デジタルエコノミー研究所

”経済紙のNetflix”を作っている起業家の日記

僕は不確実性の高いゲームに強いからリスクをとってゲームをそっちに誘導しよう - axionの進捗#9

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僕は出席できなかったHTML5カンファレンスのビデオから一週間を始めた。それからChrome Dev Summit 2018のビデオも観てみた。Webのトレンドの体内感覚が出来てきた気がする。

やはり僕はWeb Packagingが気になる。所定のサーバーにとらわれないコンテンツのサーブは、さまざまな問題を解決してくれそうである。これは突き詰めていくと、「あなたはどこまでGoogleを信頼できるだろうか」、そういう話である。

キャシュ戦略についても理解が深まった。適切なキャッシュ戦略は、速さにすべてを捧げている風の専任のエンジニアが必要なものだ、とやっと僕は理解した。「現時点で激しく投資する領域ではないが、遅くしては絶対にまずい」という結論を得た。ユーザーやコンテンツが豊富になってこそ、投資しがいのある課題である。

Webのプロトコルレイヤーが気になり、掘り進んでみた。axionのウェブサイトで利用される技術スタックは、最新状況を織り込んだものであり、急ぐ必要はない学習だったが、興味が湧いたときに一気に学習する方が効率がいい。それに結局は深いところまで包括的に理解しているからこそ、施策の正当性を吟味できるわけだ。ブログ等で小手先のテクニックを学習し投入して瞬間風速を高めるのは、自分のやり方にそぐわない。長期視点に基づいた投資が好きなのだ。

この際、ブラウザの仕組みにも踏み込んでおこうと思っている。公開情報をたどるだけでも「奥が深いでござる」という感じだ。

マーケットデザイン

週の途中から自分の最重要領域であるマーケットデザインの学習になだれ込んだ。

僕は経済学を問題解決の手段として重視してきた。インドネシアで新聞記者をしていたときは、開発経済学、都市経済学の格好の学習材料が転がっていた。教科書の内容と全く異なるカオティックな現実は最高に面白かった(だから僕は日本に退屈している。僕は不確実性の高いゲームに強いのだから、もっとリスクをとってゲームをそっち側に誘導しよう。そして平均的な日本人はそういうのにめっぽう弱い。素晴らしい状況である)。

当時は給与がべらぼうに低かったこともあり、副業で日本とシンガポールの金融機関、研究機関のためにレポートを書いていた。マクロ / ミクロ経済学を学びながら即座にその知識を使うためとても鍛えられた。

日本でデジタルマーケティングのアナリストとして働いていたときには(ビジネス開発も何もかもやってたが)、主にミクロ経済学といわゆる"マーケットデザイン"を大事な分析の手段としていた。マーケットデザインという領域はそれはもう超面白い。デジタル広告オークション、C2Cマーケットプレイスのようにテックカンパニーのビジネスとがんがん重なり合う。理論では数学をバリバリ使うが、実践だとなんというか「百鬼夜行の世界の中に居心地のいいショッピングモールを作るにはどうすればいいんだ!?」 的な愉しさがある(僕はこれが得意だ)。

マーケットデザインへの熱が再燃した。来週以降もがっちり学んでいこうと思う。

シグナリング

チームビルディングについても考えてみたが、情報の非対称性を伴った市場で、プレイヤーがどう振る舞えばいいかという問につながった。僕たちが"市場"と呼ぶもののほとんどが、情報の非対称性を伴った市場、なのだけれども、そこでは常に情報が不足しているので、情報を持つ側にとってシグナリングが効果的になる。

現実社会では、人々はしばしばシグナリングに誤った情報を足す戦略をとる。そのせいでシグナリングにそぐわない能力の低さが露呈されることがあるし、大半の日本企業はスキル算定能力が悲劇的でもある。前職では"コンサルタント"とか"ストラテジスト"とかそういう類の人との交流があったが、こういう人たちは多かれ少なかれフェイクシグナリングの達人だったり、すべての結果を自分の実績に結びつけるテクニシャンだったりする。

"起業家"のシグナリングもまた途轍もないものであるし、一定数、コンサルタントと同じ匂いがする人たちがたくさんいる。この中で適切なひとに適切なメッセージを伝えるにはどうすればいいのだろうか。あるいは、ほとんど自分に関する情報を持たない投資家と話すときにどうシグナリングすればいいのだろうか。

僕の戦略はシンプルで、鍛錬し続けて、品質の高いシグナリングをすることだ。市場に投下された正しい情報は、天然の評判システムを経て、その"正しさ"の精度が判定されるはずだ。その精度を保つには、ある程度の能力基盤がないと難しい。賢い人は巧妙なシグナリングを分解してその大元を推測できる。賢い人と出会えばいい。そうでない人に気づかれないことは好ましい。

武器と防具は揃いつつあるので、ダンジョンに行って「僕はここにいるよ」とアピールしに行こう。"スタートアップ市場"は情報があんまり浸透しづらいので忍耐強さが重要になるだろう

進行中のタスク

  • ネットワーキング / Founding Membersを探す
  • Web Appの開発
  • マーケットデザインの学習
  • Javascript / React / GraphQL / Webpackの学習

今後進める予定のタスク

  • 創業時の株式分配見通し
  • Stock Optionの設計(税制適格, Vesting)
  • 会社設立 Founding
  • 投資家との交渉

運動

3075m泳ぎ、53㌔歩行し、31.3㌔ジョギングした。

Image by Charles Conway (CC BY-SA 2.0) / via flickr