デジタルエコノミー研究所

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長期的な利益を生むアクションは感情と知性のミックスによりもたらされる

私たちの感情は思考においてさまざまなバイアスを生み出します。感情は誤った意思決定を下す主要な要因です。金融市場が乱高下するとそのたびに私たちは一喜一憂します。感情が優先され、感情を基に論理が形作られ、それが群衆を伝うとそれは根拠なき神話になります。

長期的に見ると感情的な判断が素晴らしい結果をもたらさなくとも、人間はsystem1(感情的クイックな思考)に拘泥してsystem2(合理的なより足の長い思考)に移行することに失敗します。

 

ファスト&スロー(上) あなたの意思はどのように決まるか? (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
 

 

私は重要な意思決定の場においては、感情を出来るだけ取り除くように自分を訓練してきました。なぜなら自分がとても感情的な人間だと知っていて、そのせいで長期的な利益を失うことを繰り返して来たためです。

感情によるアクションの利点

感情はときに速い意思決定を促してくれます。ぼくは将棋や麻雀が好きなので、モンテカルロ木探索のような推論を無意識に繰り返して意思決定する傾向があります。条件が狭まる、つまり完全情報ゲームに近づいて来ると、このやり方の勝率は高まってきます。

 

しかし、世界は目眩がするほど複雑です。とにかく試行回数を増やすことが求められる状況、あるいは何をしてもプラスばかりに転ぶ「ボーナスゲーム」的な状況においては、感情に委ねて意思決定を速くしてムーブファストになることは一理あります。つまり、感情の取捨はゲームの特性に依存します。
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一方で長期的なビジョンを研ぎすませるだけでかなり優位性を発揮できることが往々にしてあります。たとえば、長期的で破壊的なトレンドに投資することは利益が大きいでしょう。私はAI / IoTが長期的なトレンドとして世界を変えると確信しています。そのトレンドに対して学習なりポジションづくりなりで自分なりの投資をしています。

大半のプレイヤーがこの分野への注力が少なすぎるか、生半可で消え去っていくでしょう。何故かわかりませんが、長期的なトレンドを確信でき、アクションするプレイヤーとそうでないプレイヤーに別れるのです。常に淘汰されるグループを生み出すというのは、人間のDNAの知恵なのでしょうか(私はネオダーウィニズムではないです)。

ここでモチベーションといファクターが浮かび上がります。感情に基づく意思決定にはモチベーションが付随しやすいです。自分の心のステートやそのステートが生み出したストーリーがモチベーションを焚き付けてくれます。しかし、合理的な判断を繰り返したり、キープしたりするのは、モチベーションを保つのが大変です。意図的に心のダイナミクスと決断を分離することで、燃えなくしているので、何かを生み出そうというエネルギーがわかなくなります。

ファストアンドスロー

速い思考と遅い思考を組み合わせることに一理あります。

私たちは常に感情による意思決定と合理的な意思決定をする2つのモデルを動かし続けなくていけません。しかも直面する状況は常に変化し続けますから、実際には2つ以上細やかなモデルを無意識ながらに活用していくことになります。これは相当苦しいですが、正しいビジョンに対して汗をかいていると何処かで、ブレークスルーが起きるはずです。子供らしさと老獪さを合わせ持つモデルになりたいところですね。