーム

アルファ碁のとった探索方法が他の分野、あるいは現実世界にどれだけ応用可能か、はとても興味深い問いです。この応用可能性を考える際に重要なのが完全情報ゲームと不完全情報ゲームというカテゴリの違いです。

完全情報ゲームはプレイヤーはゲームの情報のすべてを得ることができます。自分がしたことの影響や周辺要因のすべてが明らかなゲームです。オセロ、将棋、チェス、囲碁などがこれに当たります。

不完全情報ゲームはゲームの情報の一部分がプレイヤーから見えないようになっているものを指します。麻雀やポーカー、バカラのようなカードゲームがこれに類します。

 

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不完全情報ゲームでは、実力だけでなく運も勝敗を左右します。プレイヤーが取得できる情報は限られており、限られた情報からリスクや成功可能性などを推測しないといけません。さまざまな不確実性に覆われています。プレイヤーは戦略の立て方がとてもむずかしいのです。

今後はAIが不完全情報ゲームでどれだけ人間にキャッチアップできるかが重要になるでしょう。極めて条件の限られたポーカーのゲームでは、AIが人間に勝つという事象が出てきています。この限定的なルールのもとでは、AIは人間よりもリスク算定に優れているようでした。ポーカーは投資のゲームと言われますが、AIは自分の優位を確信すると容赦なく他のプレイヤーにプレッシャーをかけます。今後はAIが人間に迫る時期が来るかもしれません。

Alpha Goの登場は何を意味しているのか?

・完全情報ゲームではAIは人間の知見を頼らずして人間を超えてしまう
・条件が限られたタスクに関しては機械が人間に勝るという未来は近い

AIが得意な仕事は、AIに取って代わられる日が来るでしょう。AIが得意な領域も拡大していくかもしれません。でも、それでいいのです。社会は生産性を劇的に向上させることができます。私たちは働かずして稼ぐことができるでしょう。

でも、人間社会の仕組みがそのままなら、大量の失業者が生まれ、所得格差が異常なレベルに達します。スラム街から英雄が現れ、コンピュータを破壊する宗教をはじめるかもしれません。

私たちの社会や考え方が、急激な生産性の向上や、さまざまなサービスに安価にアクセスできるというAI時代の利点を受け入れられるようにしないといけません。それはこの社会がどんなものであるべきかということを根本から考え直すことでしょう。

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Via Wikimedia commons

Alpah Go Zeroが人間のトレーニングデータを必要としなかったように、今後私たちは、バイアスにさらされる人間の頭脳ではたどり着かない手法や解決策を手に入れられるようになります。そのときに混乱せずに、新しいコンピューティングのちからを活かせる社会こそ、最も必要なものなのです。脳みその外側で考えましょう。

 

ビジネスパーソンが3分で復習できるビットコインメモ

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Via Pixabay

最近ビットコインの価格が上がっており、ビジネスパーソンの話題になることが増えています。ビットコイン時価総額は958億ドルに達しており、NTTドコモ(915億ドル)やMUFG(920億ドル)を凌いでおりソフトバンクに迫る勢いです(10/16時点)。

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by Takushi Yoshida

ビットコインとその根幹技術であるブロックチェーンはすでに巨大なお金を載せており、 影響力を高めています。ビットコインは少しずつ、しかし確実に世界を変えています。

ところが、ビットコインは説明がかなり難しいのです。でも、ここでは簡単にビットコインとそれがいまどんな意味を持つかを説明してみます。

発行者のいない非中央集権通貨

ビットコインには中央銀行のような発行者がいません。え、発行者がいない通貨なんて可能なんでしょうか? それを可能にしたことこそ、ビットコインのすごいところです。

ビットコインでは、取引の記録は世界中のコンピュータにおかれています。分散型台帳と表現されます。いままで銀行たちが行ってきたことを、ネットワークによって置き換えてしまったのです。すごいですよね、革命的でしょう。

この分散型台帳の正当性と新たに加わった取引を検証し、そのかわりに報酬を得る人のことをマイナー(採掘者)と呼びます。しかしこのような感じではありません。

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Via Pixabay

むしろ、彼らの多くは中国の山奥にいて、このような自分らで組み上げた特殊なコンピュータを使って(中には太陽光発電を同時に行うものもいます)「マイニング」をしているのです。

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Via Wikimedia commons

マイナーはコンピュータを使ってパズルを解く競争をします。最初にパズルを解いたマイナーは取引を入れたブロックを他の人たちに見せ、その妥当性が検証されます。検証が終わると、ブロックは世界中のつながり合うコンピュータたちに配られます。最初にパズルを解いたマイナーには一定量ビットコインが報酬として渡されます。この新しいブロックの生成は10分毎におこなわれています。

ブロックは鎖で繋がれたように最初から最後まで連なっており、ブロックとブロックを暗号でつなぎ留めてあるのです。これがブロックチェーンと呼ばれるゆえんです。

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仮に悪意の攻撃者がいたとします。仮に一カ所のデータを改ざんすることに成功しても他の場所にあるデータは変わらず、ブロックチェーンは常に多数派の取引データを優先する仕組みをとっているため、改ざんされたブロックを含むチェーンは消滅します。悪意の攻撃者がネットワークの力の過半数を握らない限りは、ブロックチェーンをめちゃくちゃにすることができないのです。

しかも、善意の人たちを圧倒する攻撃には莫大なコンピュータリソースを必要とするので、そもそもそれだけリソースがあるなら、ビットコインを攻撃するより、マイニングする方がするほうが確実にもうかるので、ますます攻撃する理由がなくなります。ここでゲーム理論上の極めて難解な問題を解決したと主張されているわけです。すごいですね。

トラストレス、中間者なし

このやり方は中央銀行のような集権的なプレイヤーを生まない、画期的ものです。既存の金融システムは、二者間で交わされた取引を保証する善意の第三者を必要としています。この第三者のコストを負担するのはあなたなのです。

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しかし、ビットコインの仕組みはこの「信用」を必要としないのです。トラストレスというこの概念は破壊的であり、多くの金融機関の必要性に疑問を投げかけてしまうかもしれません。

ネットワーク上で交わされた取引の記録は、誰もが改ざんできない台帳に書き込まれ、それは世界中のコンピュータに妥当性の検証を繰り返しながら保存されることにより、あなたが個人間で行う取引は安全になります。銀行という中間者を経由しないで、個人だけで金融機能を使うことができます。

鍵管理と自由のトレードオフ

あなたは自分のお金の管理権を金融機関に委ねる代わりに、渡された「鍵」を安全に保管することで、自分のものにできるのです。鍵の管理はあなたの自己責任です。この鍵の管理には細心の注意を払わなければいけません。この鍵はあなたが取り返した、自由や独立性を表現していると言って良いのです。

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ビットコインは既存の技術のコンビネーションによって生まれました。考案したのはサトシ・ナカモトという日本人らしき人です。

ビットコインの3つの背景

最後にビットコインの重要な3つの背景を指摘しましょう。

1. 世界金融危機

サトシ・ナカモト論文が発表された2008年は世界金融危機に世界が苦しんでいたときでした。危機は既存金融機関の状況を克明に明らかにしました。世界は新しいお金のあり方を求めていたのでしょう。

2. 国家 vs プライバシー

サイファーパンクと呼ばれる暗号学者たちはNSAなどに代表される、国家による市民監視をよしとせず、市民のプライバシーを守るため暗号学を発展させ、政府が独占しようとしていた暗号技術を民間の人々が利用できる激しい活動をしました。サトシ・ナカモトが最初に論文を投稿したのが、このサイファーパンクのメーリングリストなのです。

3.インターネット

ビットコインの利用はインターネット接続を前提にしており、ネットが現在のレベルまで発展をしたことが、ビットコインの成立要件をみたしました。インターネットがさまざまな領域で起こしている変化と同様、ビットコインにも個人をエンパワーする影響力があるのです。インターネットにまだつながっていない人は世界中にいます。彼らはデフォルトから暗号通貨に触れる機会を持っているかもしれません。変化はまだ始まったばかりです。

 

Ethereumが金融引締め マイナー影響力抑制の第一歩

 

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Via Pixabay

第2の時価総額を誇るブロックチェーンであるEthereumで「Byzantium」と名付けられたハードフォークが昨日行われました。ByzantiumはEthereumアップデート「Metoropolis」の第一弾ハードフォーク。この後にConstantinopleのフォークにより、Ethereumは現行のHomestedからMetoropolisに完全移行します。今回のフォークは遠大な金融引締め策の第一弾であり、マイナーの影響力を抑制する劇薬を投下したという意味合いがあります。

EthereumはDifficulty Bombというアルゴリズムを実装しています。このアルゴリズムのもとでは段階的にブロック生成時間が伸び、マイニングブロック数、マイニング報酬が縮小していきます。ETHの価格が上昇するか、ガスのプライスを釣り上げられない限りは、マイナーのETHマイニングのインセンティブが徐々に低下していきます。

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今後はETHの流通量の無尽蔵な増大が抑制されていくことを意味します。いわゆるデフレ政策です。デフレ政策の向こうには、Metoropolis移行とともに現行のコンセンサスアルゴリズムであるPoW(プルーフオブワーク)からPoS(プルーフオブステーク)の実装が待っています。開発者コミュニティはこのPoS実装の際にはステークホルダーが新しいチェーンに移行することを要求しているので、ある意味「ふりだしに戻る」が起きるということです。

PoSはコインを株式を保持する資本コストに置き換えます。コンピューティングパワーに関係なく、コインに基づいた利益を得るので、PoWで生じているような強者への集権化を防ぐことができると説明されています。そう、PoSは本質的にはマイナーというステークホルダーの力を劇的に抑制します。

皆で同じ問題を解くPoWは非効率的であり、PoSの説明が正しければ素晴らしい限りですが、さまざまな検証が必要だと考えられます。PoWはマイナーを分け隔てて報酬を設定し、マイナー間に競争と抑制をもたらしています。これによりある程度の非中央集権化に成功しています。PoSはこれより質の高い非中央集権化を目指しています。

他方、PoSは一部のコイン保有者連合が独占を成功させる恐れがあります。PoSがEthereumのような取引所での取引額がある通貨で試された例はありません。載っているお金が大きかったり、コインの特性が異なれば、ステークホルダーの行動は異なるものになる公算は高いです。ブロックチェーンの開発は引き返しづらいため、トライエラーを繰り返す手法が効かないのは少し苦しい。

Zcashの秘匿トランザクションを取り込む

今回のハードフォークではここが最も大きなアップデートは、Ethereumでも秘匿トランザクションが活用できるようになったことです。Ethereum上にZcashに使用されているゼロ知識証明を利用したzk-SNARKsを導入しました。ブロックチェーンはそれまでのトランザクションが連なっており、ノードであればそのすべてが開示されているという透明性を誇ります。スマートコントラクトは秘匿された方が好ましいものも含むことができます。

参考

Byzantium HF Announcement - Ethereum Blog

Releases · ethereum/mist · GitHub

IMFが予見する「銀行の終わり」:仮想通貨とデジタル金融のテイクオーバー

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Via Wikimedia commons

IMFのChristine Lagardeは9月29日に行われたイングランド中央銀行におけるディスカッションで、Bankingの終わりと暗号通貨の勝利を予見したことが話題になりました。半月前の話題ですが掘り下げてみたいです。

今のところ、Bitcoinのような仮想通貨は、法定通貨フィアットカレンシー)と中央銀行による既存の秩序に挑戦しているとはいえません。

仮想通貨はあまりにもボラティリティが高く、リスキーすぎたり、(ステイクホルダーの)エネルギーに頼りすぎており、基礎となる技術はまだスケーラブルではないためです。多くは規制者にとってはあまりにも不透明で、なかにはクラッキングされたものもあります。

一部の専門家はパーソナルコンピュータは決して採用されないと主張し、タブレットは高価なコーヒートレイとしてのみ使用されると主張したのはそうそう前のことではありません。だから私は無下に仮想通貨を退けることは賢明ではないかもしれないと思います。 

Lagardeは、国内金融機関と通貨が脆弱な国が、自国通貨の代わりに米ドルを利用する代わりに、仮想通貨の利用を拡大する可能性があると指摘します。アフリカのセーシェル共和国ではドルの利用率が2006年の20%から2008年の60%に急増したが、新しい通貨の採用にはティッピングポイントがあることをIMFの経験は示しているとLagardeは語っています。

なぜ市民は物理的なドル、ユーロなどではなく、仮想通貨を保有しているのでしょうか? (社会の治安が完全に確保されていない開発国の)地方では仮想通貨の方が、紙幣を手に入れるよりも、ずっと簡単で安全になるかもしれないからです。仮想通貨は実際により安定したものになりえます。

暗号通貨の決済はまだ先か

Lagardeは、仮想通貨がフィアットとその上に築かれた種々の決済手段より、優れたペイメントサービスになる可能性に触れています。ただし、ビットコインがスケーラブルな優れた決済手段になるかどうかはレイヤー2の開発次第であり(あるいは2xなどのブロックサイズの拡大)、まだまだ時間がかかる気がします。

それとは別に、金融にアクセスできない一般のケニア市民は安全性の観点から紙幣を貯めることよりM-Pesaに貯蓄することを選んでいますが、お金をデジタル上で扱おうとする最初の一歩をまたいでおり、最終的にはフィアットをデジタル上で表現するよりはデジタルネイティブなお金(暗号通貨)をやり取りしたほうがいいのではないかとなる可能性を秘めています。

スマートフォンとインターネット接続が金融機関へのアクセスより先に広まっている国は、ロジカルに考えると金融機関を構築するコストより、モバイルバンキングやインターネットカレンシーを採用するコストの方が遥かに安く、かつ利便性・効率性も高いという結果になります。

システムの観点によると、先進国のレガシーな金融システムは、中国や開発国で採用されているデジタル金融の採用するアーキテクチャに対して、パフォーマンスが激烈に劣ります。その仕組はいちいち「ビフォアインターネット」なのです。

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Via Kevin Dooley

インドや東南アジアでもモバイルペイメントのアプリケーションが瞬く間に広まり、最終的には金融機関の役割を果たそうとしているといます。仮想通貨はこれらのデジタルペイメントと強調する形を取ることもできますし、開発者の考え方によってはプロプライエタリな仕組みになっていくこともできます。

アフリカの野心な国は最初から仮想通貨・デジタルバンキングの採用に取り組めば、発展国に対してアドバンテージをとれるのです。リープフロッグです。

トラストレスの衝撃

Lagardeは仮想通貨やデジタル金融などを金融仲介機能における新しいモデルだと評価しているようです。レガシー金融は常にクリアリングハウスなどの善意の第三者を必要とします。ブロックチェーンの特徴はトラストレスな価値の移転を可能にすることで、中間者を排除できることであり、善意の第三者いらず。これにより、取引を行うピアたちを「中間者の支配」から解放することができるともいえます。

ひとつの可能性は銀行サービスのアンバンドルです。将来的には、電子ウォレットにおける決済サービスを利用するための残高を最小限に抑え続けることが可能かもしれません。残りの残高は、自動的なクレジットスコアに基づいた、人工知能やネットワーク上のエッジに蓄積されたビッグデータを伴うP2Pのレンディングサービスに投資されてもいいでしょう。

この一部はアリペイがウォレットとモバイル上で簡単に投資ができるマネー・マーケット・ファンドMMF)である「余額宝」ですでに実現しています。JPモルガンの米連邦政府MMFを超えて世界最大規模に発展しました。

これは、ソフトウェアを中心とした6カ月間の製品開発サイクルが絶えず更新された世界であり、シンプルなユーザーインターフェイスと信頼できるセキュリティに対する大きなプレミアムを備えています。データが王様な世界。ブランチオフィスを必要としない「多くの新しいプレーヤーによる世界」です。

銀行預金が少なくなり、新しいチャネルを通じてお金が経済に流入するようになると、これが現行の銀行モデルに疑問を投げかけていると主張する人が現れ始めるだろう。

おそらく近い将来に銀行に預金するという無駄な行為を行う人達は世界からいなくなるはずです。金融は暴力的な速度で民主化されています。金融を人々のためのソフトウェアに作り変える運動、それこそ近年の金融変革の重要な側面なのです。

結論

  • IMFは長い間、国際基軸通貨を米ドルの代わりにIMFが管理する特別引出権 (SDR) と呼ばれる国際準備資産に取り替えようとしていました。しかし、世界金融危機の後でもドル覇権は崩れていません。したがって、脆弱な経済の開発国がドルを通貨として採用したり、自国通貨をドルペッグにする代わりに仮想通貨を活用するというアイデアIMFにとっても理にかなうのではないでしょうか。
  • Lagardeは日本の中央銀行当局より先端領域の学習が深い気がしますし、世界各国で起きている金融上の革命を理解している印象を抱きます。日銀の中の人や周辺産業の「レガシーエリート」も「書を捨てよ、街に出よ」、というかバックパッカーしろ、ということで知見を広めてほしいなと思います。ちゃんと目を凝らしてモノをみれるのなら、日本は暗号通貨においていいポジションを取れる可能性があります。

参考

Photo via Wikimedia Commons, Kevin Dooley

 

中国のAI開発が台頭:巨大企業が牽引する「AI Everywhere(无处不在)」

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予測

中国がアメリカに並ぶAIの2強に躍り出ようとしています。BATなどの巨大企業が推進力の核になりますが、同時に有望なAIスタートアップとそれを育てるエコシステムが生まれつつあります。AI開発と社会への適用は産業のオートメーション化など中国社会に大きなインパクトを与えようとしています。13億人の国はAIと経済社会をめぐる巨大な実験場になる可能性を秘めています。

論拠

昨日のブログポストでAlibabaが最先端領域に対しムーンショット投資を開始することについて触れました。目を凝らしてみると、AI、IoTなどのバズワードで表現される各領域は不可分であり、一か所で起きた変化が、他の場所での変化を誘発するような状況です。

McKinsey Global Instituteからの引用で、グローバルにおけるAI領域に対するVCの投資額は5億8900万ドル(2012年)から50億ドル(2016年)まで拡大しました。MGIはAIが応用される市場の規模は2025年に1270億ドルに達すると予測しています。AI関連M&A件数(2011年1月〜2017年2月)を比較すると、米国が55件に対し、中国は10件と差があります。加えて、中国政府は米国政府に比べてデータの開示で大きく劣っており、両者にはまだ差があるように考えられます。

豊富な人材、データ、インフラ 

しかし、中国は急激に伸びているのです。中国のAIケイパビリティの急速な拡大は今年に入り著しいのです。The Economistから引用します。

ホワイトハウスは2016年10月、中国が深層学習に関する論文数において、アメリカを追い抜いたというレポートを発表。PwCは、AI関連の経済成長が2030年までにグローバルGDPを16兆ドル増加させると予測している。半分近くが中国の増加分に当たる可能性があると予測する。中国の研究者によるAI関連特許提出件数は近年では200%近く増加している。ただしアメリカはまだ絶対数で大きく先行しているわけだが。 

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  • 自国企業によるクラウドコンピューティングの成長。大企業からスタートアップまでデータセンター建設に勤しんでいる。ガートナーによると、クラウドコンピューティング市場は近年、年30%以上の成長を続けている
  • 民間AI投資の拡大。Wuzhen Institutによると、2012〜2016年に中国の「AI企業」の調達額は26億ドルに達している。アメリカの「AI企業」が調達した179億ドルより少ないが、急速に成長している
  • 豊富な人材。中国はAI科学者の5分の2を抱えている。各大学はAIプログラムを開設しようとしている。
  • 中国人は”プライバシー”を気にしない。バイクシェアではユーザーの利用方法をGPSなどでトラックし、スコアリングしている。Alibaba、Tencentのサービスでも信用スコアを可視化している

Tencentの猛追撃

中国最大のソーシャルメディアネットワークの運営者であるTencentは、機械学習、コンピュータビジョン、音声認識自然言語処理に携わる50人のAI科学者を抱えています。TencentはBeijing Automotive Group (BAIC)を結成して自動走行車においてBaiduと競争を開始しました。

テンセントはBATのなかで最もAIへの取り組みが遅れていると考えられていました。AI研究所を開設したのも今年です。以下のTencent取締役のベニー・ホー氏と2016年に行ったインタビューでは、ホー氏にAIに関する質問がすべて却下されてしまいました。 

しかし、TencentはAlibabaやBaiduよりも多くのデータを持っています。Tencentは約10億アカウントを持ち、支払いやニュースから地図、法務支援まで、何千ものサービスのプラットフォームとなっています。その他、リーグオブリーグやクラッシュ・オブ・クランなどの大ヒットゲームの運営元でもあるのです。

TencentにはAI開発における強力な利点があります。

  • SNS、チャットから収穫される豊富な行動データ
  • ユーザーがアップロードする豊富な画像、動画群
  • Wechat Pay(微信包銭)の決済データ
  • クレジットスコア

Alibabaもコマース・決済を中心にした莫大な行動・購買データを抱えています。Amazonが倉庫内で行うロボティクスも即座に真似をしてしまいました。

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Via Tech Insider

Baidu、Alibaba、Tencentが率いる中国のハイテク企業群はAI専門家を雇い、新しい研究所を作り出しています。AmazonGoogleMicrosoftが運営するものに匹敵するデータセンターに投資しています。中国の起業家や投資家がさまざまな業界でAIを活用する大きな機会を狙っているため、資金は無数の新興企業にも流入しています。TencentとAlibaba、ソフトバンクが出資する滴滴出行は現行のライドシェアを発展させた自動走行車サービス提供を目指しています。

AIスタートアップの台頭

大型企業の躍進だけでなく、北京の熱狂的なスタートアップシーンは既に強力なAI企業を生み出しています。2014年に設立されたSenseTime。すでに世界で最も貴重なAIの新興企業のひとつになっています。 SenseTimeは香港中文大学にあるXiaoou Tang教授のマルチメディア研究室を母体として2014年に設立。深層学習、コンピュータビジョンのトップレベルの研究者,GoogleMicrosoft、Baiduなどの産業界で活躍した優秀な人材を集めています。

SenseTimeは国有キャリアChina Mobileやオンライン小売大手JD.comなどの大手中国企業にコンピュータビジョン技術を提供しています。SnapchatとInstagramのコンピュータビジョンを活用したARフィルターなどを素早く模倣しています。顔認識や自動走行車に活用される歩行者・自動車などの即時物体認識を開発しています。

同社は現在、自動車システムなどの市場を研究しています。SenseTimeは今年7月に4億1000万ドルの資金調達を行い、15億ドルの評価額が付きました。日本のAIビジネスで唯一の希望(?)である製造業分野への応用についても、世界最大の製造業国である中国の引き離しが濃厚でしょう。

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SenseTimeの取引先。中国の巨大企業が軒を連ねる。

ニュースアグリゲーションのToutiaoは機械学習をニュースのアグリゲートやフェイクニュースの検出に使っており、時価総額10億ドル超のユニコーンになりました。他にも、iFlytekはマンダリンを複数の外国語に自動翻訳するボイスアシスタントを提供し、Megvii Technologyは人間の顔を即時に認識するコンピュータビジョンを提供しています。

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※日本では、Preffered Networkやマザーズで株価を暴騰させているPKSHA Technology にこれらの役割が期待されているようです。

急激なAIドリブン化の光と影

他方で13億人社会に光と影の両面を落とすことになる可能性があります。

AI技術は生産性を飛躍的に向上させる可能性があるため、中国の経済成長とその労働に大きなインパクトを与えるでしょう。中国の労働、一次産業だけでなく二次・三次産業の半分は自動化が可能と考えられ、中国は世界最大の自動化の舞台になる可能性があります。労働市場への影響は総じて漸進的であると考えられるが、それは突発的なものになる可能性も否定できません。特定の作業活動のレベルでその変化は劇的になり、一部の仕事はかなり早いタイミングで時代遅れになるはずです。

労働者のAI / デジタル技能に対するプレミアムを高めなければ、中堅・低技能労働者への需要が減るなかで、労働力の高付加価値産業への移転を成功させることは難しいでしょう。AIの活用は社会全体の所得の不平等を悪化させる側面をもっています。しかし、これらは分配の問題に過ぎず、むしろ生産性、生産には著しい改善が見られるはずなので、ユニバーサルベーシック・インカムなどの巨大な実験場になるかもしれません。

今後中国では、米国を先例として民間主導型の開発が進められていくはずです。BATはすでに世界有数の巨大企業となりグローバル企業化が進んでいます。ここにAI領域の力が備わるようになると、今後はBATと政府の関係などに大きな変化が現れると考えられます。Googleがワシントンでのロビーイングに最も資金を拠出している会社になったり、Amazonが米政界内幕話新聞のWashington Postのオーナーになったりということが中国でも起きてくる可能性は否定できません。

結論

中国のGDP成長は停滞を開始している模様であり、公式発表のGDP成長率を鵜呑みに出来ない状況を考えると、AIのようなディスラプティブな最先端領域への投資は、共産党としても避けがたいと考えられます。世界第2位のエコノミーではあるものの、すべての人が豊かになったとは言い難い状況です。マクロの数字の一部が光り輝いても、社会の一部には不満が渦巻いており、人々は政治的、経済的自由を求めているはずです。それが、中国政府が中国を2030年にAIイノベーションの中心にするという目標の背景になっています。

参考

www.mckinsey.com

Photo Via Pixabay

少数の超巨大企業が技術革新を牽引する時代:アリババの150億ドルムーンショット

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分析

  • AI、IoT、量子コンピュータなどの分野で中国勢の強烈な興隆が起きています。中国政府、産業界はこれらの新規領域への投資の重要性を理解しており、ムーンショット型の投資を進めようとしています。
  • 日本政府は社会保障関連の予算を大幅に圧縮し、電子化による効率性の高い機構へと改造される必要があります。その資金を子どもから若年層の科学教育や科学研究費に当てることが求められます。
  • 研究者がアカデミアからインダストリーへと活躍の機会を移す動きが主に機械知能領域で起きました。今回のアリババの動きはその動きを中国でもなぞろうというものです。日本でも企業の利益剰余金をこういう分野への投資にあてるべきではないでしょうか

アリババが今後3年間で150億ドルをグローバルR&Dに投資すると発表しました。プロジェクトは「DAMO Academy」との名前が付きました。「Academy for Discovery, Adventure, Momentum and Outlook」の略です。米国は米サンマテオ、米ベルビュー、モスクワ、テルアビブ、シンガポール、北京、杭州の7カ所に設立。100人程度の研究者を雇用する予定と言われます。

ブルームバーグによれば、アリババが過去3会計年度に投じた研究開発費は64億ドル。今回発表した支出額はその2倍以上に当たります。GoogleのGoogleXや買収したDeepmindなどのムーンショットを真似た試みを行おうとしています。

アリババの株価は今年うなぎのぼりを続け、時価総額は4690億ドルに到達しています。16:20現在、Amazon.comを超しています。財務基盤が固く、キャッシュも豊富であり、リスクの高いムーンショットが行えます。決算数値の検討に関してはStockclipを参照ください。

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人工知能で米国にキャッチアップ

ゴールドマン・サックスのレポートは、中国の人工知能領域は米国に急速に追いついていると指摘しました。中国政府は7月にAIの開発ガイドラインを策定。2030年までに人工知能領域でグローバルイノベーションセンターになることを目指すとしています。「人工知能市場」は1兆元に達すると予測しています。

日本の総務省情報通信政策研究所で起きたこととはかなり異なり、中国政府がこの点に関して、理性的な先見性を持っていると判断できます。

ジェフリー・ヒントン、フェイフェイ・リー、アンドリュー・ウンなど、研究者がアカデミアからインダストリーへと活躍の機会を移す動きが機械知能領域で起きました。アンドリュー・ウン氏は特にラディカルです。バイドゥを辞して自分でファンドレイズを行い、AIスタートアップを起業しました。

今回のアリババの動きはその動きを中国でもなぞろうというものです。Googleなどを中国でするのが、バイドゥ、アリババ、テンセントなのです。他の分野でも米中二強は中・長期的な構造と考えられそうです。

結論

The Economistが「Superstar」と呼ぶジャイアントがサイエンスとその社会適用を牽引していくというのが、その実質だと考えられます。

参考

JPモルガン「詐欺」発言にアオられない方法:デジタルビジネスの野蛮な一週間

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予測

  • 暗号通貨では、価格やレガシー金融機関、中国政府の規制など、外的要因で大きな変化がありましたが、技術面は進展を続けています。最も重要な暗号通貨のファンダメンタルは技術と考えられます。人々は与えられるベネフィットに対してやがて率直な態度を示すようになると予測できるでしょう。

検討

レガシーは繰り返す

今週は暗号通貨界隈の話題が豊富でした。まずJ.P.モルガンのジェイミー・ダイモンCEOが「ビットコインは詐欺」と言いました。暴落の後にスウェーデンの取引所でJPモルガンが大量購入をしたとするスクリーンキャプチャがTwitterで出回りました。それがブローカレッジ用のポジションだったのか、自ら買い込んだのかどうか真偽の程はわかりません。ダイモンCEOはビットコインを扱ったトレーダーはクビにすると言っていましたが。

「こっちも世界金融危機のことを忘れていないぜ」と言い返したいところです。

JPモルガン世界金融危機のダメージが厳しかった。JPモルガンの最高投資責任者(CIO)はウォーレン・バフェットが「大量破壊兵器WMD)」と呼んだもの、つまりデリバティブに1000億ドルのベットをしていました。 CDS(クレジットデフォルトスワップ)などのさまざまなポジションが焼け付き、政府による250億ドルの巨額救済をうけています。あの狂乱のさなか、クレイジーなデリバティブの設計、顧客と利益相反する自己勘定取引、度重なるモラルハザードなどが公に知られました。

ビットコインには金融危機の後という文脈の中で、Banking(金融機能)をBank(金融機関)のものから個人のものに変えるという背景があります。この記事で紹介したとおり、ビットコインにはサイファーパンクの系譜があり、個人のプライバシーを為政者から守ろうとした人々のなかから生まれました。

最近の暗号通貨に関する報道の多くがプライスや規制、ICOなどに関するものなんですが、BitcoinやEthereumがオープンソースプロジェクトであるという側面はとても重要です。長期的な価格の構成要素でもあるはずですし、大手メディアの報道とそのものはかなり異なる形をしていまして、技術を見つめていると低質情報に踊らされずに未来を見つめることができます。7月末の「ネクストコンテクストカンファレンス(NCC)」ビットコインコア開発者のRusty Russell、Eric Lombrozo、Cory Fieldsの講演を聞いて「オープンソースプロジェクトなんだ」という実感が持てました。

今週はたくさんの暗号通貨の技術的アップデートが行われました。

Bitcoin

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Via Blockstream

  • 14日に「Bitcoin Core 0.15.0」がリリースされました。サトシ・ナカモトが9年前に提供したBitcoinソフトウェアクライアントの第15世代に当たります。このアップデートには≒100人の技術者が関わり、組織としてはChaincode Labs、 Blockstream、MIT’s Digital Currency Initiativeが関与しました。
  • 手数料算定部分で高止まりする手数料への対策が打たれました。マイナーは最も高い手数料を払うトランザクションをブロックに格納することを優先してきました。もしユーザーがクイックなカンファメーションを求めるなら、高い手数料を容認しないといけませんでした。Bitcoin Core 0.15.0はこの手数料の不確実性を低下させます。ソフトウェアの最新バージョンには、手数料を見積るアルゴリズムが大幅に改善されているそうです。
  • チェーンステートデータベースの再構築。新しいデータ構造の最大の利点は、新しいノードの初期同期時間が約40%短縮されることです。また、よりシンプルなコードを導入し、メモリ使用量を削減します。
  • Multiwallet。1つのBitcoinコア実行プログラムで複数のウォレットを簡単に管理できるようになりました。この機能はまだまだ新しく、エキスパートユーザーのみが利用できますが、今後はグラフィカルユーザーインターフェイスで利用できるようにしたいと考えています。
  • Blockstream - Gregory Maxwell Talks About Bitcoin 0.15

Ethereum

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うどんさんのブログにRaiden Network公式サイトの超意訳が載っていますので、そのまま引用します。

Ethereumのペイメントチャンネルネットワーク

Raiden は、オフチェーンネットワークを使って、資産移転において優れた特徴を持つEthereumを拡張するテクノロジーです。

  • スケーラブル:参加者の数に比例して性能が良くなります。(1,000,000tps以上が可能に。)
  • 高速:1秒未満で送信完了
  • 機密性:すべてのトランザクションがEthereum Blockchainに書き込まれるわけではない。
  • 互換性:Ethereumの標準化されたトークAPI
  • 低い手数料:取引手数料は、Ethereum Blockchainをそのまま利用するより7桁分手数料が低いかも。
  • マイクロペイメント:トランザクションの手数料が安いので、小さい金額を効率的に送受信可能

OSS間の熾烈な開発競争が透けて見えます。Bitcoinのレイヤー2の中にはEthereumのコア・バリューであるスマートコントラクトを取り込もうというプロジェクトが存在します。Ethereum側もRaiden Networkでビットコインが導入を目指しているマイクロペイメントの包含を狙っています。

  • 開発者はノードソフトウェアGethの最新版をリリースしました。イーサリアムのアップデート「Metropolis」の最初の段階である「 Byzantium(ビザンチウム)」ハードフォークが来月内に予定されています。 いくつかのアップデートはまだ最終確定していませんが、最終的にはピアツーピアプロトコルの帯域幅要件を33.6GBから13.5GBに削減することを約束しています。さらにメモリキャッシングの速度が向上も含まれます。 Megeraへのアップデートにはトランザクションプールの改善も含まれています。 これまでのバージョンのGethでは、高額トランザクションが無差別に優先順位付けされていましたが、この新しいバージョンでは、Gethユーザーのトランザクションは金額に関係なく優先されます。
  • Metropolisのデプロイにより「セキュリティ向上」「手数料の自由化と確認方法の改善」「アプリケーション構築作業の軽減」「マイニング報酬量の減少」「 PoWから PoSへの転換」が想定されています。

 結論

SegWitをめぐる停滞から一転してビットコインコアの動きは活発になっています。EthereumはMetropolisがどの程度のインパクトがあるアップデートなのかを見定めたいところかもしれません。二つのプロジェクトの進展する速度が加速している印象で、早い段階で暗号通貨クラスタ外にももっとインパクトを与えるのではないかと期待しています。

参照

邪悪になるな、iphone搭載の顔認識の光と影

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iphone Xに顔認識が搭載されました。多くの人が買い求めるiPhoneで、大規模なフェイシャルデータが集まることが想定できます。「Face ID」により今後は顔により様々な認証を行うことが可能になったり、 上の画像のように顔の動きとアバターの動きを同期させたりできるようです。顔認識技術自体は取り立てて新しい技術ではありません。Facebookの画像の被写体へのタグ付けは有名です。同社の顔認識研究プロジェクト「DeepFace」のソフトウェアは、人間の認識精度を2014年の段階で超えていました。精度は100%に近づいています。

プライバシーや監視社会の可能性

顔認識の活用に関してはプライバシーの議論があります。エコノミストは、万引き犯の検出やサッカーの試合中に違法行為を働いた人を摘発するほか、配車サービスの運転手の身元確認や決済における認証などへの応用を評価する一方、顔認識によりその人のセクシュアリティが暴かれたり、法執行機関が荒々しく利用したりとプライバシーの危機に警鐘を鳴らしています。この技術は他者を支配するという哲学で利活用されるとなるとかなり危険になります。個人の領域を力強く暴き出し、その行動を監視することに利用するができます。それこそ同性愛者の哲学者ミシェル・フーコーの論を思い出さざるを得ません。

Amazon, IBM, Microsoftは顔認証APIを提供しています。主に以下のようなことが可能になります。

  • 人間の顔を検出し似ているもの同士を比較
  • 類似性に基づいて画像をグループ化
  • タグ付け済みの人物を画像内で特定

以前から小売、セキュリティ関連で顔認識は導入されていました。特に万引被害が多い海外の小売業者は多数の監視カメラを配備して利用してきました。しかし、APIの登場により導入コストが落ちたため、多くの人・企業が顔認証を使うようになるでしょう。画像のなかの人物にタグを付ける機能を実装したアプリケーションが多くの人の手に渡っていくでしょう。

ただロシアの写真家Yegor Tsvetkovがその危うさを示すことに成功しています。彼は「Find Face」という顔認識アプリケーションを利用し、地下鉄で撮影した人々をSNSから探し出しそれを公開するというプロジェクト"Your Face Is Big Data (あなたの顔はビッグデータ)"を行いました。地下鉄で見ず知らずの人々を撮り続け、顔認証アプリ「Find Face」に画像を入力し、ロシア最大のSNSサイトVkontakteから本人を探し出した。結果、約7

顔認識を何に使うか?

顔データを何に使うかという点が重要です。マーケティングも有力な応用範囲の一つではあります。

消費者の購買行動がより細かに分かる可能性があります。買い物時の感情や検討した商品を把握し、その途中でその人がスマートフォンで情報収集をしたりしたとしても、それもスマホ経由でデータを取得できるかもしれません。最終的に購入したものも決済データから理解できるとします。

断片化しているこれらデータ群を統合できると仮定すると、一人ひとりのすべての購買に至るまでの行動に関してより細やかに理解することが可能になるかもしれません。それにより商品開発、マーケティング、生産計画の最適化が図れるかもしれません。もちろん顔認識だけでなく、大規模かつきれいなデータが手に入ることやそれを高度に解析する能力が必要になり、これらも一朝一夕の世界では成し遂げられません。

顔から感情を把握できる

もっとシンプルに利用者の顔から感情を読み取り、顧客体験の向上を図ることにも使えるでしょう。顧客から「楽しい」「幸福」などのポジティブな感情が発現されている割合が高ければ高いほど、いい店舗と呼ぶことはできそうです。品揃えや商品配置のほか、顧客から退屈を読み取ればゲリライベントやタイムセールなどのカンフル剤を入れたり、静かに商品価格を上下させたり(これはどうなんだろう笑)できるかもしれません。

飲食店で新商品を試す際にもこっそりカメラから感情を抽出して、新商品への感触をしることができるかもしれません。その商品の良さがうまく伝わらないせいで、人気化していないが、やり方を変えればヒットするものが、すぐに打ち切られてしまうという例もあるはずです。逆に人気商品ではあるものの、じわじわと顧客満足を削っている商品もあるのではないでしょうか。

結論 

顔認識技術を採用するにあたり「暗号化」ができるようにしたほうが良いと思います。「Be evil」な企業/政府/捜査機関などが巨大なデータを持ってしまうと私たちのあらゆる行動や感情を把握するビッグブラザーを生みうる技術であることは確かです。いままでのようにSocialで顔を晒していたいです。

参照

 

カーボンファイバーが自動車をプログラム可能にする:デジタルビジネスの野蛮な一週間

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近年注目を浴びる炭素繊維強化プラスチック(Carbon Fiber Reinforced PlasticsCFRP)は金属類より軽く、強く、疲労も少ないといわれます。炭素繊維は航空機、風力発電ブレードなどで採用されていますが、巨大市場の自動車業界も触手を伸ばしています。

現状、自動車メーカーはホイールなどの部分でカーボンを採用しています。部品点数10万点といわれる自動車ですが、CFRPを使った製品をオートメーションで大量生産するするメソッドがその10万点に行き渡っていません。その活用が高価格帯の自動車に偏るのは、生産ロット数が豊かになっていないからでしょう。また、CFRPのリサイクル手段もまだ確立していません(金属はリサイクルが可能ですが、その過程で溶かす必要があるため効率的なリサイクルと言えるかは別です)。とはいえ、今後はさまざまな部品にCFRPを活用した部品生産の自動化の波が訪れることになるはずです。

炭素繊維の生産に関しては、東レが世界シェアの約4割を握り、2番手の帝人三菱レイヨンを足した3社で世界生産の6割超を占めています。中国などのアジア企業も参入済みですが、日本勢とは品質で大きな差があるそうです。

ただし、自動車業界に炭素繊維が普及する決定打があり、それが炭素繊維強化熱可塑性プラスチック(CFRTP)という成形コストがやすい炭素繊維が出てきたことです。これによって広範な範囲での炭素繊維の活用が進むと考えられ、リサイクルの問題も解決できました。

2020年から2025年にかけて自動車用を中心にCFRTPの採用が進み、2030年にはCFRTPが炭素繊維複合材料市場の金額ベースで約10%、数量ベースで30%を占めるようになる見込みだ(中略)。

CFRPでは困難だった高速プレス加工や、スチール溶接並みの強度を持つ接合が可能になる。また、CFRTPに使うマトリクス樹脂がリサイクル可能であるため、生産工程で発生する廃棄材料や不良品、廃車後の部品を再利用できる。

炭素繊維強化プラスチックの世界市場、自動車用で熱可塑性が急成長へ - MONOist(モノイスト)

電気自動車の能力を拡大

同時に電気自動車のトレンドにも注意を払わなくてはいけません。内燃機関を搭載する必要がなく、部品点数はガソリン車より少なくなっていきます。ここに炭素繊維という素材革命が影響するはずです。電気自動車は電力のチャージをしなくてはならず、その充電ステーションを整備することや、バッテリーが貯めれるキャパシティを拡大する必要があります。車体自体が軽くなれば消費電力は減るので、充電の頻度を減らすことができます。自宅の屋根で太陽光発電し、自動車がそこから充電することで「化石燃料に頼らないモビリティ」を実現する。このビジョンを加速させる重要な一要素なのです。

さらに自動走行車のトレンドとの関係も考えてみましょう。自動走行車は理論上、都市を走る自動車の数を減らすと考えています。市民へのモビリティの提供をより高度化するからです。となると、そもそも自動車を大量生産する必要がなくなります。

結論:プログラマブルな自動車

だから自動車は部品が減るし、素材もどんどん質が高まります。Autodeskなど人間が高度な設計・デザインを行うことを助けてくれるツールも増えています。誰でも作れるようになっていくでしょう。20世紀型産業の覇者である自動車は、21世紀にはどんどんプログラマブル(プログラム可能)になっていくのではないでしょうか。ソフトウェア企業は、自動車という物体ではなく、モビリティという価値に焦点を当てたプロダクト開発を進めています。多層垂直型の産業構造で知られる自動車業界ですが、インターネットが通信などでおこした水平化の衝撃を受けることになるでしょう。そしてもちろん自動車それ自体も「接続」されることになります。

付記

私は高校時代にテニス部でした。当時カーボンファイバー製のラケットが登場してメインストリームを獲得するタイミングでした。カーボン製のラケットはショットの速度を飛躍的に向上させ、テニスを高速化しました。その結果、選手は超人的なフィットネスを要求されるようになっています。錦織圭さんはあの身長で強烈なショットを叩き出し、それを連続して行うスーパーマンなのです。

 

 

 

 

ICOだけじゃない、メルチャリ、Airbnbもトークン化できる

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今日メルカリがシェアサイクル「mercari」をリリースしました。中国で人気の出ている業態です。先日のライブ動画「メルカリチャンネル」と同様中国のトレンドを素早く取り入れる姿勢が見て取れます。中国ではサイクルシェア事業に各社累計で2016年には200万台以上の自転車が投入されましたが、2017年の投入台数は3000万台に達すると予測されています。

最近のICO騒動で感じるのはICOトークン活用のひとつに過ぎないとこうことが周知されるべきではないか。むしろ、こういうメルチャリのようなシェアリングエコノミー領域でこそトークンは面白いのではないかということです。それこそ、自転車のようなものの利用権をトークンにしてマーケットプレイスで売買することがあらゆるジャンルに拡大すれば、ユーザーは余計な所有に悩まされず、生活を豊かにできると思います。現行のmercariはメルカリが自転車の提供と同様、運営・管理を行います。仮にこれを参加者が自転車を出し合い、トークンで取引するとよりシンプルなサービスになると思います。

シェアサイクル各社は協定を結び、マナーが悪い顧客に関する情報を共有しています。ひとつのシェアサイクル企業のサービスでマナー違反を行えば、他企業のサービスも利用できなくなります。アリババはコマースや金融取引履歴・ネット行動履歴、公共料金の支払履歴、デモグラフィック、社会的人脈などから、その人の「信頼」を独自にスコアリングしています。この「芝麻信用」のようなものがサイクルシェアにも導入されています。「芝麻信用」はアリババが出資する損害保険企業の査定に直結します。

上記のケースでは個人のIDを巨大企業に委ねている形になります。あなたはFacebook認証を利用することがあると思いますが、あなたがあなたであることを証明するのを、Facebookにお願いしていることになります。個人のデジタルIDをブロックチェーン上で管理し、それにまつわる信用・評判情報が紐付けられていて、誰にも管理できないようになればいいのに、というふうに考える人は少なくありません(私もそうです)。

今度は、Airbnbトークナイズしたモデルを想定しましょう。貸出可能な宿泊をトークンに記載します。それをマーケットプレイスに入れて売買することができます。宿泊提供者と宿泊者の信頼を示すスコアが提示されていて、トークンの購入が簡単になりますし、「どのトークンに対してどれくらいの値をつければいいのか」というノウハウも発達します。トークンという簡易な形で、インターネット上のどこでも取引できるようにするお陰で情報の偏在性がある程度解消するのではないでしょうか。誰もが安全にトークンを発行し、それがアタックをうけないことを確実にできるのならば、Airbnbという「中央」の必要性が薄れていく可能性があります。

しかし、実際にはAirbnbの宿泊にはときにトラブルが発生します。自転車の利用頻度が高ければ修理の必要性が生じます。これらの状況に対応するために中央は必要です。非中央集権は素晴らしいアプローチですが目的ではありません。

誰もがトークンを発行できる

トークン化するものは最初は純粋にデジタルなものを選ぶべきでしょう。電力のトークン化取引が検討されているが、実際には、電気を配電網の中でうまい形でやり取りできる極めて高度なスマートグリッドが必要になります。

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今後はIoTが進展していくはずです。あらゆるモノがコネクティビティを獲得します。もののステータスをデジタルに管理できるため、その利用状況をもとに利用権をトークンの形に買えることが可能です。仮に行儀の悪いユーザーが自転車にダメージを与えて、それを隠し通そうとしても、センサーから自転車の状況が変化したことがわかり、それがその人のクレジットスコアを傷つけてしまいます。

Eterereum上のサービス・ビジネス開発を進めるConsensysブロックチェーントークンドリブンの未来を実現できると主張しています。

  1. セキュリティとコストの両面でトークン発行の障壁をなくす
  2. グローバルで自由なトークンの取引を許容する
  3. 透明性の確保されたグローバル台帳に基づいて、トークンが活用される。以前はすべてのトークンはそれぞれ個々の所有するサイロの中に閉じ込められていた。なめらかにグローバルスケールでトークンを交換することで、より効率性を増すことや新しい形体の協力を可能にします

結論

政府や独占的大企業などトークンを発行できる主体が特権を握ってきたのがこれまでの社会のあり方ですが、今後はトークン発行を誰でもできるようになります。ブログがジャーナリストとブロガーの垣根をなくしたように、トークンは投資家と個人投資家の垣根や、政府と国民の垣根をなくすのではないでしょうか。トークンの発行を代行するビジネスが最近盛り上がっていますが、トークンの秘密鍵は自分自身で管理するべきでしょう。この部分の教育が進むとトークンの真価が世の中にもたらされると思います。

参照