デジタルエコノミー研究所

”経済紙のNetflix”を作っている起業家の日記

読書メモ 『エンジニアのためのマネジメントキャリアパス ―テックリードからCTOまでマネジメントスキル向上ガイド』

エンジニア組織の状況を知ることを目的として読んでみた。マネジメント手法を説明している章は流し読みした。著者はTwo Sigmaマネージングダイレクターで、プラットフォームエンジニアリングを統括しているという。Two Sigmaは鬼のように強いヘッジファンドで驚異的に高速な取引でしられている。そのプラットフォームの統括者ということで、著書の Camille Fournier はステレオタイプな天才肌の人物像で、その人が書いたマネジメントとはどういうものだろう、という好奇心があった。実際には本書の内容はとても実践的である。Fournierはハイレベルなエンジニア集団をマネージするのに長けているのだろう。ここからもプレイヤーとマネジャーに必要なスキルセットは異なるものだということがわかる。

エンジニアのためのマネジメントキャリアパス ―テックリードからCTOまでマネジメントスキル向上ガイド

エンジニアのためのマネジメントキャリアパス ―テックリードからCTOまでマネジメントスキル向上ガイド

 

著者はスタートアップのCTOの経歴ももっているが、本書は組織を整備し、既存のエンジニアチームをどうマネージしていくかという課題をもつ大企業を想定して書かれている。あくまでFournierの定義であるが、CTO、テックリード、VPエンジニアリングなどに期待されるジョブディスクリプションを理解できたことは大きいし「その職務に就いた人がどのような課題に直面するのか」「どういう手段を講じるべきであるのか」という疑問に対して、とても丁寧な説明がされている。

マネジメントのキャリアを進む人と、専門性を極める人のキャリアを許容できる仕組みが必要だと感じている。意欲と適性には相関性が生じやすい気がする。

スタートアップがどのタイミングでCTO、テックリード、VPエンジニアリングなどのポジションを設置し、どうマネジメントを取り入れるべきかが僕にとっての一番の問いである。これは開発者がプロジェクトに参加してきてから、とても慎重に決めることであり、できれば開発者のなかの文化のなかからベストプラクティスが生まれるのが最高のシナリオではある。

そもそも僕は”マネジメント”にはつらい思いをさせられてきて、マネジメントと聞くだけでギクリとなる。自分の関与する組織にとって必要なマネジメントのあり方を考えていかなければならないし、それは日本語のマネジメントという言葉が意味するところとはかなり違うはずだ。