デジタルエコノミー研究所

”経済紙のNetflix”を作っている起業家の日記

プロパテック、不動産のテクノロジーのススメ

1
 

大手企業の地下の飲食街で油そばを食った。これって原価安いよなーと思ったけど、健康そうなネーミングに騙され、野菜油そばを頼んだ。800円、店側の利幅をさらに広げたわけだ。

 
周りの一流企業社員と思しきおじさん方は、650円の油そばを食べていた。彼らはメニューの利益構造を見抜いているのかもしれないし、資本主義マスターで消費を少しでも減らして、投資するというマインドの持ち主かもしれない。
 
でも、ぼくの妄想はこう思った。
 
ーー皆、住宅ローンで首が絞まっているんじゃないのかーー
 
2
 
フィンテックが注目されている。
未来を楽観的に捉えると、こういう変化を起こしてほしい。
・クレジットカード手数料の存在しない、シームレスな決済が生まれてほしい(もちろん、ATM手数料も)
マイクロクレジットがより広範に普及する契機になってほしい
・もし、決済が簡単になり、善意の第三者たるボットが資産管理を手伝ってくれて、善良なP2Pレンディングが簡単に利用できるなら、つまり金をめぐるストレスが柔らかくなるなら、人の金に関する考え方は変わるかもしれない。
 
有名な経済学の実証実験がある。周囲が2000万円稼ぎ、自分が1600万円稼ぐよりも、周りが800万円のなかで自分が1200万円稼ぐほうを好む人は多い(数字は適当)。
 
他人との相対的状況で満足感が変わるようだ。自分が年間1億円稼いでいるけど、隣に東京ドーム級の豪邸をもつ富豪は年間100億となると、もう我慢ならない。人間は業が深い生き物のようだ。
 
むしろ、金を、単に交換の媒介としてとらえ、天下のまわりもの、的に利用できるようなデザインが望ましい。金を手段に過ぎないものにしたほうが、人生は豊かだ。
 
もし自分が宇宙人だとする。すると、金って人類特有の貴重なシステムだ、と感心する。だけど、ウォーレン・バフェットとチャドの人々の間に深刻な差が生まれてしまうような社会ができた大きな要因になっている。カネの発する価値は、人の悪しき部分を増長する。なんか、おしいよな、金って、なかなか良く出来ているんだけど、と宇宙人は思う。
 
3
 
先日参加した飲み会は年収トークで汚されていて、最悪だった。みんな、自分が他人よりもらっているかどうか、交際相手がどれくらい稼いでいるのかが気になってしょうがないみたい。
 
さらにある女性が言った言葉は震撼せざるをえないものだった。
 
ーーどんなマンション買いたい?
 
4
 
ぼくは固定観念の強さを知っているので、その時は黙っていたけど、マンションはやはり難しい。
 
住宅ローンほどの多額で長期的な借金は家計のバランスシートをかなり圧迫する
・日本のように平均賃金が下降し、長期的なデフレ感のある経済環境では、リスクがある
・現行の住宅ローンは消費者に不利な仕組み
・購入した瞬間に数割減価する、投資先として好ましくない資産
東京オリンピック以降は、人口減社会なので、平均価格は落ちていく可能性あり
 
国内外の富裕層が欲しがる超高級物件は良い買い物になるかもしれないが、普通の人のものはそうではないのだ。
 
5
 
リチャード・フロリダのクリエイティブ都市は創造的な人たちが集まって住むことの大切さをうたっている。シリコンバレーがそうだし、ミクロな例はトキワ荘だ。
 
そこで面白いことが起こっているとなったら、家財道具を捨ててでも移り住むのが、現代のクレバーな生き方だ。だったら、家財道具は共用にして、いつでもフレキシブルに動けるようにするのがいい。
 

 

 

 

クリエイティブ都市論―創造性は居心地のよい場所を求める

クリエイティブ都市論―創造性は居心地のよい場所を求める

 

 

 

 

こういう生き方を可能にしたり、人生を20―30年のローンから開放したり、飲み会のマンショントークを封じたりするのが、プロパテック(Proper-tech)だ。これは、ぼくがたったいま考えた概念だ。
 
テクノロジーで不動産をもっと愉しくする、発想の転換で不動産をもっとわくわくするものにする、という話
 
何か面白いことができないか、考えてみよう。
それから、とりあえず引っ越したくなってきた。東京で一番クリエイティブな場所はどこだか、教えて、くれませんか???