デジタルエコノミー研究所

”経済紙のNetflix”を作っている起業家の日記

プロダクトマネジャーあるいはプロダクトマネジメントをめぐる考察

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Via google news room 

TL;DR

最初のうちは自分でPMをやる。だけど長期的にはCSや経済学(特にマーケットデザイン)のバックグラウンドがあるPMを育てたい。


※今回はかなりごった煮のままなので、まとまったものを期待する人はここで読むのをヤメてください。メモの意味を込めてブログを書いています。間違っていてもご愛嬌😉

僕はサブスクリプションモデルのメディアスタートアップを始めるとして最初期に6人のチームを持つと想定します。で、そのうちの2人がエンジニアを想定しています。創業者の僕は創業してから独学でコンピュータサイエンスを甘噛して、それからプログラミングを学習してMVPを作りましたが、長期的に開発を続けていくには都度都度学習しながらになってしまいます。しかも、開発と同時にコンテンツの両輪で進んでいくビジネスなので、開発自体から手を引き、プロダクトマネジャー(Pdn Manager)を自分がやるという形でアーリーステージを切り抜けようと思いました(他にも課題があるので、これでもまずい気はしますが…)。

必要な開発陣はこのとおりです。ぜひどんどん私にDM等してください。

https://taxiyoshida.github.io/jobs/

しかしいろいろ忙しくてPMに関する結論を保留したままになってしまいました。とても気持ちが悪いです。

ということで、GWでもあることだし、今日も図書館でいろいろ読んでみて、それからこれまでの読書、経験、インタビュー等の成果などもミックスしてPMについて一定の結論を得ることにしました。


 『世界で闘うプロダクトマネジャーになるための本 トップIT企業のPMとして就職する方法』。この本は本当に素晴らしいと思いますし、翻訳してくれた方にも感謝したいです。

PMとエンジニアの人数比にも、大きな幅があります。Microsoftにはおおぜいいて、チームによっては1:3ほどの高い比率です。その他の企業では1:10が一般的です。GoogleTwitterは、エンジニアの人数に対してPMがとても少ないことで知られています。人数比は、PMがエンジニアの日々の仕事にどの程度密接に関わるか、PMが担当するプロダクトの規模はどの程度かということに大きな影響を与えます。

Amazon「チームは2枚のピザで収まる数がいい」とする考え方は有名です。1つのチームが5人から8人くらいに収まるとすると、このなかに1人PMが入りうるでしょう。

Amazonでは、プロダクトマネジャーの役割にはMBA取得者が好まれます。技術的なバックグラウンドが必須とは考えられていません。新卒者をプロダクトマネジャーとして採用しない、数少ない企業のひとつです。ただし、新卒者をプログラムマネジャーまたはテクニカルマネジャーとして受け入れています。これはプロダクトデザインよりプロジェクトデザイン寄りの役割です。

Facebookは本書で紹介する企業の中では最も技術面を重視し、技術に明るいプロダクトマネジャーを求めています。起業家精神を持った「ハッカー」文化があることを重んじていて、買収などにより取得した企業の設立者だったPMが相当数います。Googleの元PMも少なくありません。新卒者は1チームにつき4ヵ月、計3チームをローテーションするものです。

この記事で触れた『サルたちの狂宴』の著者アントニオ・ガルシア・マルティネスも自身が起業したアドテクスタートアップからFacebook Exchange(FBX)のPMに転身しています。2010年台前半でFacebookの「ハック」文化の頂点のような時期です。FBは他社が成功したプロダクトの特徴を即座に模倣する力があります。FBは当時はゲーミングプラットフォームとしての成功を目指し、メッセージングアプリの隆盛にもFacebook Messagerで乗ることに成功し、Snapchatの機能はすべて、買収したInstagramに取り込み、Bytedanceの機能もまたすぐさま取り込んでしまいました。この速度感は起業家出身のPMが多数いる証左のような気がします。

こういう記述もありました。

FacebookのPMは独特です。

Facebookは技術力が高く起業家精神を持ったPMを求めます。Facebookではプロダクトマネジャーの誰もがコードを書くこと(少なくとも基本を学ぶこと)を期待されていて、6週間のFacebookブートキャンプを経験します。これはPMとエンジニアがツールについて学びバグを修正するプログラムです。これは、なんでも自分でやる企業文化にふさわしいものです。PMが自分の担当プロダクトの初期プロトタイプを自分でコーディングすることは、めずしくありません。

お、僕はこの要件は全然満たしていますね😊

Facebookは他社の従業員を雇用する目的でその会社を買収することがあり、これをacqui-hiring(訳注: 人材の獲得を狙って買収すること)と呼ばれています。人材の獲得を狙ってチームを買収する場合、Facebookは通常、10人未満、しかもその大半がエンジニアで構成される小規模なチームを狙います。その企業の設立者やCEOがプロダクトマネジャーとして迎え入れられることが、しばしばあります。

なるほど。確かにチームが10人未満の段階で、リスクがかなり高いゲームを戦っている最中に高額のバイアウトプランを提示され、さらに最高水準の給与で迎えられるのが決まるので、普通の創業者はオッケーするに違いありません。

Googleは、主にコンピュータサイエンス専攻の新卒者を積極的に採用しています。新卒者はまずアソシエイトプロダクトマネジャー(APM)プログラムからスタートします。これは2年間のローテーションプログラムです。MBAを持っているPMもいますが、Googleではむしろ修士号や博士号を重要視しています。

Googleは本当にコンピュータサイエンスの会社なのだなと思います。ただ、CEOのSundar PichaiはウォートンMBAマッキンゼーGoogleのPMというキャリアなので、ビジネスに強い人もPMとして活躍しているのでしょうか。

多くのプロダクトではPMは1人しかいません。複数のPMがいるプロダクトでは、通常は業務が明確に分割されて、各PMがひとつの範囲の全体を担当します。GoogleのPMとして日々の仕事では、エンジニアリングチームやデザイナーと最も密接に連携します。PM、エンジニア、デザイナーはホワイトボードに描きながらたくさんのアイディアを出します。そして、すぐにプロダクトを作ります。

Googleは、PMの分析のスキルをたいへん重視します。データ分析がPMの仕事の大きな部分を占めることがあるからです。検索と広告の部門では、PMは利用状況のログをしょっちゅう見て、新しいプロジェクトのアイディアを考え出します。Googleでは、チームが何かを作ると、ごく一部のユーザーに対して簡単にそれを試すことができます。データが入り始めると、PMはそのデータを分析して(またはデータアナリストと協力して)、その変更がカイゼンにつながっているかどうかを検討します。

なるほどGoogleは検索、広告において「即座にハックする」というFacebookとは全く異なる世界観で開発を進めていることがわかります。

で、マイクロソフトは異色で、他のビッグテックよりも多くのPMを抱えているそうです。そしてそのバックグラウンドはそこまでCSのものである必要がないみたいです。

Microsoftは、プログラムマネジャーとして新卒者も経験者も雇用しています。技術的なバックグラウンドはあるものが良いものの、コンピュータサイエンスに限定していません。それとは別に、Microsoftでは国際的な採用活動が成功していて、米国外からもPMをおおぜい雇用しています。

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スクラム 仕事が4倍速くなる“世界標準”のチーム戦術』にはトヨタ生産方式のオマージュが溢れています。トヨタ生産方式とは、トヨタ自動車工業(当時)の大野耐一氏や鈴村喜久雄氏らが生産ラインのムダを徹底的に排除するために確立した生産方式のことです。石油ショックに見舞われ安定成長期へと突入した日本で、高度成長期の、大量生産、大量販売を基本とするシステムはもはや完全に通用しなくなった。それに代わって、低成長でも利益の稼ぎ出せる新しいシステムの構築をするという文脈で生まれました。すぐれた生産システムであると同時に最小限の運転資金で、商品開発を行い、カイゼンを繰り返すことができるという経営面での旨味もあります。

ソフトウェア開発に広く浸透したスクラムには”プロダクトオーナー”という概念があります。スクラムの生みの親であるジェフ・サザーランドはプロダクトオーナーの存在で、製品開発プロセスが効率性を増すと主張しています。

ジェフは本書でプロダクトオーナーは「トヨタのチーフエンジニアのようなもの」であると説明しています。チーフエンジニアは、担当車種に関する企画(商品計画、製品企画、販売企画、利益計画など)、開発(工業意匠、設計、試作、評価など)、生産・販売(設備投資、生産管理、販売促進)の全般を主導し、その結果について、すべての責任を負う人なのです。

最初期のやり方

ということで、最初期の方針をこの通り。

私と2人程度のエンジニア陣でスクラム

  • 毎朝スタンドアップミーティング
  • 週1回のスプリントミーティング
  • プロジェクトのはじまりにはキックオフ
  • 区切りごとに振り返りカイゼン

PMFまでに作る機能は、課金型ニュースサービスなのでそこまで複雑化しないため、この体制で問題はないはず。

PMの定義をどうするか

PMの定義自体が会社の文化と密接な関係が生まれるはずだ。さまざまなPMがいると思うし

  • コンピュータサイエンスバックグラウンドのある人にPMになってもらう
  • 経済学(特にマーケットデザイン)バックグラウンドの人にCS、ソフトウェア工学を学んでもらいPMになってもらう
  • 起業家、あるいはサービス運営経験のある人にPMになってもらう

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ここまで読んでくれた人、どうもありがとうございます。「経済ニュースのネットフリックス」を目指す axion はフロントエンドエンジニア、バックエンドエンジニア、編集者、ビジネス開発を募集しています。

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雑談だけでもいいので、食事、お茶などしたい人はぜひTwitterのYoshi 吉田拓史 @taxiyoshida か yoshi@axion.zoneまで。もともと新聞記者だったので雑談慣れしています。給与は業界と同水準、福利厚生は”Work Rule"あるいはメルカリの先例に準拠します。初期メンバーにはできる限り議決権が制限された Common Stock(生株)を配る方針です。

世界で闘うプロダクトマネジャーになるための本 ~トップIT企業のPMとして就職する方法~

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スクラム 仕事が4倍速くなる“世界標準”のチーム戦術

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トヨタ生産方式――脱規模の経営をめざして

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