デジタルエコノミー研究所

”経済紙のNetflix”を作っている起業家の日記

一緒に”経済紙のNetflix”を作りませんか? 開発者とジャーナリスト募集 今週の進捗#16

先週は静かにこの「進捗報告」を更新しなかった。このため2週間分の進捗を振り返ってみよう。

僕は1月25日に暗号通貨「Algorand」のミートアップに出席した。AlgorandはMIT教授、Silvio Micaliが発明したものである。Micaliはコンピュータ科学のノーベル賞であるチューリング賞の受賞者。Micaliが発明したゼロ知識証明は公開鍵暗号、デジタル署名、ユーザ認証などに応用されている。それはあなたが安全にインターネットを楽しんでいることに貢献している。

Algorandの興味深い点は、先行するビザンチン合意(ビザンチン将軍問題を解決する分散合意)よりも効率的かつ安全なそれを達成している点である。これは本当に長話になるので、Algorandについてはふたつのブログを書いているので、興味のある人は読んでみてほしい。

axion.zone

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Micaliには講演の後にプライベートにふたつの質問に答えてもらい、とてもハッピーだった。自分の質問はとても興味深いものだったはずで洪水のような回答が返ってきた。短い時間のなかで自分の考えることを英語で表現できたか少し不安ではある。

クリプトエコノミクス

前々からこの日記では、CSと経済学が交差する場所が面白いと言っているが、暗号通貨、ブロックチェーンで構成するクリプトエコノミクスはその最たる実験の場である。一時のブームは終わったものの、CSや経済学の一部の人々は既存の貨幣、経済秩序が「とりあえず」のものだと気づいた。僕たちはもっといい経済のなかで暮らしていけるかもしれない。

「エージェントに暗号通貨を使った経済活動をさせる」というのを、DeepMind当たりにやってほしい。リアルタイムストラテジーゲームであるStarcraftで、DeepMindは人間を打ちのめした。狭められた条件のなかで適切な要件とインセンティブを設定すれば、仮想経済を試すことができるのではないか。金融市場の大半の取引はすでにアルゴリズミックにされている。個々のプレイヤーは利己主義のもと自己の利益拡張を目指すが、それが必ずしも資源配分の最適化に寄与しているとは言い難い。世界には超富裕層や投資の仕方をしらない日本企業によって使いみちのない富が積み重ねられている一方、多くの人達が貧困をその主要因として飢えたり病んだりしているのだ。

deepmind.com

暗号通貨とシミュレーションを使った探索で、いまある馬鹿げた経済のあり方を変えられる可能性があると僕は信じている。この無邪気な信仰こそたぶん僕がスタートアップをやる理由である。ちょっとした小金持ちになったり、セルフブランディングしたり、思考停止したフォロワーを操ったりすることにはあまり興味がない。

開発

認証とそれに紐付いたコンテンツの出し分けを開発しようとしているが、初学者1人で開発できる範疇を超えていそうなので、切実に開発者を募集したい。モダンフロントエンドを書け、パフォーマンスチューニングを視野に入れたフロントエンドエンジニアと、AWSGCPでの開発経験のあるバックエンドエンジニアが必要である。この機能追加が終われば、推薦システムの開発がメインになるので、機械学習エンジニアも募集することになりそうだ。事業計画書やモバイルアプリのプロトタイプもここにあるし、Webのプロトタイプはリンク先の"axion.zone"なので観てほしい。CSと経済学が融合した面白いコンテンツである。

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Reactの復習を始めたが、計算機科学を少し学習した後だと理解の染み込みが違うものだなあと慨嘆している。現状はGatsby.jsを利用してWebpack、Babel等のビルドツールの他、簡易なService Workerの利用等の学習コストをスキップしている。同時にパフォーマンスへの投資もスキップしている。この両方面に時間を投資するよりは、クラウドの上でAPIを組み合わせてアプリを作るスキルに投資したいので、ReactはSPAが楽しく動く程度わかっていればいいと考えている。

で、Goに投資するか悩んでいる。現行はNode.js+Reactの構成で全く問題ないが、将来的にはハードウェアの力をうまく引き出すことを考えないといけないし、投資対効果の観点や単純に書いてて楽しそうだから、Goをやろうかなとは思う。一応、僕は会社を大きくしてクラウドで稼働する大規模なシステムを運用したいので、そのためにはGo、マイクロサービス、K8s等を早々と採用していきたい。

ただ、早い段階でユーザーの手に触れさせることも重要なので、いまあるのをベータ版として公開しようかなと思っている。というか、できている、これなのだ。早いタイミングで「ベータ版あります」と言おうと思っている。

axion.zone

ということでNode.jsにお別れを言うときが来たのだ。正直、Node.jsはモジュールの中身を知らないまま「あっ動いたがな、じゃあオッケーだ」でやっていたから、危険な運用であることこの上ないのだ。だから、別れを告げる前にもう一度、Node.jsについて学習してみた。一度学んだRailsPHPに別れを告げ、Node.jsにも半ば別れを告げようとしている。
ソフトウェア・エンジニアリングの世界はドックイヤーとはいえ、初学者でここまで埋没費用を伴う学習をしないといけないのはエグいぜ。とはいえ、RailsPHPのようなフルスタックフレームワーク固執していれば、座して死を待つばかりである。Node.jsへの見切りは早すぎる気もするが、もっといいレーンに飛び移るためには、高速道路の真横のディーラーで新車を買い、乗っていた車を売り捨てるマインドが大事だ。というか、僕の人生がそんなことばかりである(ブログの初回から読んでみてね)。

新時代の新聞作ります

gendai.ismedia.jp

さて、新聞部数が一年で222万部減したそうである。これはすごい数字なのだけど、前々から予測がついていた。僕は以前はこの激震の中でどうメディアをデジタル化するか、という文脈で仕事をしていた。読者の高齢化はどんどん進んでおり、若い人は完全に新聞に興味をもっていない。中には読者層が介護施設に入るときに購読を解約する傾向が顕著なので、読者の平均年齢が平均的な介護開始年齢に重なり合う時点でクライシスが起きると主張する人もいるのだ。

日本の主要紙は行政の第三者機関としての役割を果たしていない。同じグループのテレビ局とセットで、政府のグループと対になっており「情報省」が5つから6つあると考えればいい。この情報省たちが行政と肩を組んで「世論を誘導する」のだ。正月に実家に帰ると、親族が情報省経由の情報を信じていることが確認された。

他方、支配的な地位を保ち続けるポータルサイトに加え、近年はキュレーションアプリや月額課金制アプリが生まれている。特徴はアプリで面をとり、上記の新聞社等が製作したコンテンツを二束三文で買い取り、シャッフルして提示することで価値を提供している。

率直に言えば、価値のないコンテンツには価値がないし、価値のないコンテンツを入れ替えても価値がない、と僕は考えている。さんざん馬鹿にされ、旨味の大半を配信者にスポイトされる泣きっ面のコンテンツ製作というプロセスだったが、フェイクニュース後の世界でその輝きを取り戻している。

僕がやりたいことはコンテンツの製作と配信を一気通貫し、無用なサードパーティを徹底的に排除することだ。パブリッシャーへの課税をなくすことでありいいものを作ることを奨励したい。このことについてはずっと考えていて、フェイクニュース問題とその後の業界構造の変化、NetflixSpotifyの成功、ゲーム業界でのTim Sweeneyの戦略等を観て、その有効性を確信している。

まずは、ユーザーがコンテンツの優劣を判断しやすい経済のジャンルが、僕のプランに適合している。経済コンテンツのNetflixである「axion」をやっていく。コンテンツ製作においては、調査報道の経験があるジャーナリスト、編集者、アナリスト等を募集している。僕自身記者、アナリストの経歴である。インドネシアでは政治経済分野において情報収集、分析の面で大使館、総合商社、各種の権益者に対し完全に優位に立ち、将棋に似たモデルを利用してゲーム理論の観点から大統領選挙を分析、予測し、海外筋の中で独走したことがある。「石油マフィア」と呼ばれる中央政府予算の2割超に関連する大規模な汚職疑惑を初めて指摘した外国人ジャーナリストでもある(諸々の理由でリンクが消失した)。前職では日本のメディア広告業界とデジタルマーケティングにおいて業界地図の変化に大きく寄与する働きをした。僕はこの分野にはとても自信があり、アジア最強の不確実情報分析集団を作りたいと考えている。我はと思う人は連絡してほしい。

上記の開発者募集を含め創業メンバーを募集している。以下に詳細がある。英語だが簡易な事業計画書 (ビジネスプラン)もあるのだ。カジュアルにお茶がしたい、ランチしたいというのも大歓迎だ。Twitter(@taxiyoshida) が最もアクティブだからよろしく。

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2/2 2019 麹町にて

axion.zone

頭がドライブ

どうも先週末から頭がドライブしている。Micaliさんに質問できたことでどうも興奮している。あと『宇宙よりも遠い場所』に感動したのもある。記憶喪失が続いている。

運動

1月21日週は3175㍍泳いだ、61㌔歩いた。
1月28日週は2500㍍泳いだ(明日も1500ほど泳ぐ予定)、43㌔歩いた。