バイアスよ、さらば!:人間と機械知能が協働する未来
ぼくは先々週からGoogleプリンシプル・サイエンティストのブレイス・アグエラ・ヤルカス氏が「Innovative city forum 2016」(主催:森美術館など)でした講演に大きなインスピレーションを受けている。この記事に詳しく書いた。
ヤルカス氏は伝統的なメディアで情報消費を行う人の多くはこういう構造にとらわれている、と指摘している。
「人々は『自分のプログラム』を反映したマスメディアを創造する」⇔「人々は彼らがさらされるマスメディアによってプログラムされる」
この循環にはめまいがする。イノベーティブな人間は生まれない。要はロボットを生産するためのプロセスだ。
この循環のなかでバイアスを含むプログラムがされた人には、柔軟な思考フレームの変化を望むことができない。20代の間、ぼくは「話せば分かり合える」と思っていたが、プログラムされたものを、話すだけでほぐすのは至難のワザだということがわかった。それは自分に関しても一緒で、思考=プログラムのあらゆる部分に思い込みがある。
日本に帰ってきてからは、日本では特に異なる考え方を許容するという文化が、日本人カテゴリーのなかにはないので、均質化されたプログラムを持つ人を個別にそこから解放することは難しい。
プログラムされたバイアスを上の図のような方法で、なくしていけるという考えをヤルカス氏は示した。ニュラルネットワークのアルゴリズムで、人とそれをプログラムするメディアからバイアスを取り除いていく。
今週はマイクロソフトのイベントにも参加したが、AIを誰もがどこでも利用できるようにするというビジョンが示された。
外部的な知性、機械知能(Machine Intelligence)と人間が協調していくというのは、本当に面白い。人間の機能には限界があるが、それを拡張する機会はどんどん広がっているのだ。
Ghost in the Shellだと草薙素子はインターネットに接続して、ネット上を自由自在にクロールして、ときにハッキングして情報を引き出している。だが、現実世界はネットを介して機械知能とつながることになる。機械知能が僕らの代わりにさまざまな仕事をこなしてくれるはずだ。
Ghost in the Shellはスカーレット・ヨハンソン主演で、来年アメリカで映画になるみたい。
Image via Paramount Pictures
繰り返しになるが、以下の悪夢の循環にとらわれない情報を人の手元に届かせるこそが、人間の進化であり、人間をコントロールから解放することだと思う。
「人々は『自分のプログラム』を反映したマスメディアを創造する」⇔「人々は彼らがさらされるマスメディアによってプログラムされる」
メディアを介した人間のコントロールはあまりパフォーマンスが高くないはずだ。機械的なことは機械がやる時代がもう来ているから。人材の均質性が差別化要因になるのは20世紀までだったと思う。
情報流通における、この構造を越えたノードをつくることが大事だ。それはトラディッショナルメディアには完全にできないことだ。ということで、ブログタイトルをSmart Nodeに代えた。