iPhone のダウントレンド あなたのモバイル戦略を変更するとき − 今週の進捗#14
富裕国(先進国)におけるモバイルのエコシステムの飽和は著しい。Appleがシグナルを送り続けているからだ。この記事にくどくど書いたけど、iPhoneは「ムーアの法則の死」の影響をバッチリ受けて技術革新を表現できなくなりつつある。「圧倒的な割高にもかかわらず技術的なアピールが薄まりつつある商品」なのだ。
それが今年の新しいiPhoneだったけど、来年の新iPhoneはSoCのプロセスを7nmにするようだが、それがどれくらいパフォーマンスを増幅するかは自信が持てない。A12の段階で、Qualcomm, HuaweiのSoCとは微差の状態であり、これらを積んだPixelや、Samsung、Huaweiの高価格帯機種とはカメラ、スクリーン、OSなどの差もほぼ存在しないので、僕は最もコスパのいいHuaweiを買うことをオススメする。そして、頭のいい消費者はすでにそう行動しているし、これからそういう態度は顕著になるだろう。
中国の年末商戦でiPhoneが不調だったと、クックはCEOレターにしたためており、有名アナリストは2019年度のiPhone販売台数は2018年から10%も減少すると予測している。
Huaweiを舐めてはいけない
Huaweiを舐めてはいけない。舐めていれば無知を晒しているのと同じである。Huaweiはチップのデザイン能力を高めている。AIチップの開発を外部のスタートアップと進め、組み込みコンピュータでの利用を想定した機械学習ライブラリ、OSを開発している。ネットワーク、通信機器の一部では大きなシェアをもち、特許を積み上げている。5Gの世界はHuawei機器がなくては成り立たない。あなたの手元にあるコンピュータだけでなく、周辺のネットワークにHuaweiは存在することになるかもしれない。”すべてが繋がりインテリジェンスを宿す”次の世界への影響力は、すでにAppleよりもあるのだ。
トランプがHuaweiに牙を向いたのはこういうバックグラウンドがある。Huaweiを締め出そうとするトランプの行動により、5G以降の次世代のプラットフォームが米中で分化する世界線に我々の世界は移った。コンシューマ、ユーザーとしては余り楽しいことではなさそうだ。
この状況については、来週、超豪華な予測記事を出すので、読んでもらえると嬉しい。
HTTP/3とEdgeの衝撃
HTTP/3の導入は大きなインパクトが想定できる。ネットワーク利用者はすべからくTCPのボトルネックを超えた、現代的なネットワークプロトコルを利用することができるだろう。モバイルユーザーの体験を向上させるためにはappが好ましいという判断が下されてきたのだが、Webの難しさが解決されてきており、HTTP/3はより大きなジャンプになる。
また昨年末にEdgeはがChromiumを採用すると宣言したのは余りにも大きな転換点である。ウェブ開発者としてはブラウザ対応の選択肢が限られ、ありがたいという側面があるが、Internet ExplorerとSafariに留まるユーザーは多数いるので油断はできない。またブラウザにおけるGoogleの力が増したともとれることには注視が必要だ。HTTP/3の最も重要な仕様変更であるquicもGoogleが開発したものを、IETFで取り入れるという経緯がある。
とにかく、自分として最も大きな影響としては、モバイルappの地位をWebが揺るがすことだ。appを使うことをひたすら教育されてきたユーザーをどう再教育するか、Googleのようなビッグプレイヤーの力が、ユーザーの移行を促せるものなのか。
最近のWeb開発では、フロントエンドインフラとパフォーマンスの分化が進んでいるみたいだ。フロントエンドはツールチェーンが雨後の筍のようにあり、常に変化が進んでいるので、インフラ担当者を専任で置く必要がある。ユーザーは速度に対して極めて敏感なため、主にモバイルを想定したパフォーマンスチューニングの重要性が増している。パフォーマンスエンジニアの技術スタックも多く、従来型のフロントエンドとはかなり異なる技能要件を要求する。彼らはブラウザをよく知り、同時にそのアップデートを常に追いかけながら、CDN、ネットワークプロトコル等を深く理解している必要がある。間違いなく専任を1人置く必要が出てきているだろう。
僕のaxionのような初期のスタートアップは「必要最小限のことを実現する」のが重要だと考えられる。機能を膨らましすぎれば、それに伴いパフォーマンスが落ちるためチューニングが必要になってしまう。そんなたくさんのことを実現することはできないので、必要最低限の機能を試しビジネス要件を満たすようならアプリケーションの規模を拡大し、チューニングというコストを支払うのが好ましい。そしてFirebaseのような便利なものはすぐに活用する必要がある。
Go言語
今週はProgateでgolang入門をやってみた。その後、JSを書いたり読んだりすると、JSのSyntaxがひときわムカつくように感じられた。もしかしたら、Web開発にとって最も汎用な言語だからという理由で、JSから入ったのは誤りだったのではないか、と感じた。ただ、何れにせよJSからは逃れられないことだけは確かだ。少し触っただけだけど、golang、いいのではないか。Go、GCPでバックエンドを構成できるようになれば、選択肢が増えるので、今後も継続的に学んでいこう。次第にGoogleの手先になっているかもしれない。
いらない機能は排除せよ
このNetflixのプロダクトマネジメントに関するブログはとてもためになった。チームがいいプロダクトを作ろうと意気込んでいる環境下では、失敗した機能の排除(Sunsetting)の方が重要になりうることが分かる。Netflixに友達機能が付いていたのは初めて知ったけど、確かにユーザーとしては直感的にいらない機能である。
ブロックチェーンは魔術ではない
ブロックチェーンを遅いデータベースとして使うのは誤りで、現実社会の課題を解決する魔術ではない。貨幣とデジタルアセットの交換に向いているが、まだ、性能が足らない。性能が上がれば、金融機関が要らなくなるが、それは政治の話となり、技術の話でなくなる。
個人的には、MITのCSとゲーム理論の専門家が結集したAlgorandがオモシロイと思っている。ビザンチン合意プロトコルという複雑な合意形成では、最も理論的には優れている気がする。ただ、保留されている誘因設計が吉と出るか凶とでるかが、Algorandの価値を分けることになる。また進捗があれば、記事にしてみたいが、日本語で書く価値があるのか、日本のブロックチェーンコミュニティの多数派は難しい話が好きではないので、悩ましい。
読書
『CODE コードから見たコンピュータのからくり』は最高の読書だった。18章で初めてチップに到達し、終わりに近い24章で初めてプログラミング言語に触れる。高級言語として言及されたのがCobol, Basic, Cで、楽な時代に生まれたなと実感した。
『Hacking: 美しき策謀 - 脆弱性攻撃の理論と実際』を読んでみた。面白かった。途中からガチでHackingの話になり、読解力が足りなくなった笑。
Hacking: 美しき策謀 第2版 ―脆弱性攻撃の理論と実際
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運動
3075㍍を泳いだ。37キロ歩行した。
※ 『axionの進捗』を『今週の進捗』に変更した。誰も気にしていないだろうが、念の為。