デジタルエコノミー研究所

”経済紙のNetflix”を作っている起業家の日記

不完全情報ゲームに強いヤツは天才芸術家だ

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Via Dacian Dorca / Creative Commons

人工知能が完全情報ゲームで人間を凌駕している。この分野では人間が盛り返せることはないが、最強の棋士リ・セドルが試合後に「柔軟性」や「新しいアイデア」を得られたと語っている。将棋ソフトと対戦した屋敷伸之九段も気風が変わったことで知られる。

将棋の研究会でも、積みがあるかないかはソフトに調べさせるらしい。

ただし、ぼくらが生きているこの世界は超不完全情報ゲームだ。ぼくはこの世界は不完全情報ゲームの塊だと思っている。そういう世界でうまくやる方法をまとめてみた。

1) モデル化

現実世界のできごとをモデル化することで、比較的有効な手段を講じることができると思う。含まれる不確実性の量が少なかったり、複雑性が少なければ、モデルは役に立つだろう。

特にリスクマネジメントが大事だ。リスクを嗅ぎ分けるのは、たぶん、直球の脳みそだけじゃない。右脳的なものも重要だ。後はリスクの類例をたくさんもっていると、不確実性をリスクに変えることができる。これらを直感的に速い判断でやり遂げたい。基本的にはプラスをもたらすたくさんのことをしていて、谷底に落ちなければ、プラスが積み上がっていく

2) ロバストネス=強靭であること

でも世界は実際には不確実性でみちみちている。ミステリアスな出来事や恐怖に対して、混乱すれば一発アウトだ。常に最低限のパフォーマンスをキープしたい。

不確実性への対処力は大きな差をつける。

3)「見える」=想像力

不完全な部分をすごく上手に推測する技術があるといい。これはたくさんの情報を染み込ませていると、見えてくるみたい感じ。それこそ将棋の「手が見える」という感じ。

だけど、これはあるポイントから想像力の領域に入るだろう。つまり、それは現実とはまったく異なる世界を思い描いているけど、それが現実世界で有効に働いたりする、ということだ。

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[結論]やっぱ芸術でしょ

1)2)を良くするだけで現実世界でかなり上手く戦える。

でも、3)。これは芸術家のような才能じゃないだろうか。メッシがDF3人の動きを予測(想像)して、体の動きをコーディネーションし、玉を動かして、想定を修正しながら3人とも抜くような。そして人間が感動するのは、やっぱ3)だよな。こういうのはまだまだ機械はやれないだろうし。

 

−−参考

「ナイトの不確実性」: モナド日記