情報は自由になりたがり、自由になった情報は人間を自由にする
分散型アプリケーション構築プラットフォームであるEthereumのマイニングに利用できるグラボが品薄になっているようです。BitcoinのマイニングはASICがないとお話にならず、マイニングプールの開業・出資が絶対です。Ethereumのマイニングはまだそこまでえげつなくなっておらず、グラボでも日本の電気代でもペイするとのことです。
この出来事は特に新しさはないですが、興味深い味わいを感じました。「誰もがパワフルなコンピューティングパワーをもてる」ということです。
YouTubeの将棋棋譜並べも面白いです。プロの手をハイスペックコンピューターに載せたelmoやPonanzaなどで検証していきます。プロとアマの間にあった情報格差が解消しており、プロがソフトを使わなければ、アマのほうが9×9の宇宙への理解が深くなってしまいます。
藤井4段。デビュー以来負け無しの28連勝達成。加藤9段の引退。人間より人工知能のほうが将棋が強くなって電脳戦が終了、藤井4段が次々と新記録を塗り替える。elmoのおかげで素人の記譜解説を皆で見るスタイルも確立しつつある。時代の変わり目。
— 松川昌平Shohei MATSUKAWA (@sho000) June 21, 2017
因みにエルモは△65歩と突いた現局面から
— 元奨励会員アユムの将棋実況 (@ZpikT1) June 2, 2017
▲76角!という手を推奨。藤井四段がこれを指したらもう笑うしかないが
恐らく指さないだろう。
対局観戦ブログ(16時10分まで)https://t.co/5soIDPhD7q pic.twitter.com/mGfAEeaUWI
そう、elmoのおかげで素人の記譜解説を皆で見るスタイルも確立しつつあります。これは将棋知識の著しい民主化です。若手棋士は同じようにハイスペックコンピューターと将棋ソフトにより対局を検証しています。藤井聡太四段はおそらくその若さと才能に加えて将棋ソフトによる研究により、バイアスレスな探索を実現させています。ここでもコンピュータティングパワーへのアクセスが効いてきていますね。
余談ですがここに冷水を浴びせているのが一部棋戦のスポンサーである朝日新聞社です。
こういう権威主義は機能的ではありません。将棋の発展、賑わいを阻害しています。将棋連盟はクラウドファンディングを採用すればいいのではないでしょうか。そして棋譜はネット全公開にして、印刷する人からはフィーを徴収するという方が、ビジネス的にぴったりだと思います。
情報はフリー(自由・無料)になりたがります。
On the one hand information wants to be expensive, because it's so valuable. The right information in the right place just changes your life. On the other hand, information wants to be free, because the cost of getting it out is getting lower and lower all the time. So you have these two fighting against each other.
コンピューティングパワーの拡大は私たちの能力の拡張を意味しています。私は必要性の失われた権威主義を目の当たりにすることがあります。人間をあらゆる制約から解き放ちたいです。もちろん人間の悪い部分を抑制しながら。
PS: 私にもハイスペックコンピュータを利用したメディア取材高度化のアイデアがあります。この「SmartNode」というプロジェクトに沿っています。将棋の棋譜の検証もしてみたいです。誰か使っていないハイスペックコンピュータがあったら届けてください(図々しい)。