読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

デジタルエコノミー研究所

デジタルが生み出す新しい経済を知りたいビジネスパーソンのためのブログ

20兆円市場を臨む東南アジアのテック産業に火をともせ

f:id:taxi-yoshida:20160904113510j:plain

Mid Jakarta-Yasuhiro Okasaka 2012

東南アジアのテックシーンが本当に熱くなっている。ぼくは2010〜2015年2月までインドネシアに滞在したが、当時すでに熱かったものが、いまやビジネスの急拡大を展望するというリアリティに近づいている。先月下旬のテマセクとGoogleのリサーチによると、東南アジアのインターネット経済の規模が2025年に2000億ドル(約20兆円)を超える。これは以下の記事に詳しく書いた。

おそらく新規事業を考える人々は、中国より東南アジアにフォーカスするのが適切だ。そしてその未来はとてもおもしろいはずだ。中国ではない理由は以下の2点が大きい。

1.中国はBATの寡占市場ができ上がっている。

先月は中国のデジタル広告市場の巨人であるテンセントのSenior Director、Benny Ho氏にインタビューした。

彼はテンセントの広告プラットフォームが、日本企業がインバウンドマーケティングをする際にどれだけパワフルかを語りたがっていた。その一方、テンセントが日本を含む海外にどういうふうに広告事業を拡大していくか、ということについてはあまり語りたがらなかった。

  • テンセントのサービスは巨大なのでひとつずつ他国に出していく
  • その際には海外で20兆円ほど消費する中国人観光客と、在外中華系(Diaspora Chinese)が最初の基点になる

このDIGIDAY記事で指摘したとおり、テンセントはFacebookに肉薄している。

テンセントの収益、純利益はFacebookと同水準。時価総額でもFacebookの3571億ドル(約35.7兆円)に対し、2470億ドル(約24.7兆円)の水準となり、世界で16番目に時価総額が大きい企業となった(レート、チャートは作成時点のもの)。

2. ピークアウトが近い?

また経済、デジタル領域の伸びのピークアウトが差し迫っていることもある。GDPの伸び率も鈍化が始まっている。

iPhone販売も落ち始めている。アッパーミドルから富裕層が見せびらかしたくて購入する時間帯が終わり、安定的な水準に入ろうとしているとぼくは推測する。

できあがった中国より、いまダイナミックに成長する東南アジアに目を向けるべきだと思う。

成長する東南アジアのネットエコノミー

東南アジアの傾向としては、欧米勢のソーシャルが定着したが、もうかっているサービスは、主にマーケットプレイス中心で、地場勢が外国勢を追い出した形だ。

インターネット人口は爆発的に拡大する(下図)。ただし東南アジアにはネットカフェが充実しており、田舎の人でもハイスピードなネットを楽しんでいるし、都市部にはSimフリースマホで4,5個のSimを使い分ける若者がおり、統計が補足していない部分は大きいだろう。「Adtech Tokyo International 2016」で取材した現地のコンサルタントも統計は複数利用し、裏を合わせるよう指摘している。私の肌感覚もそうだ。モバイルは本当に破壊的なデバイスでどんな生活レベルの人にも入り込む。

f:id:taxi-yoshida:20160904110454p:plain

東南アジアのベンチャーキャピタル(VC)はいまはシンガポールインドネシアベトナムのECへの投資に力を入れている。ECは同地域のインターネットエコノミーの牽引役。リアルの小売業の5倍の速度で拡大しており、2025年に880億ドル(8兆8000億円)規模に達する。このうち、人口2.5億のインドネシアは52%にあたる、460億ドル(4兆6000億円)を占めることになる。

f:id:taxi-yoshida:20160904111627p:plain

 

シンガポール中心構造、変化が必要

リサーチはシンガポール国営投資会社テマセクのものなので、シンガポールセントリックに描かれている部分はあり、そこは割引きたい。

ぼくはインドネシアの5年間で、ファイナンスが発展したシンガポールが地域経済のハブになるモデルに疑問を感じている。投資された資金が周辺国で利益を生み、それがシンガポール在住の投資家によって回収されるという仕組みは、周辺国のあり方を歪めてしまい、「周辺」を常に不安定にする。シンガポールにとってはうまいが、全体で考えるとパフォーマンスを落としてしまう気がする。なぜならシンガポールは結局人口500万人の小島にすぎないし、ビジネスはまわりの6億人の間で起きる

分散し自律したものたちが協調しながら、それぞれがビジネスを作るほうが効率的だと思う。米国のウォール街VSそれ以外問題をこの地域に持ち込むべきではない。

Tech in Asiaで熱気を体感したい

来週はTech in Asia Tokyoの取材が控えている。地域の熱さ、ダイナミックさを多くの人に伝えられればいいと思っている。

あとテレビの天気予報の画面はこれからこうすべきだと思う。アジアに旅行に行って「日本より不便だった」みたいな感想だけを聞くのはそろそろお腹いっぱいだ。数字とファクトを眺めよう。

f:id:taxi-yoshida:20160904112301j:plain

広告を非表示にする