デジタルエコノミー研究所

”経済紙のNetflix”を作っている起業家の日記

Smart Node:メディアを「賢い節」に再発明しよう

DeepMindのDemis Hassabisのプレゼンにはときどき「Sensorimotor」が出てくる。知覚とアクションを同じ場所で行うことだ。コンピューティングの新しい目的地である分散協調型においてひどく重要な部分だ(一度このポストで検討した)。

このアーキテクチャの変化は「メディア」も大きく変えるだろう。Mediaは「媒介」という意味だと思うが、何故か情報のサヤ取りをして、ブロードキャストをし、儲けるビジネスモデルを意味する言葉になっている。つまりアービトラージャー

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Image : Commons Wikimedia

情報が生成される場所にくっついて、その情報の一部を握ることで「我々は知的であり権威を帯びている」とエラそうにするグループのことがメディアだと思う。これがインターネットが浸透した現在、情報流通の状況とフィットしていないので、かなり変な感じだ。

こういう組織では人間をマシーンぽく教育している。上意下達で意思を失った機械が求められている。だったらマシーンにすればいい。記者会見でスクリプトマシーンになっている新聞記者をよく見かける。それらがデスクに集まって捌かれるのだろう。ならデスクだけが人間で、他はマシーンで良いだろう。ぼくは彼らに「音声認識が発達すれば、あなたはその最悪の単純作業から解放される」と話しかけたくなる。

その情報を分析してアクションする、のが人間らしい仕事だと思う。この機能の名前は思いつかないが、まあ「メディア」ではない。「媒介」としての本当の仕事だったらコンピュータのが得意だ。情報取得・分析・行動のワンセットになったものが、コンテンツディストリビューションの主流になるのではないか。

人々から一番近いところでは、アシスタントという形で現れる可能性がある。AIが集めてくれた情報に基づいて、個人が価値のある情報を生成するという世界すらありうる。ライター・記者・編集者の書く・撮影する定式化されたものより、すでに専門家やブロガーが執筆するブログの方が充実している。知識、経験のバックグラウンドが違うからだろう。

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Image: Wikipedia

だからコンテンツディストリビューションにとって重要なのは上のような「節」だ。「Smart Node」と呼んでみたい。賢い節々があることにより、コミュニケーションのエコシステムが有益になる。ドナルド・トランプや極右のようなポピュリズムを防ぎながら、情報のパーソナライゼーションを達成するにはSmart Nodeは不可欠な存在だろう。