デジタルエコノミー研究所

”経済紙のNetflix”を作っている起業家の日記

衝動買いしないせいで時間をロスしてる?

ぼくはモバイルで買いものができない。前々から欲しくてたまらなくて、やっとこそ決心できたものや、古本のような安価で中身を想像しやすいものなら買えるが、ランニングシューズを買うとなったら、モバイルでは無理だ。

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多数のブランドの商品を比較したいし、将来的なトレンドを知りたいし、投じた資金が与えてくれる価値も検討したい、さまざまな尺度でどれを買うのがベストか。商品情報だってメーカーが出しているものを鵜呑みにするようじゃ一面的にもほどがある。
 
したがって、ブログとかレビューをみる。これらは玉石混交だ。個人のブログのふりをした広告めいたものもあるし、メディアのレビューだって、記者さんは人間だし、好き嫌いや取材時の人間の相性もあるし、いろいろあるのだから、完璧な第三者になりきるのは難しい。
 
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それから、価格コムのようなレビューサイトでは、ある一定水準程度を超えると、プロダクトの悪口を言う人がめっきり減る気がする。だから高得点になるのだが、ぼくはこう類推する。

つまり、良さげなプロダクトに対して、序盤のレビュワーが高い点を与えると、人は無意識に追従して安心したがる性質があるので、そうしちゃうのではないか(この傾向日本では強まる気がする、そういう教育をしているから)。
 
とにかくこれらの不ぞろいで不格好な情報をばらばらにして、立体模型のようなものを作るにはデスクトップの方が向いている。だけど、ブラウザには十数個のタブが並んで、思考が行ったり来たりして、かなり疲れることになる。複合的に情報を評価し、アクションを検討するのは大変だ。
 
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しかし、この断片化した情報をいろいろ組み合わせても、どうも歯抜けな気がする。平均的に確度が低く、しかも毒まんじゅうがまあまあ、含まれている。それを使って、「最適な買い物」を推測しなくちゃいけない。
 

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さてでは、知識なしの状態でモバイルでトレーニングシューズを買うことを考えてみよう。モバイルの特徴として、小さな全画面表示があげられると思う。デスクトップをいじっているときや通常の状態に比べて、並列的にいくつかの思考を走らせるのを弱める力があるような気がする。

ぱっと見てどわっと買いたくなる。グーグルが言うマイクロモーメントのような状況だ。

Micro-Moments – Think with Google

買いたいという瞬間をとらえて、最適なものを提案する。そうすると、その人は買ってしまうということらしい。

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ファスト&スローという本では、人間の思考には、ファスト(速い)とスロー(遅い)のふたつが並列的にあると説明している。

ファストな思考は錯覚を真実と思い込み、単純な因果関係をこしらえて確信する。スローな思考を使うのはエネルギーがいるので、ファストな思考が安易な結論に飛びつくのに任せてしまう。

つまり、マイクロモーメントとは感情が揺り動かされたファストな思考が働いている状況と考えられる。これが自分が必要としているものだ、と勘違いする。

いっちゃうと判断ミス、衝動買いのことだ。

スマホの画面は小さく人の集中力が一点に絞られやすいので、マイクロモーメントが起きやすいのだろうか。それともジェネレーションZのようなスマホネイティブは、免疫を持っているのか、それとも...。これらが検証されるのを心待ちにしている。

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この考えのせいで、私はスマホ買い換えたいのだけど、結論が得られないままだ。ロスしている時間を考慮すると、ときには衝動買いが正しいこともありそうだ。

だから、金持ちだったら、無駄うち覚悟でばんばん買ってみるのが、望ましい効果をうめるかもしれない。

問題はぼくは金持ちでもないし、物欲もないことだ。この制約に頭を働かしながら、買い物をしなくちゃ。時間か、それともお金か、どちらかを節約しなくちゃ。

追記:意思決定についてはこのポストで考えてみた。

taxi-yoshida.hatenablog.com