デジタルエコノミー研究所

”経済紙のNetflix”を作っている起業家の日記

2016-01-01から1年間の記事一覧

2016年反省会、来年はコンピュータと友達になる

実家で紅白を見ていてとても退屈なので、2016年をまとめてみたい。 1.インタビューかなりたくさんやった アメリカ人多かった。テクニカルな内容もまあまあ英語で行けるようになったが、もっといけるようになりたいし、もっとディスカッション色を強くして、P…

世界は情報でできている、だから書き換えられる

帰りの電車で電車の中を眺めていた。とても興味深い。電車のなかから見えるのは物質だ。情報を意味する記号はあるが、すべて物理的なものだ。 だけどぼくたちの社会では情報が大事だ。ルイヴィトンのバッグを買うとき、買うのは記号だ。ルイヴィトンが与えて…

WELQのくそハックはコンテンツ流通に季節の変わり目が来たしるし

WELQの件はコンピュータが意味的(セマンティック)な部分を理解できるか、という部分が問われている気がします。現状はそのコンテンツが正しいかどうかを読めない。Googleは騙されました。 少し前にGoogle翻訳のニューラルネットワークが、英日、英韓の相互翻…

キャズムを越えるためにもっとハイプしよう

Hype energy drink / via Wikkimedia commons Recodeのこの記事は、偽ニュースならぬ偽テックがあると主張している。謎に満ちたVR/ARスタートアップのMagic Leapは14億ドルを調達しているが、The Informationによると「オーバーマーケティング」だと言う話で…

宝探しのためにアメとムチに鈍感になろう

Carrot And Stick Incentives Lead Manage | Free to use under … | Flickr ポール・グラハムの『ハッカーと画家』をバラバラっと読んでいる。 私の知り合いには学校時代にオタク(nerd)だった人がたくさんいるが、皆同じ話をする。賢いこととオタクである…

不完全情報ゲームに強いヤツは天才芸術家だ

Via Dacian Dorca / Creative Commons 人工知能が完全情報ゲームで人間を凌駕している。この分野では人間が盛り返せることはないが、最強の棋士リ・セドルが試合後に「柔軟性」や「新しいアイデア」を得られたと語っている。将棋ソフトと対戦した屋敷伸之九…

人工知能とゲームの幸せな関係:三宅陽一郎氏講演の感想

via SquareEnix 先々週、MIT Technology Reviewの日本版創刊イベントで、三宅陽一郎氏の講演を聞いた。三宅氏は人工知能研究をした後、スクウェアエニックスに入社、「FINAL FANTASY XV (ファイナルファンタジー15)」のAIに携わった。ゲーム内でのAI実装の…

新大久保の多様性を楽しもう

via Wikimediacommons 先々週新大久保に行った。コリアンタウンのイメージが強いけど、新大久保、百人町、大久保あたりは、うる覚えの資料だと、中華系が多数派で、その他中東からアジア、ヨーロッパの他人種が共生している。いろんな言語が聞こえる街で、み…

お金と尊敬を分けてみてはどうか?

Tax Credits / CreativeCommons ソフトやソリューション、クリエイティビティを提供する業界では、成果に大きな差がつくことが多い。成果に報酬で報いないと、誰も努力しなくなる。旧ソ連の工場やゾンビ企業のような状況に陥ってしまう。 ただし、報酬差をつ…

マイクロペイメントは次世代のFacebookをつくる?

The World's First Micropayments Web Walletである「Yours」。このウォレット間で交わされるマイクロペイメントの手数料はゼロらしい。 CEOのRyanXは元Reddit暗号エンジニア。CTOはオックスフォードでPh.D取得。 このウォレットがバンドルされたコンテンツ…

井深大の『私の履歴書』に学ぶクリエイティブなグループの作り方

週末に井深大の『私の履歴書』を読んだ。昔は日本にこういう人がいて、いまは余りいないか、いても日の目を見ないのは、つまらない気がする。でも、高度経済成長期から安定成長期まで、ソニーのような現場がとても熱かったのは事実。どんなことも試してみる…

【備忘録】生体認証は結局Googleとかが有利かな

生体認証の記事を書いたので、そのときに調べたことを備忘録として置いておき、ビジネス面の考察を添える。この分野にまったく明るくないので間違っていたら教えてください。 結局プラットフォームが有利か? 多くのユーザーを抱えるGoogleとFacebook、Amazo…

MR. ROBOT / ミスターロボットの次シーズンのテーマはデジタルカレンシーにしてほしい

トランプ当選で『ミスター・ロボット(Mr.Robot)』というアメリカのドラマを思い出した。このドラマはスポンサーを付けないで制作されたもので、大企業・金融業界とワシントンの癒着により超強烈な格差が生まれたアメリカ社会を描いている。「ファイトクラ…

【日記】ドナルド・トランプ・群衆・予測・多数決

ドナルド・トランプの勝った選挙はまあまあ考えさせられることが多い。思っていることを5つにまとめた。 1.自分が作ったメディアにプログラムされる人々 人間は自分のプログラムが反映されたマスメディアを創造し、そのマスメディアにさらされることによって…

いまさら人間を機械みたいに教育しても意味がない理由

マクドナルドで昼ご飯を食べた。あそこでは店員は機械のように働いている。ぼくの注文を聞く間もスピーディな決断をするようプレッシャーをかけてくる。キャベツ千切りマシンのようにレジ係の女性は客をさばき、後ろではたくさんの従業員がモダン・タイムス…

バイアスよ、さらば!:人間と機械知能が協働する未来

ぼくは先々週からGoogleプリンシプル・サイエンティストのブレイス・アグエラ・ヤルカス氏が「Innovative city forum 2016」(主催:森美術館など)でした講演に大きなインスピレーションを受けている。この記事に詳しく書いた。 digiday.jp ヤルカス氏は伝…

シェアリングエコノミーはジョン・レノンの「Power to the People」

初めてUberを利用したのは中国・成都(チェンドゥ)でのことだ。中国人の友人のコンドミニアムにお邪魔していた。成都は地下鉄があるが、網状に発達しているわけではなく、バスもあまり便利ではない。他の中国の大都市と同様、最大5車線程度の太い格子状の道…

日本社会は心の底から「常識外」の人間を求めている

by LPHR Group 先日、日系自動車メーカーで勤めている人と話した。その人は今いる会社を辞めて、アメリカに渡って、イーロン・マスクの元で働きたいと話していた。いまいる会社はかなりネームバリューがあるのだが、電気自動車が普及し始めると、プロダクト…

「人の見た目は9割」を評判システムでディスラプトする

とある日、かなりダサい服装で仕事してみた。すると、行くとこ行くとこで軽んじられるので大変だ。 ぼくはできる限り、見た目で人を判断しないようにしている。前職では息ができなくなるほどたくさんの、偉い人からそうでない人までお会いした。見た目はその…

インドネシアのライドシェアGo-Jekが東南アジアの巨大テック企業に化ける理由

ライドシェア界隈はとても騒がしい。Didi Chuxing(滴滴出行)がUberの中国部門を買収。中国は欧米系のテック企業の横展開をまたしても弾き返した。 ソフトバンク含む投資家がマレーシア・フィリピンのライドシェアGrabに6億ドル出資している。このなかでイ…

渋谷の中心でノイズに囲まれている「わたし」について

ものすごい取材が重なり、テープ起こしする時間がない。いつも自分で人力でテープ起こししてきたけど、もの凄い労働集約的でスケーラビリティがないことは前から分かっていた。この単純作業から人類を解放すべく、さまざまな音声認識の手段にトライしてきた…

物質は、いらない。経験が脳へのエクスタシーを与える

猪子寿之のインタビューを読んで楽しくなってきた。「感動と物質は本質的には関係ない。だから、物質から人類を解放したい」。このセリフはとても好きだ。

20兆円市場を臨む東南アジアのテック産業に火をともせ

Mid Jakarta-Yasuhiro Okasaka 2012 東南アジアのテックシーンが本当に熱くなっている。ぼくは2010〜2015年2月までインドネシアに滞在したが、当時すでに熱かったものが、いまやビジネスの急拡大を展望するというリアリティに近づいている。先月下旬のテマセ…

「ネットの父」村井純氏に学ぶ、新しいものの作り方

7月に開かれたTHE NEW CONTEXT CONFERENCE 2016 TOKYOを取材できたのは、本当にDIGIDAYの編集者をやっていてよかったと思うできごとだった。 正直、世界がひっくり返るくらいスゴい人たちが集まっていて、二日間フルで出席した後、帰りはわくわくが止まらず…

格差社会を抹殺したいならAIとロボットで全員年収75,000ドル以上にしてしまえ

以下のグラフはOECDによる平均賃金の推移を記したものだ。多くの国の企業・公的機関などは十数年の間に賃金の増加で、人々をねぎらっている。しかし、日本は経済状況が難しい「欧州の問題児」イタリアと同様、賃金の横ばいが続いている。これが意味するとこ…

Smart Node:メディアを「賢い節」に再発明しよう

DeepMindのDemis Hassabisのプレゼンにはときどき「Sensorimotor」が出てくる。知覚とアクションを同じ場所で行うことだ。コンピューティングの新しい目的地である分散協調型においてひどく重要な部分だ(一度このポストで検討した)。 このアーキテクチャの…

スリ財務相復帰はインドネシア興隆の狼煙

スリ・ムルヤニ(写真=linked in)が先月末、世界銀行COO(世銀ナンバー2)からインドネシア財務相に帰り咲いた。インドネシア史上最高の財務相であるムリヤニ氏は早速仕事をしまくっている。 スリはインドネシアの経済学のメインストリームであるインドネシア…

レコーディングソフトはデジタルディスラプションの教科書

大学生のとき、ぼくはリズムマシーンに延々とシーケンスを打ち込んでいた。ローランドのリズムマシーンで名前は忘れたが、数値入力により楽譜上の位置と音符の長さを指定するタイプのモノだった。8章節のループを作り、それをコピー、細部を変えて16分で刻む…

人から馬鹿に見えることが合理的な理由

この動画で茂木健一郎が望ましい困難(Desirable difficulty)に言及している。望ましい量の困難がパフォーマンスを長期的に向上させる。 <自分なりの要約>灘中→灘高→東大理三は特定の最適化の産物である。完全情報ゲームのなかで一番うまく動けることと、…

分散協調型、巨大なトレンド

コンピューティングは分散協調型のアーキテクチャに向かっていると思う。クラウドという集中型の仕組みが、デバイスやその近辺のAIにより分散化していくことになる。テクノロジー大手が人工知能のスタートアップと研究者を買い漁るのはこのためだ。 インター…