デジタルエコノミー研究所

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モバイルペイメント VS 暗号通貨:デジタル経済Newsletter_7/10

最も気になるのは、ファーウェイCEOがGDPの50%に達したケニアのモバイルペイメント「M-Pesa」などに触れたプレゼンレポート記事です。Bitcoinが足踏み状態が続いているが、新興国ではアリペイ、微信包銭形のモバイルペイメントの普及が進んでいます。モバイルも銀行口座も持っていない低〜中所得者に対してモバイルとプリチャージ・コード読み取り型の、資本蓄積、支払手段を渡せば、ネットワーク効果が生まれそうなのは自明です。

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これらは暗号通貨と合流するのか、並列するのか、それとも暗号通貨よりも大きなパイをしめるのか。富裕国でこれを行う課題は、モバイルペイメントが既存金融機関・クレカ会社との提携が必要で、レガシーインフラの利用と、マージンの切り分けが必要になるので、ユーザーセントリックさを一部欠くことになります。だから富裕国には暗号通貨からの金融革命の方が簡単にもたらせるはずだと私は考えています。

ファーウェイはデバイスメーカーとして、新興国で勃興するこの決済ビジネスに絡もうとしているはずです(だからプレゼンで紹介するわけです)。モバイル製造は山あり谷ありでしょうし、発展途上国ではBATと競争しないでモバイルを基点に他のビジネスに食い込めるので、チャンスと考えているでしょう。

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円Yes銀行No! 画期的な暗号通貨Zen : デジタル経済Newsletter_7/7

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もっとも気になるニュースは一日遅れだが、仮想通貨のZen。これは「『日本円』みたいなものを銀行なしで使いたい」という仕組みですね。銀行口座に入るとそこから非効率的な仕組みを経由してタックスを取られます。つまり銀行は個人や法人の経済活動のコストになっています。「今までは応じていたけど、暗号通貨を使えば、もっと効率性が増すな、やってみよう」となったのです。

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例えば、某銀行のシステム統合、4000億円程度かかる見込みらしい。高すぎるんじゃないか? これ誰が負担するか? 某銀行のユーザーです。こんな話があっていいのだろうか。 しかも内実がこのブログのような感じらしいのです。100年古い話ですね。

https://anond.hatelabo.jp/20160707182245

ATMから現金を引き出したり、送金したりして手数料を上納しないといけない仕組みはおかしい。銀行のデータベース上で数字を移動させるだけの話なのですが、全銀ネットや銀行の勘定系と呼ばれるレガシーは80年代に完成した仕組みでビフォアインターネットの世界のものだ。 

他にも税理士・会計士、国税庁などの役割も暗号通貨の活用により簡略化が可能だと考えられます。エストニアは暗号通貨は利用していませんが電子政府とキャッシュレス化のおかげで税理士・会計士の役割が大きく縮小したと言われています。

税理士が消滅する日 エストニアの現状から考えたこと – 谷口孔陛税理士事務所

日本のように「法律的にはこうなってるので、このやり方だとこのようなリスクがあります」「御社の状況だとこんな節税が効果的です」というようなサービスは必要ない、ということになります。 

(中略)

同業の方ならわかっていただけるでしょうが、「税理士」という仕事が成り立つのは結局のところ日本の税制が複雑だからです。

この税制が変わるかどうかは、日本の官僚組織がどう動くのか・政治的にどのような流れになるのか、という部分が大きいので、講師の方もおっしゃってましたがこればかりは予測ができません。

税理、会計の管理に人的資源を割くのが大変になるほど、日本の人口は減っていくはずです。人的資源をより生産性の高い仕事に振り向けていくことが重要になっていくでしょう。

クラウドが描く未来。東欧の小国エストニアから税理士が消えたわけ|MFクラウド 公式ブログ

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追記:時間があれば週末これを観よう

d.hatena.ne.jp

 

 

日系退職→起業、外資系がブーム:デジタル経済Newsletter_7/6

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1へのコメント:受託のIT人月産業、本格的な終わり

インドのインフォシスがこんな大きな企業だったとは。大西氏に限らず「日本村」から抜け出すと不満を言いやすくなるかもしれない。

これまで、ITを使った業務改革は、マッキンゼーやBCGといった「戦略コンサル」がトップにあり、その下がPwCやデロイトなどの「総合系コンサル」、その下にNTTデータなどの「ITコンサル」があるというピラミッド構造だった。起点はつねに戦略コンサルであり、いわば「文系」の考え方でできていた。

文系主導が大間違いだったことはよく分かる。MBAをこねくり回す人はそんなたくさんいらない。

大手銀行のシステム統合のような「何万人月規模」のプロジェクトはいまが最後で、受託請負開発だけの会社はもう生き残れない。そうした変化は2020年までに起きるはずだ。その時、先端的なスタートアップ企業や、インフォシスのようなアバンギャルド外資系のIT企業が、市場シェアを大きく伸ばすことになるだろう。 

裏を返すと、2020年の東京オリンピックまで東芝のような伝統的な日本企業の退場がまた起きる可能性は濃厚だ。

2へのコメント:伝統的な大企業ではできないことなのだろう

今後は、前職では実現できなかった、GPUSSDなどヘテロジニアスな計算機資源を活用する事で、高性能、低価格、使いやすさを両立するデータベース製品の事業化を目指していく事になります。

で、あれば、5年前に自分が作り出したソフトウェアが飼い殺しのような状況のまま、後発の競合が次々に先を行くのを指を咥えてただ眺めているという選択肢はあり得ない。そう考え、NECを出て自らPG-Stromを事業化するための新会社を立ち上げる事を決意した。

プロジェクトのガバナンスを現場から離れた人が握る事への不安はどうしても拭えなかった。

最近退職ブログ流行っていますね。提示される問題があまりにも似通っているのは、日本の企業社会の過激なる単一性のせいではないでしょうか。

 

追記:素晴らしい公共事業だ!