デジタルエコノミー研究所

”経済紙のNetflix”を作っている起業家の日記

Webの新標準PWAが余りにも衝撃的なんですけど


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Progressive Web App(PWA)があまりにも衝撃的なんですけど。"今からネイティブアプリ構築方法を学習するのは流石にバカバカしいぜー"とずっと思ってた(だって僕は記者だしBizdevだしマーケターだしアナリストだしコンサルだしYouTuberだし駆け出しのブロックチェイナーだしなんちゃってウェブエンジニアだしね)。でも、そんなことも言えんよねということでAndroidのお勉強を開始していたのだが、普通にムズい。

そんなところに、PWAが降って湧いてきた。PWAは前職のときに2016年頃Googleワシントン・ポストのテストケースが発表されたときから知っていて当時も凄いと思ったけど、ネイティブアプリエコノミーがとても頑強なせいで、電車道の変化にはならなかったんだよね。加えて日本人はiPhoneが好きだから当時はあんまり多くの人を振り向かせるのに成功はしていなかったと思う。

だけど、サファリがService Workerに対応を進めてていて、今春のWWDCで進展が公表されるのではーとなっている。

開発コストの圧縮

僕が持っているプロパティは試作品のニュースサイトとYouTubeチャンネルくらいなので、この変化は最高だ。開発コストを大きく圧縮することができるからだ。もはやSafariがどう対応しようとも関係ない。Androidに対してはネイティブアプリを構築せず、PWAにユーザーを誘導するようにすればいい。これでデスクトップとAndroidを一つのプロパティで対応できるようになる。

ただし、iOSに関してはネイティブアプリを作り続けないといけない。AppleはAppstoreで相当儲けているはずだし、プロプライエタリ(専売的)が好きな会社だから、GoogleがイニシアティブをとりマイクロソフトMozillaも推進するPWAをすっと受け入れることは考えづらい(ブラウザ戦争が嘘のようだ)。iPhoneの販売台数もピークアウトの兆候を示していて、勢いを保つためにはインド人やアフリカ人がiPhoneをドカ買いする必要があるけど、そんなの現実的じゃないよね。企業は自分の収益源を削るような進歩にはとても消極的になるものだ。公平を期すと、GoogleGoogleで検索広告やディスプレイ広告を優先したエコシステムを作っているのでどっちもどっちだけど、今回はAppleの分が悪い。

高くつくネイティブアプリ

そもそもネイティブアプリは本当に高くつくようになっている。二つのプラットフォームの分離は、開発コストを引き上げ、開発者獲得可能性を低下させる。超レッドオーシャンでユーザー獲得コストの高騰はどうしようもなく、アプリストアのランキングは大資本の殴り合いの様相で、儲けはウイナーテイクオールの傾向が色濃い。

だからビジネスの観点から考えると、この戦争には基本的に足を踏み入れるのは大間違いで、そうならないようなサービス設計が必要になる。だけど、多くのプレイヤーは車輪の再発明が大好きだから他人と同じことをしたがるわけで、その時点で死路を辿ることになる。この傾向は日本市場においてより顕著だと思う。海外で成功したモデルを日本で数年遅れで導入し、ある程度金で殴れば成功するよねの方程式。。。。優れたソフトウェア開発能力とビジネス開発能力を備えたプレイヤーは本当に希少なわけだ。

まとめ

開発とビジネスの論理だけで物事を進めていると、顧客に提供する価値を最大化するという目標から、遠ざかってしまう。常に顧客の価値に立ち返ることが大事で、PWAは顧客の求める価値を満たしながら、コストを落とす素晴らしい手段だと思う。やっぱり開かれたWebがぼくは好きなんだなあとも思う。

Image via Google Developers