デジタルエコノミー研究所

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スタートアップドラマ『シリコンバレー』の感想

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今週はシリコンバレーのシーズン1を再度観てみました。一応ざっとスタートアップをどうやって組み立てて行くかがわかるのがいいところです。プロダクトの(潜在的)価値が認められ、事業計画を整え、チームを組織し、株を分けて会社を設立し、投資を受けるというプロセスが、コミカル描かれています。会社に価値を提供できなさそうな親友ビッグヘッドを、主人公のリチャードはチームに加えないようにするとこは、感じるものがあります。

Huluのときは字幕なしで観てましたが、今回はAmazonで日本語字幕ありで楽しむと、"Githubを見てくれ"とか、"データベースのスキーマが…”とか話していたことがわかり、一般向けに脚本つくっていない部分もあるんだなあと思いました。

主人公のチームはコンプレッション技術を開発していて渋いですよね。インスタとかSnapchatのような画像・動画共有サービスの方が、ドラマとしてわかりやすかった気もします。主人公は画期的なコンプレッション技術を開発していて、コンシューマ市場を狙っていたんだけど、実際はB2Bに機会があるとわかり、買収を提案したフーリーという巨大企業がリバースエンジニアリングで追っかけてきてピンチを迎えたところで、「ミドルアウト」という画期的な手法を、仲間うちの卑猥なシミュレーションから導き出すという話です。B2B製品がコンシューマ製品の文脈で描かれていたりするのが少し気になります。でも、SaaSの営業とかドラマにされてもイヤだよなあ、と笑。あ、でもシーズン2らへんでそういう話になって、箱を作ることになるだった♨

主題歌がGreen DayのMinorityで、権威にへつらわない少数派でありたいと歌っているけど、そういうマインドセットがいろんなところで必要だよなあ、ニッポン、と思います。日本の群衆思考をインストールしちゃうとそのOSは素晴らしいアプリケーションの動作環境ではなくなっちゃうはず。だから新規産業が育たないのではないのではと思案します。

気になって以下の動画でコンプレッションについてみてみました。

https://youtu.be/OtDxDvCpPL4

まとめ

モチベーション系ドラマでいいです。速くプロダクトとチームを作らなくては。まだ自分のプロジェクトは、シリコンバレーの第一話に達していないので。

Googleのゼロから考えてみるカルチャーは凄すぎ

以下の本を読みました。メルカリが2015年に組織に導入したSREに関して、生みの親のGooglerが詳細な説明をしていてためになります。

SRE サイトリライアビリティエンジニアリング ―Googleの信頼性を支えるエンジニアリングチーム

SRE サイトリライアビリティエンジニアリング ―Googleの信頼性を支えるエンジニアリングチーム

 

 

  • SREは、従来のシスアドではなくソフトウェアエンジニアが運用を構成するという立ち位置。開発/運用の分断による必然的な対立関係をインセンティブ設計で統合し、サービスの成長と運用コストが比例しないように切り離すべく生まれた。シスアドとしての技術要件はソフトウェアエンジニアからは遠いものだったが、それをGoogleは再定義してて、こんなに良くなったんだぜ、オレたちのやり方はこうだぜ、と説明している
  • エラーバジェットとは、サービスレベル目標で設定する許容可能なエラー率(時間、範囲、レベル)を指す。サービスを早期にリリースしてユーザーを獲得したいソフトウェア開発チームは、この予算内で品質レベルを作り込めた時点でデリバリーできるので、これを超過するまでは機能開発に集中できるという点でメリットがあり、SREと開発チームの密なやりとりをする必要がない。
  • 過度の信頼性はコストに跳ね返る。100%の信頼性を持つサービスを目指すべきではない。ユーザは高い信頼性と極度に高い信頼性の差異に気づかない。ユーザ体験を決定づけているのは、ワイアレスネットワークやモバイル端末などもっと信頼性が低い要素。
  • ソフトウェアベースの自動化は多くの環境において手作業による運用よりも優れているとGoogleは信じている。もちろん自動化が必ずしも万能薬になるのではなく能力を増幅するもの。最も優れているのは、自動化も手作業も必要としない自律的なシステム。
  • 高いスループットと低いレイテンシの両方が求められるシステムの多くにとって、合意アルゴリズムは低速であり、コストがかかりすぎるということが一般通念となっていた。Multi-Paxosが安定したリーダーを選択することによってパフォーマンスを改善する。

本筋ではないが、Googleの分散合意の運用方法は面白かった。ブロックチェーンの文脈でしか知らなかったが、Googleのような環境でタイトな合意プロセスを導入するとこうなるというのがわかった。ブロックチェーンの合意をめぐる価値の算定を精緻にできる気がする。一部には大きな可能性があり、ハイプされているその他大部分は、砂上の楼閣だろう。今の下げ相場でその大半が退場するはずで、本物だけ残ればいいと思う。

まとめ

ここに記されたGoogleのベストプラクティスの一部はGoogle Cloud Platformを使うことで、巨人の肩に乗れる。Snapchatの中身はGoogleなんて形容されていて、Googleが買収を提案したくらい。ゼロから考えて、SREなどの概念群とその運用方法などを作る姿勢が重要だと感じられるし、毎度毎度Googleには本当に驚かされる。広告取引のセカンドプライスオークションの導入もそうだし、IPOもダッチオークションでやるなどソフトウェアとは異なる分野でも自分たちの叡智を信じているわけね。

マネなんかしないぜと言っているわけではなく、マネだけしていて何も考えてないカルチャーが出来てくるとキケンだし、そういうハスッこいだけで味のない会社作ってもワクワクしないよね。検索サービス作るためにハードウェアから始めるという、ゼロから自分で考えて自分でやってみるというカルチャーを作ろうと強く感じさせられた。

https://yoshidashingo.hatenablog.com/entry/2017/08/08/200306

http://tech.mti.co.jp/entry/2017/11/25/000316

http://www.slideshare.net/GoogleCloudPlatformJP/managing-risk-with-error-budgets?from_m_app=android

人を自由にし、人の幸福追求を最大化する

昨日の記事に引き続いて検索に関して学習した。

https://taxi-yoshida.hatenablog.com/entry/2018/04/05/174149

PFNの岡野原大輔氏の章。Googleの分散システム。DECには有望な検索製品があったが、経営陣はそれに気が付かなかった。主力ビジネスのオマケとしての検索開発を行う「イノベーションのジレンマ」なプレイヤーたちを、Googleは静かに圧倒し、市場を制圧した。早稲田大学の田村健人は1994年とラリーペイジと同時期に「千里眼」という被リンクに着目した製品を作っていた。

元DECのマイクバローズ、ジェフ・ディーン、サンジャイ・グマケットがGoogle検索のバックエンドを支える分散システムの設計・開発に大きな役割を果たした。

検索の主体はやがて人間ではなくなっていくかもしれないという。

  • 接続するデバイスの拡大、IoTの進展により、将来的には検索を利用する主体が、人間よりも機会が大きくなるのではないか。
  • データ量の爆発はすべてのデータをデータセンターに運ぶことを困難にする。エッジヘビーコンピューティングの将来性がある。

OK Googleのようなモバイルの機械エージェントはやがてクライアント側に処理能力を寄せて行くようになるのではないか。

機械と人

機械がWebページたちを“読んで理解”し始めることなり、それが大きな分水嶺になるのではと思索する。機械が勝手にリッチなメタデータを作って、某医療系ウェブサイトのようなハックをも看破できるように、次第になっていくのではないか。ある意味、人間の知性を表出させたもの=文章=の評価を機械が下すことになるので、抵抗感を感じる人もいるかもなんだけど、すでにこういう試みのおかげで世界はだんだん良くなっている。私は人がその利益を理解できるように、知識の下地やフレームを作ることをしたいなと考えている。楽しい未来を生み出すためには、ドナルド・トランプにおりゃあと投票しちゃう群衆行動や、2015年頃に日本の為政者とマスメディアが煽った興味深いナショナリズムのような、感情的で真剣に考えることを人から放棄させるエネルギーを取り去らないといけない。このエネルギーはいろんな人の飯のタネだし、変わりゆく世界のなかで落馬した人が最後に頼るジョーカーみたいなものだけど、そういう自分勝手な扇動は許してはいけない。

人を自由にし、人の幸福追求を最大化する。

そのために適切な形で機械の力をレバレッジする。一部の領域で機械が人間の力を超えていくことを許容する。人間には問題を設定するという一番重要な役割が残り、また人間の知性には機械でエミュレートできるものとそうでないものがあり、そうして有意なものとそうでないものがある。


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