デジタルエコノミー研究所

”経済紙のNetflix”を作っている起業家の日記

アラン・チューリング(Alan Turing)について

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この記事で話したように、Webアプリを作りながら、基礎的なコンピュータサイエンスのお勉強をしていますが、アラン・チューリングAlan Turing)の足跡の大きさには感じ入るところがあります。この学習と『斉木楠雄のψ難』と『ワールドトリガー』が楽しすぎて、主たる目的がおろそかになっているかもしれません。

文字を追うだけではなく、映像を差し挟むとやっぱ脳みその吸収効率が上がる気がします。英語圏には素晴らしい科学ドキュメンタリが揃っていて、特にチューリングはこすられて最適化されています。

もちろん日本の国営放送が制作する番組にも本当にいいのがあってありがたいです(『神の数式』は最高です)。ただし、将棋の藤井くんのドキュメンタリでかなり疑問を覚える盤面の解説をしていたり、AIと言う体で40代独身男性をディスったりするものもあり、プロの方から取材したものを捻じ曲げてしまう傾向のものがあるのではないかと、考えを巡らせるのです(いいものはいい。悪いものは悪い)。

Alan Turing - Celebrating the life of a genius

アラン・チューリングは論文「COMPUTING MACHINERY AND INTELLIGENCE」の冒頭で「機械は(人間的な)思考をするか?」という”問い”を検討しています。この問いの設定がすでに常人離れしています。

I propose to consider the question, "Can machines think?" This should begin with definitions of the meaning of the terms "machine" and "think." The definitions might be framed so as to reflect so far as possible the normal use of the words, but this attitude is dangerous, If the meaning of the words "machine" and "think" are to be found by examining how they are commonly used it is difficult to escape the conclusion that the
meaning and the answer to the question, "Can machines think?" is to be sought in a statistical survey such as a Gallup poll. But this is absurd. Instead of attempting such a definition I shall replace the question by another, which is closely related to it and is expressed in relatively unambiguous words.


Alan Turing - Celebrating the life of a genius

イギリス人の発音はチューリングではなくターリングなんですね。日本語に訳されたのは古いっぽいんで、チューリングって日本での独り歩き系かもしれません。

チューリングマシン

”決定問題”を解くために考案。計算機を数学的に議論するための単純化・理想化されたバーチャルマシン。長さは無制限で記号を読み書きできるテープ、書くか書き換えるかができるヘッド、マシンの内部状態ステートなどで構成され、ヘッドは移動してステートを更新していく。この機械は十分な時間さえあればどんな計算も可能にすると証明したといいます。全て原則的にはチューリングマシンによって計算することができ、逆にチューリングマシンで解けない問題にはアルゴリズムは存在しません。

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画像Source: Wikipedia

Enigmaの解読

Enigmaの解読。暗号学に関しては暗号通貨、ブロックチェーンのお陰で虫食い的な知識ができているので、今度、がっちり学習して固めて置こうと思います。Enigmaという

 

チューリングはBombesというマシンでEnigmaを解読しています。英国が集めた暗号解読チームには文学的なグループも含まれていた、チューリングがそこに紛れ込んでいたのは幸運意外の何者でもないだろう。この映画ではそのときの情景が描かれています。チューリングの趣味はランニングで走りながら抽象的思考を行ったと言われていますが、作中でカンバーバッジが走る感じほど爽やかだったとは思えませんけど、引っ越してから20キロの週末ランニングをしなくなっているのはやばい気がするので、そろそろ復活させようと思います。


映画『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』予告編

チューリングテスト

チューリングは人間か機会かを判別する”チューリングテスト”を提唱しています。もし人間が機械を人間と判別するようなら、それは”人工知能(AI)と呼ぶことができます。ただし、このときにそもそも知能(Intelligence)とは何かという疑問が出てきます(参考)。人間が人間だと認識するから、それは機械ではなく、Intelligenceだと呼べるのかどうか。この先は哲学的な議論に結びついていきます。


Ex Machina | 'The Turing Test' Clip | Film4

Unorganized Machine

チューリングの探究は、ニューラル・ネットワークの最初の形をも生み出していたとも言われています。1948年の論文で、”Unorganized Machine”という概念を提唱していて、最初のうちはとてもカオティックなのだが、訓練を続けているうちに形作られる機械であり、幼児が脳や神経系を短期間で発達させるところを、電気の働きで再現できるか検討しています。

チューリングとマシンミュージック

ニュージーランドの研究者たちはチューリングが巨大な工作機械で作ったコンピュータで作成された音楽の最初の録音を復元しています。 大学生のときはコンピュータ音楽を作っていたので、”この分野の始祖もチューリングなのかい!”という感じです。当時は「現実世界が表現する複雑性を”音楽”という仮想・抽象空間で、コンピュータを利用して再現する」というテーマを持っていました。間隔でこの「複雑なテーマ」に到達していたのですが、チューリングのような問の立て方、あるいは”問題の見つけ方をすれば、もっともっと進化できる気がします。どこかで時間を見つけてまた音楽を作ってみよう。 これはソロプジェクトからの一曲。

つくってからすでに10年ほど経っています。チューリングということで久しぶりに聞くと味わいが深いです。「ああだ、こうだ」言って評論家然としているのではなく、自分は”創る人間”だったよな、と思い出してきているので、うん、速くサービスリリースしなくてはいけないよな。

こっちはバンド時代の音楽ですね。またチームで音楽作りたい。Ableton Live 10が出たので

まとめ 

アラン・チューリングの話が途中から音楽の話になっているじゃないか、なんだけど、でも書いていてこっちは考えが整理できて嬉しかったので良しとしよう。

参考

www.theguardian.com