デジタルエコノミー研究所

”経済紙のNetflix”を作っている起業家の日記

読書メモ『競争優位で勝つ統計学 - わずかな差を大きな勝利に変える方法』

競争優位で勝つ統計学 ---わずかな差を大きな勝利に変える方法

競争優位で勝つ統計学 ---わずかな差を大きな勝利に変える方法

 

少し古い本。だが、人間が直感感情によって意思決定を下している分野に、統計学、数学を応用することで、大きな成果を上げられることを、平易な言葉遣いで説明している。 以下は僕なりの要約である。

  • 物事には偏差がある
  • どんなに厳しく感じられるときでも、最適戦略を変更してはいけない
  • 最適戦略の維持を不可能にする、手元資金の枯渇は絶対に避ける
  • 理論上の正しさは実践では必ずしも100%の正しさを表現できない。現実世界はときに理論を完膚なきまでに破壊する
  • バイアスに惑わされてはいけない
  • 「個人の成功はチームの成功」となり、その逆でもあるインセンティブ設計をする

僕は不確実性の高いゲームに強いからリスクをとってゲームをそっちに誘導しよう - axionの進捗#9

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僕は出席できなかったHTML5カンファレンスのビデオから一週間を始めた。それからChrome Dev Summit 2018のビデオも観てみた。Webのトレンドの体内感覚が出来てきた気がする。

やはり僕はWeb Packagingが気になる。所定のサーバーにとらわれないコンテンツのサーブは、さまざまな問題を解決してくれそうである。これは突き詰めていくと、「あなたはどこまでGoogleを信頼できるだろうか」、そういう話である。

キャシュ戦略についても理解が深まった。適切なキャッシュ戦略は、速さにすべてを捧げている風の専任のエンジニアが必要なものだ、とやっと僕は理解した。「現時点で激しく投資する領域ではないが、遅くしては絶対にまずい」という結論を得た。ユーザーやコンテンツが豊富になってこそ、投資しがいのある課題である。

Webのプロトコルレイヤーが気になり、掘り進んでみた。axionのウェブサイトで利用される技術スタックは、最新状況を織り込んだものであり、急ぐ必要はない学習だったが、興味が湧いたときに一気に学習する方が効率がいい。それに結局は深いところまで包括的に理解しているからこそ、施策の正当性を吟味できるわけだ。ブログ等で小手先のテクニックを学習し投入して瞬間風速を高めるのは、自分のやり方にそぐわない。長期視点に基づいた投資が好きなのだ。

この際、ブラウザの仕組みにも踏み込んでおこうと思っている。公開情報をたどるだけでも「奥が深いでござる」という感じだ。

マーケットデザイン

週の途中から自分の最重要領域であるマーケットデザインの学習になだれ込んだ。

僕は経済学を問題解決の手段として重視してきた。インドネシアで新聞記者をしていたときは、開発経済学、都市経済学の格好の学習材料が転がっていた。教科書の内容と全く異なるカオティックな現実は最高に面白かった(だから僕は日本に退屈している。僕は不確実性の高いゲームに強いのだから、もっとリスクをとってゲームをそっち側に誘導しよう。そして平均的な日本人はそういうのにめっぽう弱い。素晴らしい状況である)。

当時は給与がべらぼうに低かったこともあり、副業で日本とシンガポールの金融機関、研究機関のためにレポートを書いていた。マクロ / ミクロ経済学を学びながら即座にその知識を使うためとても鍛えられた。

日本でデジタルマーケティングのアナリストとして働いていたときには(ビジネス開発も何もかもやってたが)、主にミクロ経済学といわゆる"マーケットデザイン"を大事な分析の手段としていた。マーケットデザインという領域はそれはもう超面白い。デジタル広告オークション、C2Cマーケットプレイスのようにテックカンパニーのビジネスとがんがん重なり合う。理論では数学をバリバリ使うが、実践だとなんというか「百鬼夜行の世界の中に居心地のいいショッピングモールを作るにはどうすればいいんだ!?」 的な愉しさがある(僕はこれが得意だ)。

マーケットデザインへの熱が再燃した。来週以降もがっちり学んでいこうと思う。

シグナリング

チームビルディングについても考えてみたが、情報の非対称性を伴った市場で、プレイヤーがどう振る舞えばいいかという問につながった。僕たちが"市場"と呼ぶもののほとんどが、情報の非対称性を伴った市場、なのだけれども、そこでは常に情報が不足しているので、情報を持つ側にとってシグナリングが効果的になる。

現実社会では、人々はしばしばシグナリングに誤った情報を足す戦略をとる。そのせいでシグナリングにそぐわない能力の低さが露呈されることがあるし、大半の日本企業はスキル算定能力が悲劇的でもある。前職では"コンサルタント"とか"ストラテジスト"とかそういう類の人との交流があったが、こういう人たちは多かれ少なかれフェイクシグナリングの達人だったり、すべての結果を自分の実績に結びつけるテクニシャンだったりする。

"起業家"のシグナリングもまた途轍もないものであるし、一定数、コンサルタントと同じ匂いがする人たちがたくさんいる。この中で適切なひとに適切なメッセージを伝えるにはどうすればいいのだろうか。あるいは、ほとんど自分に関する情報を持たない投資家と話すときにどうシグナリングすればいいのだろうか。

僕の戦略はシンプルで、鍛錬し続けて、品質の高いシグナリングをすることだ。市場に投下された正しい情報は、天然の評判システムを経て、その"正しさ"の精度が判定されるはずだ。その精度を保つには、ある程度の能力基盤がないと難しい。賢い人は巧妙なシグナリングを分解してその大元を推測できる。賢い人と出会えばいい。そうでない人に気づかれないことは好ましい。

武器と防具は揃いつつあるので、ダンジョンに行って「僕はここにいるよ」とアピールしに行こう。"スタートアップ市場"は情報があんまり浸透しづらいので忍耐強さが重要になるだろう

進行中のタスク

  • ネットワーキング / Founding Membersを探す
  • Web Appの開発
  • マーケットデザインの学習
  • Javascript / React / GraphQL / Webpackの学習

今後進める予定のタスク

  • 創業時の株式分配見通し
  • Stock Optionの設計(税制適格, Vesting)
  • 会社設立 Founding
  • 投資家との交渉

運動

3075m泳ぎ、53㌔歩行し、31.3㌔ジョギングした。

Image by Charles Conway (CC BY-SA 2.0) / via flickr

 

 

東京 Node Festival に行った - axionの進捗#8

先週は 東京 Node Festival に行った。Node JS以外の話題がほとんどだった。僕は発表を聞きながら以下の点をプロジェクトに反映したいなと考えた。これらは必ずしもイベントで話されていたことではない。

  • 今のサイトはGraph QLでHeadless CMSのContentfulのAPIを叩いていて、最初のロードでCardのためのすべてのポストのデータを取得している。これを段階的にロードする風にしたい。
  • クライアント側でのデータ処理が多層化している。ブラウザキャッシュ、Service Worker、CDNとサーバーから離れた場所に多数のデータストレージの箇所があり、これらをねちねち最適化していくと大型のサイトでも速さは保たれる。

html5 conference 2018 にも行きたかったが補欠のまま繰り上がらず、断念した。自分の役に立ちそうな発表がたくさんあったので、残念である。

HTTP/2, QUIC, TLS 1.3などについて以下のポッドキャストで学習した。

戦略に変更はない。これからも学習しながら、創業メンバーを探していく。今週はコンテンツ製作にすべての時間を注ぎ込もうと考えている。

進行中のタスク

  • Founding Membersを探す
  • Web Appの継続的開発(文章校正、インターフェイスの改修, APIs)
  • ネットワーキング
  • Javascript / React / GraphQL / Webpackの学習

今後進める予定のタスク

  • 創業時の株式分配見通し
  • Stock Optionの設計(税制適格, Vesting)
  • 会社設立 Founding
  • 投資家との交渉

 余談

今週は2800m泳ぎ、47㌔歩行30㌔ジョギングした。気温が低く、もしかしたら今年最後のジョギングになったかも。ジョギングの途中で、ワークマンで業務用のゴム製の手袋を衝動買いし、3分後に必要ないことに気づいた。衝動買いは久しぶりなので、とてもすがすがしい。

体調は病気以前を完全に超えてく好調だ。寒いのにかかわらず汗をたくさんかいている。スタミナは担保されてきたので、効率性を壊さないように仕事量をしていく時期だ。

 

 

 

 

読書メモ『NETFLIXの最強人事戦略 自由と責任の文化を築く』

この本は最初のうちはとても眠い感じだ。この類の本によくある著者のセルフブランディングが、重要な情報が欠けた著者の経験談に基づいて、行われる。著者はサン・マイクロシステムズの人事を経て、Netflixで長く人事に携わり、最高人事責任者を勤めていた。

NETFLIXの最強人事戦略 自由と責任の文化を築く

NETFLIXの最強人事戦略 自由と責任の文化を築く

 

終盤でやっと僕の要望に答えてくれる箇所が見つかった。

私がコンサルティングを行う会社には、給与水準をたとえば市場水準の65パーセンタイル(上位35%)などに設定しているところが多い。これを市場の最高水準の65%の額を支払うことだと勘違いしている会社もあるが、そうではなく、「業界全体でその職務に就いている人の65%よりも多い(35%よりも少ない)給与を支払う」という意味に過ぎない。なかなかよい方法だと思うかもしれないが、仮定が疑わしい(業務はそこまで厳密に比較できない)うえに、ほしい人材を獲得できないことが多いのだ。それに、期待される成果から逆算した給与水準ともかけ離れている。市場水準に見合った報酬とは、市場レンジ内の決まった水準に固定された報酬ではない。候補者が必要な期限内に達成する仕事価値に基づくものであるべきだ。

著者はベイン・アンド・カンパニーのリサーチを引用し、ハイパフォーマンス企業は意図的に不平等を作り出し、重要な職務にスター社員を集中させている。通常企業ではスター社員を均等に振り分けるそうだ。

NetflixはCS修士のフレッシュマンに極めて高い報酬を提示していることが話題になった。社内の給与水準がとても高いことで知られている。元々はDVDをレンタルしていた企業であり、サブスクリプションにビジネスモデルを転換した際にかなり人材が流動性を示したと考えられる。いまはGoogleAmazonFacebookと人材獲得競争をするようになり、高給取りで固められた企業に変身したが、高給はたぶん人材の転換にも一役買ったのではないだろうか。

報酬は純粋なインセンティブになるか?

報酬の設定はとても興味深いテーマである。従業員側の報酬の評価は主観的なものである。報酬の評価はそれ単体でされず、職場環境、人間関係の評価と混ざり合う。人事は「自分たちが優秀と主観的に評価した人材」を獲得することに集中すると罠にはまりそうだ。人事の目標とは人材をもって会社の目標を達成することであり、”優秀な人材”のパフォーマンスと目標が完璧に噛み合うことはないと想定できる。

日本のケースでは、人々は年収をもてはやす傾向に気をつけたい。僕は所得税の累進性を考慮するべきだという立場だ。年収の増加分と手取りの増加分は明確に異なる。むしろエクイティやストックオプションの形態を活用したい。売ったときにはキャピタルゲイン税が載るが税制適格かつカイシャが成長していれば、税効率がよくこちらが好ましい。将来のチームメイトとはこの点について深く研究し、「最高の報酬のあり方」を追求していきたい。

また報酬が経済学が定義するインセンティブとしてどれだけ機能しているのか、は興味深い問いになる。長い話になりそうだし、気の利いた答えを出せる気もしない。掘り下げないことにしよう。

人事考課は必要ない

著者は人事考課をなくすべきだと主張している。賛成だ。

 

読書メモ 『Google誕生 —ガレージで生まれたサーチ・モンスター』

『Team GeekGoogleギークたちはいかにしてチームを作るのか』を読んで「じゃあGoogleの創業期はどうだったのか」が気になり『Google誕生 —ガレージで生まれたサーチ・モンスター』を読んでみた。Team Geek読書メモをまとめている。

Google誕生 ?ガレージで生まれたサーチ・モンスター

Google誕生 ?ガレージで生まれたサーチ・モンスター

 

最初は近所の児童図書館にあった『Googleをつくった3人の男 (時代をきりひらくIT企業と創設者たち) 』を読んでいた。児童図書館は6時閉館で追い出されてしまった。この児童書は内容が簡潔にまとまっていて、それでいて重要な情報を漏らしていない。日本語も素晴らしかった。子どもを持ったら読んでもらいたい本である (たぶんそういう日はは来ないが)。

Googleをつくった3人の男 (時代をきりひらくIT企業と創設者たち)

Googleをつくった3人の男 (時代をきりひらくIT企業と創設者たち)

 

Google誕生 』では前半は創業者2人のバックグラウンドがしっかり記述されている。後半部分は報道内容を整理した風の時系列の物語になっている。前半が面白かった。ラリーとセルゲイの二人の出会いと親交、検索システムの開発、創業の流れは理想的な創業の形だ。二人の専門や性格の相性の良さ、Googleを開発する前にも他のプロジェクトを進めた経験など、最高の成功例だと思う。

二人はスタンフォード大学のエコシステムをうまく利用している。Googleは学内のプロジェクトとして開始されており、検索開発は大量のコンピューティング資源を必要とする。二人は大学が提供したコンピュータでそれを賄うことができた(それでもそのときに倹約してハードウェアを調達、組み立てる経験がGoogleのデータセンターに生きることになる)。初期投資家のアンディ・ベクトルシャイム氏はサン マイクロシステムズ社の共同創始者で、スタンフォードの卒業生である。ベクトルシャイム氏を紹介したのは二人の担当教授だ。二人がセコイアとKPCBと交渉する頃にはGoogleはスタートアップとしては稀に見るほどの完成度に達していた。

私もここまでうまくいかないまでも、いい創業を模索していきたい。こちらにあるようにプロダクトも事業計画もあるので、あとはチームが必要なだけである。ぼくは大学にほとんど通わないで卒業したし、”学閥”じみたものには嫌悪感を抱くタイプではあるが、本書の読了後は、卒業大学のエコシステムを利用するのは全然ありなのかもしれないと思うようになった。”学閥”は日本株式会社内での地位向上を目指す互助組織だと思うし、それに属すのは性に合わない。ただテクノロジー会社を創業するために、とても快い感じでいろいろ力を借りることは全然問題ではないなと思っている。

読書メモ 『エンジニアのためのマネジメントキャリアパス ―テックリードからCTOまでマネジメントスキル向上ガイド』

エンジニア組織の状況を知ることを目的として読んでみた。マネジメント手法を説明している章は流し読みした。著者はTwo Sigmaマネージングダイレクターで、プラットフォームエンジニアリングを統括しているという。Two Sigmaは鬼のように強いヘッジファンドで驚異的に高速な取引でしられている。そのプラットフォームの統括者ということで、著書の Camille Fournier はステレオタイプな天才肌の人物像で、その人が書いたマネジメントとはどういうものだろう、という好奇心があった。実際には本書の内容はとても実践的である。Fournierはハイレベルなエンジニア集団をマネージするのに長けているのだろう。ここからもプレイヤーとマネジャーに必要なスキルセットは異なるものだということがわかる。

エンジニアのためのマネジメントキャリアパス ―テックリードからCTOまでマネジメントスキル向上ガイド

エンジニアのためのマネジメントキャリアパス ―テックリードからCTOまでマネジメントスキル向上ガイド

 

著者はスタートアップのCTOの経歴ももっているが、本書は組織を整備し、既存のエンジニアチームをどうマネージしていくかという課題をもつ大企業を想定して書かれている。あくまでFournierの定義であるが、CTO、テックリード、VPエンジニアリングなどに期待されるジョブディスクリプションを理解できたことは大きいし「その職務に就いた人がどのような課題に直面するのか」「どういう手段を講じるべきであるのか」という疑問に対して、とても丁寧な説明がされている。

マネジメントのキャリアを進む人と、専門性を極める人のキャリアを許容できる仕組みが必要だと感じている。意欲と適性には相関性が生じやすい気がする。

スタートアップがどのタイミングでCTO、テックリード、VPエンジニアリングなどのポジションを設置し、どうマネジメントを取り入れるべきかが僕にとっての一番の問いである。これは開発者がプロジェクトに参加してきてから、とても慎重に決めることであり、できれば開発者のなかの文化のなかからベストプラクティスが生まれるのが最高のシナリオではある。

そもそも僕は”マネジメント”にはつらい思いをさせられてきて、マネジメントと聞くだけでギクリとなる。自分の関与する組織にとって必要なマネジメントのあり方を考えていかなければならないし、それは日本語のマネジメントという言葉が意味するところとはかなり違うはずだ。

 

 

読書メモ 『Team Geek ―Googleのギークたちはいかにしてチームを作るのか』

 『Team GeekGoogleギークたちはいかにしてチームを作るのか』を読んでみた。いままさにチームを作ろうとしており、先達の知恵に頼ろうと考えた。本書の内容は、ぼんやりとそう考えていたが、体系化してもらえると目から鱗という事柄が多かった。

Team Geek ―Googleのギークたちはいかにしてチームを作るのか

Team Geek ―Googleのギークたちはいかにしてチームを作るのか

 

本書は、早い段階で失敗・学習・反復するということに関してこう訴える。「必要なのは、不完全なソフトウェアを見せても構わないという謙虚と、ユーザーがその対応を賞賛し、迅速な改善を望んでいるという信頼だ」。これはスタートアップの鉄則中の鉄則だが、意外にこの鉄則を守れないこともままあるのだ。

カルチャーの醸成と保守

またチームのカルチャーの醸成についても、本書はとても含蓄のある比喩で説明している。

チームの文化はサワードウパンのようなものだ。スターター(創業者)がパン生地(新来者)に菌(文化)を植え付ける。イースト菌と乳酸菌(チームメンバー)が発酵(成長)すると、おいしいパン(チーム)のできあがりだ。スターターが強ければ、新来者が持っている望ましくない菌(文化)に耐えられる。スターターが弱ければ、新来者が持ち込む道の菌(文化)に耐えられない。未知の菌(文化)は予測できない結果をもたらすので、既知のスターターから始めるといいだろう。 

僕は丁度いまその文化醸成の時期を迎えており、一年プロジェクトを進めてみて、いまチーム構築している。スターターとしていい文化を築けていると考えている。

ビジネスに文化が必要なのか、と考える人がいるだろうが、ビジネスを遂行するのは人の集まりであり「ソフトウェアは簡単。人は難しい」という本書の説明は説得力がある。せっかく築き上げた文化にフィットしない人をチームに招き入れると、その人とチームの双方にとって不利益が生じるのは、たぶん多くの人にとって経験があるのではないだろうか。

文化に合致しない人を採用すると、合致しない人をチームから追い出したり、合致する人を新たに探したりする手間がかかってしまう。いずれにしても新しいメンバーがチームで働けるようになるコストは高い。

新しいチームメンバーが文化に合致するかを確かめる唯一の方法は、そのことについてインタビューすることだ。多くの会社では(Googleもそうだが)応募者が文化に合致するかどうかを採用基準にしている。採用ミスを回避するために、技術のインタビューの前に文化のインタビューをする会社もある。(中略)。文化は偶然に生まれるものではなく、創業者や初期の従業員が継続的に創り出すものなのだ。

「船にはキャプテンが必要」

3章の「船にはキャプテンが必要」ではチームのリーダーについて説明してある。本書はチームは、人間を家畜のように扱うマネジャーではなく、様々な問題に対処するリーダーを必要とすると主張している。多くの人が悪いマネジャーにひどい目に合わされたことがあるが、自分がマネジャーになるとそれを忘れてしまうという。リーダーはただのリーダではなく「サーバントリーダー」であれとのことで、本書は「エゴをなくす」「禅」「触媒」「センセイやメンターになる」などシリコンバレーが好きそうな言葉でその妥当性を説明している。

「有害な人」とどう戦うか

4章の「有害な人に対処する」は心温まる話だった。

普通の人たちを排除するようなエリート指向のフラタニティではなく、ネガティブな振る舞いを拒否するような文化を作るほうが健全だ。排除するのはあくまでも振る舞いであり、特定の個人ではない。

人は自分と似たような人がいるグループを探し、そのグループへの所属する傾向がある。素晴らしいチームのカルチャーを築けているのなら、人が循環してもそのカルチャーは容易に崩れない。攻撃的な連中が作ったチームが効率性を失ってしまうという。その例として、Linuxカーネルコミュニティーが挙げられている。スティーブ・ジョブスにもこの類の話がつきまとう。LinuxAppleも成功を遂げたが、仮にこの攻撃的な性質がなければどうだったのだろうか。

本書は「有害な人」に対して迅速に積極的な手段を講じるよう訴えている。脅威を特定し、適切な手段で対応しろという。自分の個人的な経験に照らしても、座して待ち、傷口が開いてしまったことが何度もある。ここにスタートアップで僕が犯した失敗がたくさん書いてある(「スタートアップの12カ月の冒険」)。

僕はもともと「人がいい」ので有害な人を引き込んでしまう傾向があり、有害な人に慣れてもいるし、もしかしたら相手の有害な部分を引き出してしまうところすらあったかもしれない。しかし、設定された目標に対してハイパフォーマンスなチームを構築するためには、致命的な弱点である。いま僕はチームの加入候補者とはお互いの文化の相性を見ることを重視し、カルチャーに即した行動を奨励したいと決意している。

そういえば、平均的なアメリカ人は初対面時に相手の心証を良くすることにかなり本気で取り組んでいるのを僕はよく見てきた。それは性悪説の世界で、一度「脅威」と認定されたら追放されてしまうからだろう。なかには最初の厳しいスクリーニングを通り抜けた後、一気に人柄が変容する人もいる気がする。日本の場合は性善説が優勢な気がするが、この性善説は、一見普通の人に見えて、実のところは有害なモンスターの格好の住処になってしまう。僕はそういうケースには何度もぶち当たってきた。僕は彼らを追放できる立場になかったことがほとんどなので、血の滲むような付き合いが続くことになった。日本的コミュニティは温かいが、他方コミュニティの中に入った本当に有害なものをダイジェストする機能に欠けている気がする。有益なものは簡単に放出してしまうのにもかかわらず。

 

進捗とは、手が止まって少ししか進まないこと - axionの進捗#7

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進捗とは、手が止まって少ししか進まないこと。

実際には物事はゆっくりしかし着実に進んでいる。

僕は今週はコンテンツの移行に時間を費やした。移行するだけでは飽き足らず、かなり加筆したものもある。日本語部分を加筆しながら同時進行で英訳するやり方を編み出した。このやり方はいい品質のものは出来上がるが、コストが高い。将来的には英語でコンテンツを確保し、それを日本語、中国語、韓国語、東南アジアの言語、ヒンドゥー語などに機械翻訳する仕組みを整えることを考えている。

機械翻訳の質は現状、英語を起点にした場合が最も高い。同時にアジアという地域で共通言語を考えたときに、中国語と英語が双璧である。現状は英語を重視する。英中の翻訳は最も資源が注がれそうな気がするので、中国語の問題もそのうち改善するだろう。

将来的には中国語、中台香に集中するチームを作るべきだと考えている。私自身も中国語の習得が必須になるので、言語交換会みたいなのに顔を出そうかな、という感じだ(もし同じ興味をもつなら声を賭けてほしい)。

以下は今週追加した記事の一部である。英語版もあるので、サイトを覗いてほしい。

パフォーマンス・チューニング

ユーザーのブラウザは初回訪問時には十数記事分のカードのためのデータを読み込んでいる。2回目以降はService Workerのおかげで、大半のデータはキャッシュされたまま利用されており、ブラウザは一部のデータだけを取りに行く仕様になっている。初回のローディングがどうなのか。週明けにサイトのスピードを測定し、チューニングが必要かどうかを見極めわめないといけない。

循環の外に解脱するには?

ネットワーキングとメンバー確保が低調だ。ネットワーキングは大量の時間を失うゲームだと前職の経験から知っている。仮に専業のネットワーキング屋さんならそれでいいのだが、僕はそれではないし、何しろスタートアップなのでリソースがもったいない。

コミュニティにおけるポジションが上がるにつれて、ネットワーキングの効率性が飛躍的に向上する。だからポジションを上げるのが先決だ。ではどうポジションを上げるかといえば、サービスをある程度運営して、サービス自体の付加価値を上げることが効果的である。そのためにはマーケティングとプロダクト開発が必要になるが、それを投資資金が入る前にやるのは、資金がなかなかいるし、方向転換を強いられるケースも多いので、少しリスキーな金の使い方だ。じゃあ資金調達からやるのが良さそうだ。が、axionは現状ひとりプロジェクトなので (絶賛募集中)、調達の交渉力が弱くなる。ということで、最初の地点へと戻り、総当たり的なネットワーキングとメンバー確保に勤しまないといけない。

初期のスタートアップによくある「鶏と卵」問題である。この問題を解くためには、恥の意識や「時間を無駄にしてはいけない」という考えを一度、隅において置く必要がある。また硬軟両方のアプローチを大量に実行すると、遅延して結果が出てくるものだろう。これをやらない限りは堂々巡りを繰り返す事になりそうだ。同時に開発の手を緩めてもいけない。一定の条件が揃えば、僕はこの「鶏と卵」問題の外へと出ていけるはずである。インクリメンタルに積み上げていくのが大事だ。

進行中のタスク

  • Founding Membersを探す
  • Web Appの継続的開発(文章校正、インターフェイスの改修, APIs)
  • ネットワーキング

開発のタスク

  • 旧サイト(axion.blog)から新サイトにコンテンツの移行をする
  • モバイルアプリのプロトタイプで示したインターフェイス axion.zone でもある程度実現できる手段を探す。
  • パフォーマンスチューニング(New!)
  • Javascript / React / GraphQL / Webpackの学習

今後進める予定のタスク

  • 創業時の株式分配見通し
  • Stock Optionの設計(税制適格, Vesting)
  • 会社設立 Founding
  • 投資家との交渉

余談

今週は1725メートル泳ぎ、73キロ歩行し、28.8キロ走った。昨日は四谷三丁目の我が家から西船橋まで28.8キロ走ったのだが、帰宅後から疲れを感じ、その後はずっと寝っ転がっていた。いまもしんどい。来週は船橋を目指したい。冬が来たらジョギングは一旦休みでプール一本にしよう。体力は順調に回復・向上していると思う。この向上のペースを維持しよう。

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開発しながら人を集めよう - axionの進捗#6

先週から創業メンバーを探している。Web Developer, Mobile Developer, Analyst, Journalist, Cooperate, Financeのチームを作ろうと考えている(詳しくはこちら

イベントや飲み会などに参加を開始した。住処を開発能力の習得や開発者とのネットワーキングに適した場所に変えてしまうことを検討した(1件内見をしてみた)。先週したことはあまりワークしなかったが、総当たりのアプローチをとればアウトプットは変わるはず(効果的な方法がわからないので教えていただけると幸いです)。

個人サイトを小奇麗にし、その過程で本当に苦手なCSSを少しだけ再学習した。それでイケる気がして axion.zone に応用したらインターフェイスがぐちゃぐちゃになってしまった。現状は Styled Commponents を使っており、下手に逆らわないようにしようと思った次第だ。

週末、Vue.jsの勉強会に参加したが、Vue.jsReactに比べてかなり簡単そうだったので心が揺らいだ。axion.zone はReactで構築したし、原宿のファッションのように変化が激しいジャンルなので、キャッチアップする気はないのだけど。

創業メンバー募集の戦略

  • 初級開発者としてaxion.zoneの開発を進め、研鑽を磨きながら、創業メンバーの募集を進めていこう。このやり方は目的とマッチした人材と出会う確率をあげるはずであり、自分自身のモチベーションに噛み合うと考えられる。
  • 加入の順番が重要な気がする。例えば、今の自分が最もアトラクトしやすいカテゴリーがあって、そのカテゴリの人を引き込むと別の重要カテゴリの人が反応する、というふうに。
  • 馬力が大事。たくさんの人に当たるからこそいいチームを組織できる可能性があがるはずだ。見当外れなカテゴリの人に声をかけていたり、チームにとって必要な人材群の選定をそもそも誤っていない限りは。

進行中のタスク

  • FocusFounding Membersを探す
  • Web Appの継続的開発(文章校正、インターフェイスの改修, APIs)
  • ネットワーキング(New!)

開発のタスク

  • 旧サイト(axion.blog)から新サイトにコンテンツの移行をする
  • モバイルアプリのプロトタイプで示したインターフェイス axion.zone でもある程度実現できる手段を探す。
  • Web Appのプロトタイプをする
  • Web Appの開発計画をつくる

今後進める予定のタスク

  • 創業時の株式分配見通し
  • Stock Optionの設計(税制適格, Vesting)
  • 会社設立 Founding
  • 投資家との交渉

創業メンバー募集に到達 - axionの進捗#5

創業メンバー募集

創業メンバーをこれから探します。来週から積極的に勧誘活動をしようと思います。ほぼ一人でスタートアップ最初期を終えており、今後のゲームは明確です。ソフトウェアエンジニア、アナリスト、ジャーナリスト、財務、オペレーションの募集です。バンドのメンバー募集のノリですがいいチームを組むためにこの手法が必要と感じています。詳しくはこちらをどうぞ。

プロトタイプ、事業計画書完成

プロトタイプと事業計画書が完成した。これでプロジェクトの状況と将来の計画がわかるはず。潜在的な競争相手にもわかってしまいますが、このプロジェクトをやれるのは日本では私だけなのではないか、と息巻いています。

Web Prototype & Articles

https://axion.zone 

Former Web Prototype

https://axion.blog/

Mobile App Prototype(iOS)

https://sketch.cloud/s/YMwLe/eP09Om/play

Business Plan(short version)

https://drive.google.com/open?id=1njrKU_oRaCSc2sgj5w9XFkXmXfe9zWNa

Vision

https://axion.zone/our-vison-make-humanity-free-and-optimize-the-pursuit-of-happiness/

My profile

https://taxiyoshida.net/

進行中のタスク

  • 【Focus】Founding Membersを探す
  • Web Appの継続的開発(文章校正、インターフェイスの改修, APIs)
  • プロフィルサイトの改善(インドネシア時代の業績の整理と英語化)

今後進める予定のタスク

  • 創業時の株式の分配見通し
  • Stock Optionの設計(税制適格, Vesting)
  • 会社設立 Founding
  • 投資家との交渉(New!)

余談

今週は滑らかにいろいろ進んだ気がする。これからはFounding Members探しが肝要である。ある程度検証が済んだいまの状態で、株のインセンティブがある形で、axionに参画するのはかなりリスクとリターンのバランスがうまいはずだ。あとから参加すればポジションやインセンティブが落ちていく。ダッチオークションのようなものなのだ。

もちろん、ぼくは自分の能力やプロジェクトの将来性を過信しているし、リスク選好が一般から著しく乖離している(ぼくのリスク選好が正しいのだよ、総合商社君、電機君、銀行君?)。だからこの考え方に納得してもらえないかもしれない。

でも考えてほしい。あなたがアフガニスタンに生まれたとして、タリバンのテリトリーの渓谷を越えないといけない状況にあるとする。なかなかの割合で死ぬかもしれない。そのリスクに対するリターンは、生き残るということであり、日本に住むわれわれから見ると、あまり芳しくない。最悪だ。

かたや日本では、人々は日々の安全が保障され、経済的成功を目指すチャンスすらある。なのに人々はその機会を活かさないのだ。人々はリターンが期待できない銀行口座にお金を置いている。政府のデフォルトによる預金封鎖、稼ぎ方を知らない邦銀の破綻に伴うペイオフのリスクを無意識に背負っている。リターンなきリスクを負うのは、戦略として最悪である。
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ということなので、ぼくと一緒に素晴らしいリターンを目論んだリスクを追ってみるのは悪くない。僕自身はあまり金に興味はなく、上記のVisionにある考えを推し進めたいと考えていて、それを最も効果的に実現する手段が、スタートアップということだ。

余談2、水泳その他

今週は2000メートル泳ぎ、10㌔走り、50㌔歩行した。疲労があり低調だった。

水泳は平泳ぎ専門だが、泳法を改善した結果、速度がとても上がった。ただし身体への負荷は上がり、ダメージを感じる。運動時はiherbで買ったパワフルなBCAAを飲んでいるが、今週は何度も携帯するのを忘れ、味の素のアミノバイタルで済ましたことがダメージの一因の気がする。ぼくはサプリメントに生かされていることを実感している30代の独身男性なのだ。

身体と同時に頭もオーバーワーク感がありありなので、来週頭のどこかでスーパー銭湯で半日ほどリラックスしようかと思う。休養はとても重要だが、ぼくは苦手である。もうそんなに若くもないのでそろそろ休養もうまくならないと。それから、本当に余談だけど、錦織圭もオーバーワークな感じでロンドンでのファイナルに滑り込んだけど、怪我をしないように頑張ってほしいと願っている。

 

ストックオプションはシリコンバレー型に, "Skin in the game"を実践するため - axionの進捗#4

進行中のタスク

  • 事業計画書 Business Plan(70%)
  • Web App Prototype(80%)
  • Mobile App Prototyping

今後進める予定のタスク

  • 創業時の株式の分配見通し、Stock Option等の設計(New)
  • Founding Membersを探す(New)
  • プロフィールサイトを詳細に書く(New)
  • 会社設立 Founding(New)

事業計画書とWeb App Prototype(axion.zone)は今週ほぼメドがついた。事業計画書は一部の改定と、公開用簡易版、創業メンバー・投資家版を切りわける仕事などが残っている。1,2日の仕事のはずだ。終わり次第、SketchでMobile Appのプロトタイピングを進める予定だ。

ぼくは今日、ストックオプションをどう設計するかを考えたが、上場まで権利行使が延ばされる日本型ではなく、シリコンバレー型のVesting方式を採用しようと結論付けた。ソラコムがこの方式を採用していたようだ。

昨年のこの時期も資本政策をある程度かじったが、ただただかじっていたことが判明したので、再度学習が必要だと感じる。一方、プロトタイピングや開発、コンテンツ製作をしながら資本政策をするのは、脳の効率が低くなるので、オペレーションとファイナンスに通ずる人材を早期にチームに入れておくべきだと考える。率直に言えば、この人材の参加は後々でいいだろうと考えていたが、チームが速く走るためには必要であると考え直した。もちろんaxionの主役が広義のクリエイターであることに変わりはない。

株とストックオプションをどう配るかについては、しっかり設計したい。スタートアップの成長の重要な要因になるはずだ。チームに加わる人には株とストックオプションのどちらかを持ち、"Skin in the game"(身銭を切って参加せよ)になってもらうことが、すべてのステークホルダーにとって幸福なことになると確信している。

Skin in the Game: Hidden Asymmetries in Daily Life

Skin in the Game: Hidden Asymmetries in Daily Life

 

ぼく自身、従業員として働いていたとき、著しい実績に対して金銭的報酬が与えられず怒りを覚えたことが日本とインドネシアで少なくとも2回ある。報酬体系が適正ではない組織は、組織と構成員の目標が乖離し、たちの悪い社内政治がはびこるなどの弊害がある。ぼくは経済学を学んだので、ある程度インセンティブの効力を信じており、インセンティブに対して最適な反応をする賢い人と働きたいのだ。

創業メンバーは、ソフトウェアエンジニア数人とアナリスト数人とオペレーション/ファイナンス1人の構成がいいのではと考えている(現時点では)。

今週は2000メートル泳ぎ、32㌔ジョギングし、60㌔歩行した。体力が復活してきてから再び精神的に焦るようになったので、はやった気持ちを落ち着かせられるようにするのが来週からの課題だ。カフェインを取りすぎている感がある。落とし穴に気をつけよう。

 

 

 

未来をめぐる終わりなき探索 - axion.zone の進捗#3

新しいプロトタイプは完成に近づいている。あと数記事を英語に翻訳しきればプロトタイプは完成する。

この2週間は『ポストモバイルの未来 コネクティビティと自律機械』の執筆とその調べごとに費やした。草稿を終えたところであり、推敲した後に英訳する。学習のおかげで知性の範囲が広がるのを確からしく感じる。今後の戦略について深いインサイトを得た。自分の予測に従い、そこに向かって走るのみだ。

人間の意思決定は常に投機の性質をもつが、知識が足りないだけで不必要な投機性を帯びてしまっていることは往々にしてある。知識の深い人の頭の中にはより鮮明な「ビジョン」が存在する。それがときに荒唐無稽のように見えても、鮮明なビジョンをもつ人は、無意識のうちに他者にビジョンをコントロールされた群衆よりも、圧倒的に未来に対する投機に優れている。一方がのんびりしている間に、もう一方は高度な探索とシミュレーションを絶えず行うハードワークをしているのだから当たり前のことだ。もちろん探索とシミュレーションは評価を誤ると役立たずになるため注意が必要だ。この写真は探索の象徴として差し込んでおく 。

f:id:taxi-yoshida:20181022115943j:plain

Space station on moon, courtesy of WikiImage

「ポストモバイル」のトレンドをめぐる今回の探索は、欠けていた知識を補填し、意思決定における予測の精度をあげてくれると確信している。2,3年程度のスパンで持っていたヴィジョンをより拡張することにつながった。ぼくはとてもポジティブになっている。詳細は以下をどうぞ (日本語がささくれだっている。申し訳ない)。

進行中のタスク Tasks in Progress

ぼくは2週間で以下のタスクを完了させ、その内容を公開する。その後チームビルディングを開始することを予定する。

  • Business plan [English]  
  • Developing plan [English] 
  • Prototyping mobile app [English]
  • Translating website to English

余談

先週は2750メートル泳ぎ、40キロジョギングした。月曜日のいま疲労感が少し残る程度。病気になって以降最高の体調に達している。もっと速く泳ぎ、もっと速く走ろう。

Amazon Prime Video で観た McMafia が素晴らしい。亡命したロシアの新興財閥と本国のロシアンマフィアの戦いを金融街シティ、プラハ、テルアビブ、ムンバイにまたがるストーリにまとめてあり非常に面白い。

www.imdb.com

秋の天候は最高だと思う。このまま冬が来ないでほしい。でも、冬があるから精神的にピリッとしてくる面もあると気づいた。このまま頑張っていこう。

次のバトルまであと少し - axion.zone の進捗#2

新しいWebsiteの開発はじわじわ進んでいる。ドメインの axion.zone を移管したのでこっちが本サイトのポジションになった。旧サイトは axion.blog を与えた。旧サイトは2月末日以降、更新していないが、マニアックな人が訪れているので、残すことにしている。f:id:taxi-yoshida:20181003174027j:image

現状の整理

  • Webのプロトタイプに目処が付きつつある。ハイエンドであること、国際的であること、そして思想が明確に表現できた段階で、開発を停止する。
  • シード期の検証は、2月末日の段階で、ニュースサイト運営と動画製作を通じて終えており、シリーズAとしての資金調達の目前だと判断している。将来性が見通せるプロトタイプがかけている。2月末日以降、一人でプロジェクトを進めておりチームの形成が急がれる。

次の展開

  • サイトにコンテンツをある程度入れる。英日の両方。サイトを訪れた人に世界観がわかるようにする。
  • サイトについてフィードバックをもらい、改善する。
  • 開発計画を作る。ウェブアプリからiOS,Androidへのマルチプラットフォーム展開。APIベースでの疎結合型のアーキテクチャ。English。
  • モバイルアプリのプロトタイプをプロトタイピングツールで作る。Framer XがハマらないのでSketchで作る。
  • 事業計画書の書き直し。どうやってユーザーを広げて儲けるかをわかるようにする。English。
  • 株の分け方とストックオプションに関する計画を作る。参画者希望者に透明性を与える。English。
  • これらが整ったら、開発計画、事業計画書、株の分け方に関する文書を晒して、極めて積極的に創業メンバーの確保を行う。ドラクエの仲間を探すのを地でやるつもりである。社内言語は英語、国籍は問わない。

まとめ

現在のaxionプロジェクトは私一人で進めています。これまで、本サイトの運営や動画の制作によりある程度、プロダクトの検証段階を終えています。今後は本サイトを中心に、Web、iOSAndroidへのマルチプラットフォーム展開を検討していますが、最初の段階はPWAである程度のユーザ数を確保することを目指します。2000円程度を課金するハイエンドの経済メディアサービスを、日本だけではなく世界経済の中心であるアジアに展開したいと考えています。早い段階で社内言語は英語化しますし、人材はすべての出自に対して開かれています。

必要と思しき人材

以下の方々を上記の条件が整い次第探していきます。

  • Web、モバイルエンジニア。BaaS, FaaSなどをうまく活用して少ないリソースでマルチプラットフォーム展開をしていきたいです。
  • アナリスト。コンテンツ製作と情報取得方法の開発。最初は製作のロジスティクスを整える面も極めて重要になります。

余談

新サイトはPWAというやつで、アプリをホーム画面に加えられるので、それで頻繁に訪れるようにしている。これは「ドッグフード」といい、顧客に提供するものを自分で使い倒すことで、インサイトや改善につなげていくやり方である。テック企業で一般的なやり方ではあるが、ぼくの尊敬する本田宗一郎が取っていた手法でもあり、まあ何かを創る人にとっては当たり前の手法かもしれない。

ホンダといえばこんな悲しい退職ポストが出回っており、執筆者の上司が「夢とか自由は外向きの言葉で、俺達は上流工程でパワポ職人やるんだ」という日本企業あるあるな名文句を吐いていて最悪だ。こういう人は所属組織に誇りを持ちまくっているんだけど、それが解かれたらスキルもクソも何も残らないし、ぼくのような「冒険家」に出会うと冒険のデメリットを並べ立てて、所属組織を立てに「おれはお前に優越しているトーク」をやるので、ステイアウェイを心がけている。

とにかくホンダ、悲しい限りである。

https://honda.hatenadiary.jp/entry/2018/09/17/175609

ライジングサンがフォーリングサンになることに特に深い感情を抱いていない。むしろ沈むなら一気に行こうじゃないか、我々の体では細胞の崩壊と再生が繰り返されることで、健康さが保たれている、そう新陳代謝が重要なんだ、それが滞りまくっているのが日本なんだ。

本田宗一郎スピリッツはこちらで継承しておこう。すべてをゼロから考えて、自分たちのDNAで再発明していく。自分たちの手を動かして作り上げていく。これはテックジャイアントがやっていることで、オールドエコノミーがやらないことだ。そして、もしクルマを買うなら環境負荷が高くともテスラを買うことにしよう。ずっと内燃機関をいじり続けていた本田宗一郎だが、現代に若者として生まれ変わったらテスラを気に入るに違いない。

こういう厨二病っぽいことを言っていると、常に何かに夢中になっていた10~20代のノリを取り戻せて嬉しいし、もう二度と失うつもりもない。30代で日本の経済社会のやる気のなさと、異質なものを排除する無能さの万里の長城のような壁にぶち当たって、意気消沈、絶望、阿鼻叫喚したけど、ぼくの望みは自分のアイデアと日本を一部としたアジアという地平への再侵攻(?)に託されており、これによって、日本でつまらなくなったぼくの人生は、また楽しくなってくるはずだ。

とにかく、ドッグフードの効き目は素晴らしく中毒になったように、サイトを見ては、直し、コンテンツを入れていく、ということをやっている。コンテンツ作るのは死ぬほど好きなのだが、中毒すぎては、ほかが進まないぞ、ヤバい、というのが本ポストの執筆理由である。

Ableton Live 10を手に入れたのに、全然やれていないので、なんとか暇を見つけて、やりたい。

あと水泳のせいで腹筋常時筋肉痛状態でつらい。なんにせよ、Get ready for the next battleな感じにはなってきとる。f:id:taxi-yoshida:20181003174429j:image

起業家、クリエイターの青春物語 『田尻智 ポケモンを創った男』

前回のポストでは『Founders at Work』について起業家必読だと話した。だいたいの重要なノウハウは海の向こうにあるかもしれないが、シリコンバレーじゃなくて身近な日本でも、しかもゲーム業界に素晴らしい「冒険の書」を見つけた。『田尻智 ポケモンを創った男』である。

田尻 智 ポケモンを創った男 (MF文庫ダ・ヴィンチ)

田尻 智 ポケモンを創った男 (MF文庫ダ・ヴィンチ)

 

ゲーム好きの青年がゲームの同人誌を作り、やがてゲームの制作のために仲間を集う。最初は請け仕事だが、ついに独自企画のゲームを作る。それがポケモンだった。これが田尻智のインタビューで振り返られるので、くっそ面白い。この本は『CONTINUE』(太田出版)で、数回にわたり掲載されたインタビューをまとめたものだそうだ。

おまけに、日本が人口ボーナス期の恩恵を受けて、サブカルチャーが花開いた80年代後半から90年代の空気が染み付いていて最高だった。僕は85年生まれで子どものころはそういう匂いを吸うことができたなあと思うばかりである。

田尻智は昆虫採集に熱中した幼少時代、郊外での暮らしにも言及していて、自然だらけだった東京南西部の郊外の街が、開発でどんどんコンクリに覆われていき、昆虫がいなくなった様を回想している。その昆虫の変わりがモンスターたちだそうだ。これは浦和市(現さいたま市)という郊外で育ったぼくにとって、他人事のように聞こえない。

それから同人誌をつくるモラトリアムな青年期とその後の会社設立などもまあ、一浪一留でPCで音楽を作ることに没頭してから、突如としてインドネシアに行った自分としてはしみじみするものがある。

繰り返すが、田尻智は好きなことに没頭して、それをそのまま仕事にして、成功しているのが素晴らしい。いまやポケモンはとてつもないビッグビジネスに成長している。ぼくが好きな起業家はこういう人たちで、「金だ金だ!」とだけ言っていて情熱皆無の人たちじゃない。

スタートアップの必読書『Founders at Work』

スタートアップに関する本は、自己啓発本に似ていたり、ない中身をマーケティングハイプでもりもりにしたりしているので、読まないほうがいい。英語で検索できて読めるなら、間違いなくWebがいいだろう。だけど、少ない例外に今日出くわしてしまったのである。

『Founders at Work 33のスタートアップストーリー』は必読書である。少し古いけれど、日本のスタートアップエコシステムは数周遅れなわけだし、勇者たちの冒険の記録はいつだって参考になるものだ。PayPalの共同創業者マックス・レプチン、Appleの立役者スティーブ・ウォズニアック、Exiciteのジョー・クラウスなど最高のメンツが後に巨大企業に変身する草創期について語っている。インタビューするのが、Yコンビネーターのポール・グレアムの夫人である、ジェシカ・リビングストンで、素晴らしいジャーナリズムを発揮してくれている(不倫を暴くとか政府の広報をするみたいなのとは別ジャンル)。

Founders at Work 33のスタートアップストーリー

Founders at Work 33のスタートアップストーリー

 

成功する起業家の特徴がわかったなどというわけじゃないが、何をするべきか、どんな時間を過ごすことになるか、どんな落とし穴があるか、何が問題を引き起こすか、などの参考情報を知ることができた。まあ情報が少なくとても不確実な世界だから、ダンジョンをクリアした人の話を分解していくといろいろわかる。『トルネコの大冒険』よろしく、ダンジョンは動的に変化しているから、それをそのまま応用できるわけではないけれども。

エヴァン・ウィリアムズはぼくが好きな起業家の一人だが、自分以外を全員レイオフして、友人関係をぶち壊しにして、ブロガーの開発にとどまって全部自分で開発してしまったところなど、なかなか尋常じゃない判断をするものだなと感じる。彼はその後Twitterに生命力を授けたり、Mediumを作ったりとデジタルパブリッシングに貢献を続けている。Mediumでも、エヴはフェイクニュース問題が大きくなるにつれて広告モデルを捨て、広告関連のスタッフを全員レイオフしてサブスクリプションモデルにシフトした。

話を聞いているともっと器用にやればいいのに、と感じるけれど、自分も結局たくさんの人にプロジェクトから去ってもらって、今は一人でやっていて、友人の評価としては、エヴと同じような「変人」の称号をもらっている。でも、プレイヤーになるとわかるが、その時々にエクストリームと考えられる判断を即座に下すような奴にこそ、生き残るチャンスが微笑んだりする。

昨日からEpicのTim Sweeneyのことが気になり、インタビューを読んでいるが、この人はとても頭がいいし、未来が見えている気がするし、何よりも自分の信条に合致するならばエクストリームな判断をかんたんに下してしまうところがある。

他の成功した起業家にもこの傾向を持つ人はたくさんいる。普通な人は早い段階で淘汰の網にかかるのかもしれない。あるいはただの生存バイアスかもしれないけれども。

ダンジョンは生半可ではない

もう一つ気になることがある。それはダンジョンでは落とし穴にも気をつけないといけないことだ。本書で赤裸々に語られる経験談には学ぶことが多い。なるほど、資金調達と謎のトークくらいしか行わない起業家が、この東京シティにひしめいているのには、こういうバックグラウンドがあるんだな、と知識を深くしたのは大きな収穫だ。専業のポーカープレイヤーとプロダクトをつくる兼業のポーカープレイヤーの試合では、専業の旗色が良さそうだ。だからしっかり準備をしないといけないようだ。この状況は、スタートアップという資本パンプの場から世界を変えられる可能性がある人を遠ざけ、自分はそうだ、と偽るいかさま師を招いている気がする。そう、しっかり準備をしないといけないようだ。