デジタルエコノミー研究所

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ソフトバンクのIoT戦略はどの程度成功するか: デジタル経済Newsletter_7/24

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先週末、ソフトバンクの年次イベントで孫正義が講演している。この記事で説明しているように孫のAI / IoT投資は半端がない。孫氏はデータこそが21世紀の石油と語っている。それで The Economist  のこの記事を思い出した。おそらく巨大企業のエグゼクティブ層にデータが最も価値の高い資源だと伝えることに成功したのがこの記事なのだろう。

www.economist.com

私の知っているシニアも喜々としてこの記事を上げていたが、少し意地悪を言えば、この記事はThe Economistの特集記事のかなり前のページに置かれている要約版であり、本編ではないのである。本編も読んだがまあ当たり前の内容がかかれている(当たり前の内容を書くことも大事だ!)。

以下の部分は失敗を恐れてはいけないことを教えてくれる。日本社会で育ち暮らしていると、どうしても失敗を恐れる心が生まれてしまう。失敗を恐れることが最も大きな失敗だ。

実はスプリントに投資して、すでにソフトバンク複利でですよ、複利で毎年48パーセントのリターンを得ているのが実績なのであります。スーパーセルも97パーセントの複利でのリターン。投資した資本に対してリターンを得ている。 つまり、これは我々が単に1回打席に立って1回ヒットを打ったというのではなくて、意図して、考えて、戦略的に何回も打席に立った。空振りもしました。たくさん失敗もしましたけれども、ヒットのほうが大きかったことを意味しているわけです。

孫正義「人間の知能はもっと拡張される」情報革命がもたらすパラダイムシフトとは? - ログミー

しかし我々は、同じ志を持っている起業家たちと、テクノロジー、そこに資金を集めて、同志的結合、志をともにする仲間たちと一緒に革命を起こそうと考えているわけです。

孫正義「革命は力を持たない人々が成せるもの」10兆円ファンドで“情報革命のジェントレ”を目指す - ログミー

ARM、Didi Chuxing、NVIDIA、OneWebなど同社のIoTアームがどういう未来を描くか興味深い。日本自体はこのアグレッシブな投資を高い通信費、端末費を払いながら支えるだけなのは少し悲しいが。

想像し計画する人工知能: : デジタル経済Newsletter_7/21


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Deepmindが2本の論文を発表して、その内容をブログに完結にまとめてくれている。「想像し、計画するエージェント」を紹介している。汎用人工知能(AGI)の創造をビジョンにする同社らしい研究だ。

ブログを抄訳する。

  • エージェントは自らの中で行ったシミュレーションを解釈することを学習する。これはエージェントに環境のダイナミクスを把握するモデルを使うことを許容する。把握されたダイナミクスは必ずしも正しくないが。彼らは想像を効率的に使う。
  • 想像されたいくつもの道筋、問題を解くためにその事象と適合させる。効率性はエンコーダによって強化される。エンコーダは報酬を無視して想像から追加情報を算定する。道筋(報酬)が高い報酬をもたらさなくとも、有用な情報を含むだろう。エージェントは計画を構築するための様々な戦略を学習できる。
  • あるいはエージェントは、正確性とコンピューティングコストの異なるモデルを同時に学習できる。
  • これは広範な種類の効果的な戦略策定を提供する。一つのものをすべてに適用するアプローチに制約を受け、不完全な環境への適応性が限定されかねないということではなく。

メッシがミリセカンドで相手DFの動きを見て、シミュレーションを繰り返し、DFを抜くというようなことを実現しようとしている。報酬に必ずしも引っ張られないのが、強化学習の進化を伺える。

これをビデオゲームで試行していい結果を得たという。もちろん生物が置かれている環境はもっともっと複雑だ。スポーツをしていていいプレイをするとアドレナリンがどっと出る。それはやはり解いている問題が難しいことと関係している気もする。そういうアドレナリンという報酬が設定されていることこそ、今後人間が重点的に注力するべきところだと思う。

デミス・ハサビスCEOはより脳神経学における人間の脳のメカニズムの解明が人工知能開発の要諦だと話している。

https://deepmind.com/blog/agents-imagine-and-plan/

https://www.theverge.com/2017/7/19/15998610/ai-neuroscience-machine-learning-deepmind-demis-hassabis-interview

 

 

量子コンピューティングの足音: デジタル経済Newsletter_7/20


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今日は米有名VC「a16z」のポッドキャストから量子コンピューティングの話。

最近は人工知能開発でGPUはスタンダードになりつつある。「謎の半導体メーカー」で有名になったNVIDIAはAI特化型チップに多大な投資をしていて、この領域の独占を試みている。NVIDIAディープラーニングのライブラリを整備しており自動運転者や医療に急速な成長を見込んでいる。GoogleはTPUという人工知能の学習にフォーカスしたチップを開発し、同社の人工知能ライブラリとクラウド人工知能を水や電気のように人々に提供するビジョンをもっている。NVIDIAディープラーニングのライブラリを整備しており自動運転者や医療に急速な成長を見込んでいる。GPUは画像処理向けで発達し機械学習への利用可能性で世界が広がった。TPUは当初から機械学習向けに開発されている。しかし、量子コンピューティングは次元が全く異なるという。

従来の高性能コンピューターの1億倍のスピードが確認されたことで、世界に衝撃を与えた。演算能力は「組み合わせ最適化問題」という膨大なデータ処理で、大きな威力を発揮する。そしてこの「組み合わせ最適化問題」を解く力は、現代のさまざまな科学に応用可能であり、数百年解けないと言われる問題を解けるようになるかもしれない。

クラウドの形で量子コンピューティングを利用できるようになるかもしれない。アプリケーションが生まれて「キラーアップは何だろう」と議論されることになるだろう。量子コンピューティングのマシンの内部は冷凍庫で超電導状態になっている。これはマイクロプロセッサ中心で発展してきたコンピューティングとは別物。

これはラスボス的な存在だ。あらゆる事象を一気に進展させる劇薬のようなものだ。世界がスマートなところに変わっていくことに使われればいいと思う。

Listen to a16z Podcast: The Cloud Atlas to Real Quantum Computing by a16z #np on #SoundCloud
https://soundcloud.com/a16z/engineering-quantum-computing-today