予測、群衆の叡智、ニューラルネット
先日とあるテック企業のカンファレンスに出席しました。人工知能を使って蓄積された顧客のデータから顧客の要望やコンタクトするべきタイミングなどを予測するというビジョンでした。
それを聞きながらGoogleのTGIFでのエピソードを思い出しました。Googleは検索結果を得られるまでの速度に恐ろしいほどの執着を見せていました。エンジニアがラリー・ページにこう聞いたといいます。「ねえ、ラリー、我々はどんどん検索速度を上げてきたけど、ゼロコンマ何秒(あるいはミリセカンド)で終着点なのかな?」。ラリーは「どうしてゼロコンマ何秒で終わりになるのか。マイナスを目指さないのか」と答えたと言います。つまり、ユーザーが咳き込んだら咳について検索することを前もって予測できる、というようなことです。
予測市場というものがあります。スポーツベッティングという賭けに類するものから、大統領選挙の2候補の模擬株式のようなものを発行して、選挙結果を予測するもの、会社の新商品を市場投入前にテストする場としてまで、さまざまな類例が存在します。
普通の人たちを予言者に変える 「予測市場」という新戦略―驚異の的中率がビジネスと社会を変革する
- 作者: ドナルド・トンプソン,千葉敏生
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2013/01/19
- メディア: 単行本
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ギャンブルと同じ仕組みをもつ保険商品など応用分野が見込まれます。これは群衆の叡智という仮定されたメカニズムによっているのです。「みんなの意見は大体正しい」ということです。集合知とは少し違いますよ。
http://www.nature.com/news/the-power-of-prediction-markets-1.20820
ただ、ドナルド・トランプとブレグジットはうまく予測できなかったのですが。Poll(世論調査)と予測市場のどちらが精度が高いかという議論になっています。
人工知能時代の競馬のオッズ
競馬のオッズはとても興味深く、比較的1番人気の正答率は高いと言います。オッズは支持率をひっくり返したもので、低ければ低いほど群衆による支持が高いことを意味します。18頭フルゲートでたっぷりとしたお金が注ぎ込まれる大レースのオッズの動き方は極めて興味があります。割安が指摘されていた銘柄がじわじわオッズを下げていったり、かなり確実と思われる1番人気の単勝オッズが2.0倍を目指して下降し、1.9, 1.8, 1.7...と重たそうに刻む様子も興味深いです。
より正確に勝つ馬を予測できるようになるから、1番人気の倍率が1.0倍に近づいて行くことになるかもしれません。予想された、誰もが疑わないものが予測不能なものに覆される瞬間を狙うのが勝ち方になるかもしれない。
競馬は20~30%程度を胴元が持っていくため、普通にやったら勝てません。だから、この胴元がいない競馬を生み出す方が、奇跡を起こそうとするよりいいのです。運営費のための手数料だけなら遥かに少なくて済みます。Ethereumの予測市場プロジェクトであるAugerやGnosisはぶっちゃけるとそういうことです。
すべてをゲームにしてしまおう
パラメータが手に入り、目的を設定できるのなら、深層強化学習が応用可能になりえます。現実世界で起きていることをゲームっぽく切り出せれば、与えられた情報から予測を試み、その精度を上げていくマシンを生み出せるのはないのでしょうか。
現実世界をゲームとして切り出すテクニックが、モデルが有用かどうかを確定しそうです。何しろディープラーニングやその他の学習方法は日進月歩で発展しています。
▼複雑なパックマンで人間のスコア超えを達成したMaluuba
https://twitter.com/MaluubaInc/status/874977770253815809
▼DeepmindのAGIへの次の一歩