デジタルエコノミー研究所

”経済紙のNetflix”を作っている起業家の日記

メディアを民主主義から解放する

マスメディアは多数の人間に一方的に情報を与えて、アタシの言うこと聞きなさいという形に設計されている。社会学かあるいはポエムのようなものを基に作られた情報が多くを占めるだろう。

もちろん、人には真剣に受け取るべきメディア情報だけではなくて、何というか時間つぶしみたいな情報収集のフェーズがあるのはわかっている。戦略とかゲームとかお金とかそういう話を四六時中やっていても飽きない退屈なおじさんになりつつある僕には偏見が生じていて、それがうまく理解できなくなっているくらい中央値から外れていることはじゅうじゅう承知している。

だけど、そういうスナッカブルコンテンツで世の中の人間の行動に影響を与えるのはいかがなものかと先週末、銭湯で都議選の中継を見ていて感じた。マスメディアにいる人はこういう選挙のコンテンツを作るときに、公職選挙法がなんちゃらかんちゃらを気にされているみたいだった。彼らが大学までに受けた平均点教育の馬鹿馬鹿しさを大爆発させているんだなと感じた。我々が受けた教育の多くは無意味で、ときに変なバイアスを生むんで害もあるだろう。

平均値は平均値に過ぎなくて、エレガントさや妥当性とは全く無関係だよ、ということを示して、その結果平均値を宗教的に愛している人たちを無駄に怒らせて足を引っ張られるということを繰り返してきたのが、僕の30年ちょいの人生なんだけど、最近はついにそういう攻撃に対してかなり高い守備力とやんわりとした反撃力を身につけて来たなと感じている。

民主主義はすごい大切なものだという教育がされているが、多数の人間によるグループの意思決定方法としては余りスマートではないのが現実だ。ポンコツと言ってもいい。マスコミは民主主義が自分らの価値を大きく支援するものと心得ているので「民主主義がなんちゃらかんちゃら」という話を延々とやるし、選挙が何か大事なものを決しているかのように人々に信じさせようと必死にすらなる。でももちろん選挙は茶番だ。
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議会制民主主義は草であり機能性に乏しく時間を無駄にする。ロビーイングに対して脆弱で、都議会のドンのようなスマートではないインフルエンサーを作り、テニスコートの誓いで排除したはずの権威者を再発明してしまう。しかも官僚はそれを骨抜きにしようとしていて、政治家といつでも水面下の闘いをやっている。最近の安倍政権のゴタゴタはわかりやすく言うと「政治家 VS 官僚Vol89」であり、官僚の逆襲が成功するか、が最大の関心事。最近の政権周りが常軌を逸する感じなので、官僚さんガンバッテになっているけど、制度がそもそもポンコツなんですね(制度の改良自体は多分簡単。でも既得権益者が多すぎてその人たちが大変)。

ここでいきなりBitcoinの話を持ち出すと、Bitcoinはその機能を世界中の人々が利用可能な形にしようとするそのかなり手前で、ステークホルダーの利害関係が衝突してデッドロックになっている。そうこうしているうちに、他の暗号通貨が追いかけてきていて 、自分らの利益をどんどん小さくしている。つまり内々のゴタゴタに拘泥しているうちに、外側の世界に追い越されようとしている。

で、話をアクロバティックに戻すと、日本人の多数派は日本の中しか見えない。アジアの他の国に対して優越しているスゲー国だって日本のことを考えるように刷り込まれている。しかし、実際には日本って相当落馬しているよな、って他の国の人から見られている面はある。例えばシンガポールに行ってニュース番組を見てください。あるいは、他の国の若い大卒オーバーっぽいやつに、素朴に日本はなぜ20年間経済成長していないのかとか聞かれてみる。あるいは、日本人グループは国際的な場で他と意思疎通が苦手でときに排他的なのは、武士道と関係しているのだろうかとか尋ねられてみてください。

変なメディアの使い方で「大日本人」を外の世界から隔離して誤魔化しちゃいけなくて、一部の高齢者かつ支配層が抱く日本をめぐる時代遅れの幻想を若い人に伝染させちゃいけないよね、と思った。そう銭湯でテレビを見ていて本当に思った。こういう嘘が続くのはそんなに長くないよなと思うし、もっと人間は自由に暮らせるはずよ、変な情報を刷り込まれない限りは。